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伏屋のづ

Author:伏屋のづ
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書き殴った【おむつ・おもらしフェチ】系妄想置いてます
だいたい月一でもえないごみがふえるよ
文章も構成も壊滅的なんで重箱の隅突きなど歓迎中
萌えについて模索中なので作風も質もブレまくるよ

2016/01
>あいかわらずにほんご書けてねえ
>よかったら好きなシチュ語ってもらえるとうれしいです
@ごみばこ

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trash #032

 おねしょもの

◆理解者は不敵にわらう?
 失敗続きのせいでシミだらけのおねしょマットはベッドの下に隠したし、昨日買ったばかりのおねしょパンツのふくろだってお母さんに洗面所の上の棚に直してもらった。
 だから、どこを探したって大丈夫――そんな沖浦すずの慢心も、幼稚園児時代からの幼馴染み、日高すばるの前では5分も持ってはくれなかった。
「なあ、これってすずのカレンダーだよな? これと同じやつ、親戚の子の家で見たことあったからさ!」
 しまった――なんて、すずが思った時にはもう遅かった。
 勝手知ったる他人の部屋。遠慮を知らないすばるが我先に入るのもいつものことだと、すずも油断していたのがいけなかった。常日頃から『短距離走なら男子にも負けねー!』と豪語してきたボーイッシュ少女は、その素早さで学習机の上に置かれた紙の束を目敏く確保し、投げたボールをキャッチした犬みたいに、うれしそうにすずに見せてきた。
 幼稚園から届くお知らせみたいにあひるやひよこ、小さな子供たちの並んだイラストと一緒に書かれていた文章は、『一週間分のおねしょチェックシート』。その名前欄には、ひらがなできちんと『おきうら すばる 12さい』とまで書かれている。今週一週間分の日にち欄の下に並ぶ空白には、テレビの天気予報でよく映る雨粒をこぼしたかさマークのスタンプが、ほぼ毎日押されていた。
 すなわち――『おふとんの中で、雨をふらせてしまった』という、すずにとって言い逃れの出来ないオネショの証だ。学校でも同世代の子たちが、一斉に大人への背伸びを始めた思春期の入り口に立つすずにとっても、子どもどころか『夜のおしっこさえがまんできない』赤ちゃん並のレッテルの根拠を晒されるなんて、顔が真っ赤になるほど恥ずかしいことだ。不幸中の幸いは、すばるが『すずはとっくの昔に赤ん坊のころから夜のオムツが卒業出来ないおねしょっ子』だと知っていること――とは言え、やっぱり気持ちの良い訳もない。それなのに、敏感になってた心にずけずけと土足で踏み込まれたら。
「いっ、いちいち聞かなくてもよくない、そーいうの? 別に面白いもんじゃないし、かっ、勝手にすればっ?」
 心中穏やかでいられないすずも精一杯の虚勢でごまかそうとはするものの、目線は宙をあてもなく泳ぎ、すばるの顔さえ恥ずかしくて見れなくなっている。いつもは左右お団子留めにした髪も家では解いていたから、ふわふわのロングヘアーに部屋着に着ているお気に入りのワンピースの姫スタイルも相まって、いかにもか弱い女の子といった格好だ。
 外見からして一目瞭然、押しの強さに逆らいきれずに流されていくのは目に見えていた。
「なら見てもいいよなっ! それじゃ、すずちゃんのおねしょチェックといきますかっ!」
 そう言うなり、すばるは勢いよくすずのベッドに飛び込んできた。サラサラのショートカットが宙になびき、軽い体重がマットに尻餅をついた瞬間、スプリングの反動で細い身体がぽふんと跳ねる。
 相変わらずのおてんば少女と来年もまた同じ中学校に行くと思うと、すずも溜め息を吐くしかなかった。すばるは日に焼けた肌も乱暴な口調も男の子みたいな女の子だ。スカートだって履かないし、今日だっていつも通りショートパンツから細い生足を晒している。すずが何度お気に入りのティーンズファッション誌を開いて似合う服を勧めても、似合わないの一点張りで逃げられてばかりだ。
 スタイルの良い彼女ならスカートだってきっと似合うのに。第一、中学校だってセーラー服なのに、勿体ない――そうやって、また溜め息を吐くすずの気持ちなど、すばるにしてはまるで知らない話らしい。体育の授業でやったリレーの授業、前で走ってた男子3人をごぼう抜きした時よりも黒目がちな瞳をきらきら輝かせて、すずのおねしょ遍歴をよりにもよって音読しながら遡り続けていた。
「へー、お昼寝の時のおねしょも記録できるんだな。この前の3連休は、連続でチェックが……。わあぁ。すずちゃんうわー……」
 カレンダーを一枚一枚めくる度、すばるは『おねしょ』の単語だけをはっきり強調して口にする。先生を『お母さん』なんて呼んだ同級生をからかうような口調に、『勝手にどうぞ』としらんぷりするはずだったすずも、慌ててベッドに駆け寄ってしまった。
「そ、それは……ちょっとだけ、パンツに染みただけ、だったし。それにほらここっ、チェックの横! 『少なかった』って書いてるよっ!
 だ、第一、こんなのでわたし毎回一喜一憂してる訳じゃないからね。治療の為には自分の状態をモニタリングする事から、って」
 だけど、口角泡を飛ばして『自分のおねしょはちっちゃな子みたいなお漏らしじゃないから!』なんて説明を繰り返すすずの訴えは、まるですばるには届いてなかったらしい。
「あれ? これ別の人が書いた奴? すずの文字じゃないよな、ほら、17日の0時と3時のところ」
 すばるが指を指した項目は、確かにそこだけ教科書の文字みたいに整っている。
 すずが勢い余って、説明の言葉を口にしようとした瞬間。
「それはマ……お、お母さんが書いて……。へ、変なとこばっか見るよな、すばるって! な、何が面白いんだかっ」
 口の中が一気にカラカラになって、思わず舌をかみそうになってしまった。なんでこんなことになったのか。元はと言えば、母親のせいだ。
『どうせすばるちゃんにお世話してもらうんでしょ? だったら予行練習になるじゃない』
 夏休み前の臨海学校は、6年生なら誰もが楽しみにする修学旅行に並ぶ2大イベントの一つだけど、おねしょの治らないすずにとっては、どちらも悪夢の試練と呼ぶに相応しい。
 友だちが眠る一つ屋根の下で一人だけこっそり寝室を離れ、こそこそとパジャマの下におねしょパンツを穿き、先生と一緒に眠りにつかなければならない姑息さと、同級生がパンツで目覚めた朝、一人だけおねしょパンツを鼻につく匂いのおもらしでぐっしょりと濡らし、黄色いおしっこで重たくなったおねしょパンツを脱ぎ、シャワーを浴びてから合流しなければならないなんて――恥ずかしくて、想像するだけで背筋がぶるぶるふるえてしまう。怖くて、起きてる最中にまでおもらしなんかしてしまったら、きっとショックで死んでしまうことまで確信できた。
 第一、お世話だって先生がやればすむ話なのに、お母さんはすずの話を聞いてくれもしないから。
『ごまかしてくれるお友達がいれば、もっと安心してお泊まりできるんだよ?』
 そんなこと言われても……と弱々しい反論も押し切られ、こうして合宿2週間前に土日に、すばるがすずの家に幼稚園生以来の『お泊まり』にやってくることになったのだ。
 その結果が、おやすみ前のおねしょチェックなんて――現実のいたたまれなさに、すずも、冷静でなんかいられなかった。
「いちにち平均2~3回、多くて4回の時もあるんだな。で、量は250ml、237、210……うわ! 300ml超えの日もあるじゃん!」
 わざとらしく驚いてみせたすばるに、すずは噛みつくように反論するも。
「いっ、いちいち驚かなくていいのっ! そんなの、大した量じゃ――」
「軽量カップがたしか1カップ200ccで、測るのが水の時だと1ccの時おおよそ1mlになるって、学校で教わったよ。だから毎回カップ一杯以上は」
「うわあああっ! 知らないっ、知らないからっ! そんなの気にしたらもっとおねしょヒドくなるってお医者さんにも言われてるしっ!?」
「ぷっ、んふふっ……。そ、そうだよなっ、気にしちゃダメだもんなっ、ご、ごめんなっ、すず……。くふふっ」
 すずイジりに関しては、いつもすばるが一枚上をいってしまう。その上、語られたネタがおねしょに関わる以上、入り口でじっと足下を見つめて、恥ずかしさに堪えてきたすずの顔面からも、抑えきれなかった感情が沸き立つように、ふつふつと湯気が上がってゆく。
 ぷつり、と緊張の糸が糸が切れた瞬間。すずは、ベッドに腰掛けたすばるの元へ飛びかかり、そのまま勢いよく彼女のお腹の上に、馬乗りになった。
「す、すずっ!?」
 突然のタックルからのマウントポジションに、すばるも呆然と目を丸くしている。
 すずも大きく深呼吸すると――見下ろしたすばるに、思う存分、一気にまくし立てた。
「わっ、わたしだってがんばってるんだからあっ!
 ほらここっ! 先週の真ん中は曇りシールが続いたし、今月はおひさまシールの日だって3日もあったのっ!
 おしっこだって朝のおもらし我慢できたし、夜はちゃんと一人でトイレにだって行ってるの! だからそんなに笑うなっ、ばかあっ!」
 一息で繋いだ思いの丈をぶちまけたせいで、得体の知れない爽快感がまだ薄い胸の中を駆け抜けていた。全速力で走った直後みたいな酸素に飢えた肺が涼しい空気を吸い込んで、すずも興奮に満たされたまま、すばるに対して自らの勝利を宣言する。
「も、もうもう満足したでしょっ? すばる、それは処分するから、もう返して――」
 だが、返ってきたすばるの反応は、すずにとってまるで予想外だった。
「う、うんっ、ごめんね、すず……。くっ、くふふっ……」
 突然、口を塞いで笑い出したすばるの反応がわからなくて。
「な、なに……? どうしたの、すばる……?」
 すずも、素直に聞いてしまう。すばるはくぐもった声で自分の笑いにむせながら、まだ手にしたままの『おねしょチェックカレンダー』の下の文章を、指さしていた。
「お、おひさまシールって……『おひさまシールをいっぱいあつめて、おねしょにバイバイしよう!』って……お、おひさまシール……!
 ご、ごめっ、このカレンダー、やっぱり対象年齢、幼児向けなんだよなあって思うとさ、そのっ……くくっ、ぷふっ、ごめっ、あはははっ」
 指差したまま、もう自分で自分もコントロールできなくなったのか。お腹を抱えて大笑いを始めたすばるを見下ろしたまま、すずはぷるぷると小刻みに震えるな否や――枕元に置いていたお気に入りのふわふわの枕を両手で掴み、彼女の顔に何度もぼふっ、と鈍い音を叩きつけはじめていた。
「もうやっぱり最初から乙女の繊細な悩みバカにしに来たんだ!? 人のおねしょ癖笑いに来ただけなんだ!?
 もういい帰れっ、帰れよおっ!! イジられるくらいなら一人さびしくおねしょと向き合ってた方がマシだからさーっ!?」
「あははっ、ごめっ、すずっ、わたしが悪かったっ! ちょっ、わははっ、それだめだって! あひゃひゃひゃひゃっ!?」
 まるで謝罪になっていない上に、笑いすぎたすばるの方がアホの子みたいにおかしくて、すずも泣きたいくらい恥ずかしいのに、釣られて笑う羽目になってしまう。
 だから連れてきたくなかったのに――なんて後悔、勿論先に立つはずもないから。
「うるさいっ、すばるのばかあああっ!! そんなに笑いたいならずっと笑ってろおおっ!!」
 ベッド上の痴話喧嘩は、そのまま枕投げに発展してゆく。
 結局、二人ともいつもより遅い時間まで起きる羽目になってしまった。
◆目には目を、おねしょにはおむつを!
 騒ぐだけ騒いだら後腐れもなくスッキリ――なんて、そう簡単にはいかないらしい。すばるはただ、学校行事を前に憂鬱になっているはずの幼馴染みを励ましにきたはずなのに。
「はぁぁ……。どうせ、おねしょ垂れですよー、だ。わかってるってば、そんなこと……」
 さっきまで人の顔面にぽふぽふとぶつけていた枕を胸に抱きながら、すずはまた深いため息を繰り返していた。憂いに沈む横顔は、昼間学校ではしゃぎ回った無邪気さの欠片も見当たらない。ちょっとした美少女――いや、黙っていれば確実にそう評されるであろう魅力は備えているはずだ。
 だからこそ、いつも隣で見てきたすばるにしてみれば、もどかしいことこの上ない。
(まったく、カワイイくせに自覚ないんだもんなぁ、すずは。『恥ずかしいし……』なんて落ち込んでる時以外だって、ちょっと落ち着けばきっとモテるのに)
 凹んだ幼馴染みのご機嫌を取るのは、幼稚園時代からのお約束。そのまま放置してたら膝を抱えて寝る前に漏らしてしまいそうな勢いのすずの隣に、すばるもそっと腰を下ろす。
「ああもうわーってるって、ごめんごめんっ! 本気で頑張ってるんだもんなー、すずは。むしろ逃げずに立ち向かってるの、すっごくかっこいい。すごいよ、すず」
 すばるは弱々しく振り払おうとしたすずの手も握り、えらいえらいと頭を撫でてやった。口調や手振りはフリを見せてはいたけど、撫でてる間はすずの語調も柔らかくなる。
「はあ……また出た、すばるの体育会系脳筋思考。こんなの、しない方が普通だから」
 すずは弄れば弄るほど可愛くなる女の子だ。頬を膨らませて皮肉を呟く仕草も幼くて、周囲の人間の庇護欲を無駄に煽ってしまう。
(口ではしっかりしてる癖に、行動はギャップあり過ぎるって。ずるいよ、すず)
 中学生にもなって、オネショに悩んでうじうじしたり、オムツを穿いてる事を知られただけで、布団に潜り込むような、そんな可愛い振る舞いをもっと見ていたい――そんな甘くて切ない願いが、すばるの脳裏に桃色の色彩を帯びて広がってゆく。小さく疼いた胸の鼓動は、次第に滾る愛欲の高鳴りへ、激しさばかり増長させた。
「だって、一日も欠かさず記録つけてるとか、真剣じゃないとできないだろ。ボクだったらおねしょで凹んだら、書く気も失せたり――」
 もっと、もっとと願うほど。立て板に水の語りは、留まる所を忘れてしまったのか。
「――毎日欠かさず?」
「……あっ」
 甘い妄想で一人突っ走っていたすばるを止めたのは、すずの冷たいジト目の視線だった。
「べべべ別にそーいう意味じゃない! すずが毎日おねしょしてるとかそういうこと――」
「言ってるのと同じっ!? もうやだあこの脳筋っ!? 帰れっ、もういますぐ帰れよおっ!?」
「ごめっ、ほんとごめんってば! すず……今のは、ボクが悪かった。ごめん……なさい」
 涙目で非難を叫ぶすずに、すばるもすぐさま深く頭を項垂れた。すばるだって、自分で自分を許せずにいるすずが、一朝一夕で治りはしない悪癖で苦しんでいるのは知っている。やさしい言葉も慰めも傷つくなら、いっそ自分が悪役になって一瞬でも抱えたストレスを発散して欲しかったのに――浅はかな選択を、すばる自身悔やまずにはいられなかった。
「……たまーに、そうやってマジメな顔して。ほんっとズルいよね、すばるは……そういうとこだけ、真剣なんだから」
 そうして自ら悔やむほどのすばるなりの不器用な気遣いは、すずにはちゃんと届いていたらしい。ずるいのはどっちだよ、なんて思わず一人ごちそうになって、途端にすばるも恥ずかしくなってしまった。
「お許し下さい、すずお嬢さま。全てはこのすばるめの愚かさが招いたことなのでして」
「そーいう芝居がかったのもいらないからー。もう……また空気だって元通りにしてさ。どーせまたいつもみたいにふざけるくせにさー」
 10年ものの付き合いだから、結局最後にはお互いの気持ちもわかってしまう。そんなバレバレな恥ずかしさをごまかすように、すばるはまた、元の調子を取り戻していった。
「そりゃそーだ、えへへ。はい、それじゃすず――そろそろ『おやすみの時間』、だろ?」
 すばるがすずのお母さんからもらった紙袋の中身を出すと、攻守逆転、再びすずが顔を真っ赤にして慌てだした。4~5歳児がパジャマ姿でポーズを決めた『おねしょパンツ』のパッケージは、本来なら中学生の部屋には浮いた存在だ。あってはいけないはずのモノがそこにあるだけで、日常の何気なかった雰囲気も非日常の特別な世界に変わってゆく。
「もうするのっ? そ、そのっ、私にも心の準備ってものが――って、話し聞いてるっ!?」
 『おやすみの時間』が指す行為は、抱え込んだ劣等感に自虐することで問題を誤魔化し続けたすずにとって、妄想だけでは避けがたい現実の試練を意味していて、同時にすばるにとっては、自分とすずだけの秘密の時間の幕開けの合図だ。『お泊まり』の度にすずの母親が口にした呪文は今なお効果を失ってはいないどころか、むしろ効果を増すばかりだ。
「聞いてるきいてるーっ。はーい、それじゃすずのために用意した、新製品のご対面っ、じゃあんっ!」
 さっき失敗を悔やんだばかりでも、すばるの手は止まらない。鼻歌交じりに袋の口を破り、たっぷり詰まったおねしょっ娘の為の夜の下着――パンツタイプのおねしょ用紙オムツを取り出して、すずに見せつけるように突きだした。
「……っ!? い、いちいち見せなくていいからっ!? すばる、見せないでよおっ!?」
「えー、だってさ、すずが着けるとカワイイじゃん! なあ、折角だから選ぼうぜ!」
 自分がそれを穿いた姿を想像したのか、すずは両手で顔を隠し、全力で首を振った。そんな大きなおねしょっ娘の恥じらいの仕草で、すばるの欲望も激しく煽られてしまう。
「――今夜のすずのおねしょパンツ、どんなの穿いて寝たいと思った?」
「っ!?」
 思春期はただでさえ自意識ばかりが強くなる時期だ。他人とは違う自分を望むが余り、中二病に走るのも珍しくはない。そんな誰もが自分を強く見せようとする頃に、ただ一人色とりどりの紙おむつ――おねしょっ娘のプライドを守るために、名前だけが『パンツ』と呼ばれても、赤ん坊が穿くものと何も変わらない――を同い年の同級生に穿かされるなんて、どれほどの恥辱だろうか。
 すばるには想像も及ばなくても、顔から湯気を上げてあわあわと口を開いて呆けた幼馴染みの興奮の表情でわかることもあった。例えば圧倒的な恥ずかしさで身体から力が抜けたのか、すばるが両足首を掴んで軽く伸ばしただけで、ずるずると仰向けになってゆく。
「はーい、それじゃあんよ上げような。すずちゃんの新しいおねしょパンツの時間だよー」
「お、おおぉ覚えてなよすばるぅっ!? ひっ、ひひっ、人のことっ、着せ替え人形みたいに扱ってーっ!?」
「だってさあ……この前すずに任せたら、おむつのサイドギャザーずれててベッドまで大洪水だったじゃんか」
「おおっ、おむつって言うなあっ!? わ、わたひっ、赤ちゃんじゃないんだからっ!?」
 すずも口は必死に強気にしがみつこうとしているもののェ、すばるがおねしょパンツを見せてやったり『おむつ』という単語を口にするだけで、面白いように挙動不審に陥った。
 す細い足に片方ずつおねしょパンツを通してやるだけで身震いを起こし、横漏れ防止用サイドギャザーを巻き込まないように人差し指で足回りとパンツの間をなぞれば甲高い声で小さく鳴き声をあげる。すばるの一挙手一投足の全てが、すずを悶え恥じらわせていた。
「あー……はいはい、『おねしょパンツ』ね。ふふっ、かあいいとこあんじゃん、すずも立派なお姉ちゃんだもんなー。おむつは恥ずかしいもんなー」
「ふーっ、ふうううっ……! ど、どうしても人のこと、はずかしめたくてしかたないのかよおぉっ……」
 おねしょパンツを穿かされている間のすずは黒目がちの瞳をうるうると潤ませて、上目遣いで恥も外聞もなく情けを乞う。恥ずかし過ぎて死にそう、なんて細い声に込められた想いを前にすばるの攻勢も一瞬たじろぐが、一度ついた勢いはもう止められやしなかった。
「ちがうちがう! すずがカワイイからボクも可愛がりたかっただけ! だってさ、さっき選んで貰ったのだってそうだろ!
 最近のおむ……え、ええと、おねしょパンツってカワイイの多いだろ? ボクの穿いてるのなんか味気ないし、すずのおねしょパンツの方が可愛くない?
 ほら、すっごく女の子……っぽくてさ。いいよなー、すずちゃんかわいいっ」
 ……口からでまかせ、適当にも程がある。後から自分で言ったことを後悔するほど歯の浮く科白は、夜尿コンプレックスのせいで恋バナにも加われない初心なおねしょ少女には、むしろ女児向け少女漫画並の浪漫を与えてしまったのだろうか。
 一呼吸で一気に語った長科白を受けた途端、すずの声色から非難や拒絶のニュアンスが消えて、代わりに聞こえてきたのは、素直になれない乙女心の裏腹な気持ち。
「そ、それも恥ずかしいだけ……って、絶対すばるの方がいいに決まってるでしょっ!? おむつじゃなくてパンツがいいからっ!」
 すばるだって、一応すずと同じ女子のつもりだ。だから女の子らしい趣味はなくても、女の子の喋り方は自分の身体がよく知っていた。『キライ』が何より『だいすき!』を意味していたり、特定の人やモノへの言及を避けた回りくどい言い方が、何より一番大事だと暗に示していたりする。
「自分で言っちゃ意味ないじゃん……」
「う、うるひゃいっ!? いまはわすれてたのっ! そっちも忘れろおっ!?」
 だから、言葉にならない意味は、態度や行動でわかってしまう。ずっと幼馴染みを見つめてきた目敏いすばるだからこそ、おねしょパンツを穿かされていた間のすずの仕草を見逃しはしなかった。
「はいはい、わかってますよっ。ほらっ、早く穿かないとぽんぽん冷えちゃうぞー? 身体冷えたらおしっこの量も多くなるだろ、だから」
「す、好きにしてっ……はやく終わらせてくれたら、もうなんでもいいからあっ」
 なんでもいい、好きにして――そう言いながら、すずはもじもじと太股をすり合わせるように絞り腰をすっと浮かせておねしょパンツを穿かせ易くしていく。、自分から協力するような仕草が何を意味するかは、きっと口に出せばまた必死に否定されるだろうから。
「はいはーい、お望み通りにいたしますね、すずおじょうさまっ」
 言葉に成らない望みを汲んで、すばるもおどけながらすずの足におねしょパンツを通していった。理解できたのは、自縄自縛の劣等コンプレックスに囚われ続け、自罰思考の堂々巡りに陥り続けてきたおねしょっ娘が、ようやく与えられた許し。どれだけ自分を苦しめようとも、手放せないプライドからずっと抱えてきた規範意識、『おねしょするなんて恥ずかしい』という信念に応じた『おねしょっ娘への羞恥私刑』にすばるが応えるたびに、すずが口癖のように呟く『いや……』の意味も、徐々に内在化された罪悪感から目を逸らすために罰を乞う、憐れな奴隷願望者の倒錯へと変貌を重ねてきた。
(その内、自分からおねしょパンツを差し出して、『私が穿きたいんじゃないんだもん!』……なんて、おねしょツンデレさんになっちゃうのかな?)
 大人へと近づく為の思春期の中、むしろ子供染みた行動を覚えていくであろう幼馴染みの未来予想図に、すばるも内心で苦笑した。予想もつかない関係の発展に、期待で胸は踊ってしまう。そんな幼馴染みを世話出来るのは、自分だけだという自負がそうさせていた。

 そして、うらはらな気持ちの『いや』を数え切れないほど聞いた結果。
 幼馴染みは、真っ裸より恥ずかしく、SNSに蔓延るエロ動画より、ヘンタイ染みた姿へと変貌を遂げていた。
「……やっぱりすずは、おむつ着けてても可愛いと思う」
「はあ……もう、ほんっと。どうしようもないよね、すばるの少女趣味は。そんなんじゃないでしょ、これ……。おむつにベビードールって、はぁぁ……。
 第一、身体冷えるのダメとか言ってたクセに」
 ひくひくとひくつく口元から、隠しきれない喜悦が漏れ出ている。
 桜色に染まる頬も小さく吐いた甘い吐息も、今もふつふつと宿る知恵熱に火照っていた。
 きっと同じクラスの女子でも、すずと同じ寝巻きで夜を過ごす子はいないだろう。ナイトウェア――パジャマ代わりに着る、寝巻き目的で作られたワンピースタイプの水色ベビードールは肩紐や胸周りを小さなフリルで飾られていて、胸元に結ばれた大きめのリボンがどことなく幼さを強調しながら、半透明の生地に透けたお腹や腰回り、剥き出しにされた肩や太股といった肉体美を余すところなく晒した扇情的な衣装だ。いかに早熟な少女でも着こなすには早過ぎる大人のナイトウェアの中で特に目を引くのは、ひらひらと踊るベビードールの裾と太股の間で、ちらちらと見え隠れしたアニメ柄のおねしょパンツ。大人でも子供でもないちぐはぐな装いは、おむつを嫌がる少女の懸命な背伸びの証だった。
 もっとも、おねしょが治った時に着ようという誓いは、一度も叶えられることなく今に到っている。すばるの口車に乗せられて着せられて以降、憧れの寝巻きは死ぬほど嫌がっていたはずのおねしょで変態的な気分にさせられる為の寝巻きとして使われる一方だった。
「これだと夜のおねしょチェックの時、おむつ替えやすいんだよなー」
「満面の笑みで人の弱味ためらいなく踏み抜くなよばかああっ!? ああもう寝られなくなっちゃうじゃん、恥ずかしすぎて! すばるのばかあぁっ」
 辛うじてブラジャーは大人寄りのレースデザインだが、下は幼児でも穿かないような紙オムツ姿のちぐはぐさで、どっちつかずなすずの現実を突きつけている。胸元に顔を埋めて握った拳で弱々しくすばるを叩くすずの仕草も、甘え癖の治らないダメな大人みたいだ。
「おーよしよし、泣かなくていいよ、すばるんが着いてるからなー」
「マッチポンプじゃん、それって……なにこのループ……あうう……」
  おねしょオムツの中学生は、甘えたいのに素直じゃない、大人になれないお子様で。でも、そんな彼女が心細さでぎゅっと人を抱きしめた時、ただ外側で可愛がってばかりだったすばるも、不意の衝撃で思わず心臓が破裂しそうになってしまう。
「……あの、さっ。すずがカワイイってのは、本当だからなっ。べっ、別に……おむつしてても、してなくても」
 さっきまで、目を逸らしていたのはすずの方だったのに。想像以上に蠱惑的な幼馴染みの存在が、今になって直視出来なくなってしまった。
 攻撃は最大の防御。それが趣味も性格も真逆な二人が、唯一共有した信念だから。
「んぎゅっ!? す、すずっ、何してんだよっ!?」
 風向きが変わったことを察したすずが、今度はすばるの顔をぎゅっと胸元に押し付けた。
「……はいはい、わかってますよー。あーあ、すばるもそーいう可愛げがあったら、わたしもいっぱい愛でてあげるんだけどなー」
「すっ、すずの攻め方はおかしいんだって! カワイイっていいながら近づく時の目はえろくなってるし!」
「人のことお子様だとかイジるくせに、すばるんのおっぱいも大概でしょー? あ、でもちっちゃい方がカワイイか。すばるんかわいい!」
「そっ、そんなの別にかわいくないだろっ!? すずの方が、よっぽど……」
「ふっふっふー、さっきのお返しですー。ちょっとは恥ずかしい気持ちで悶えるがいいさっ、わたしの気持ち、少しはわかるでしょー?」
 夜のおむつも取れないお子様のクセに、おねしょパンツがイヤで恥ずかしがる甘えん坊の癖に――逆を言えば、それさえなければ、すずの方がすばるよりよっぽど大人っぽくて、女らしい子に違いなかった。だから、剥き出しのサディズムを柔らかくいなされて、まるで母親のように温かくて柔らかいおっぱいを顔いっぱいに味わってしまえば、今度はすばるが自分の気持ちに気づかされてしまった。胸の奥で聞こえた小さな鼓動が、自分の吐息のリズムと重なって、すばるもまた自分でも知り得なかった想いを知ってゆく。
「……すずの気持ちなんだ、これが」
「そ、そうだけど……ああもうっ、どんどん恥ずかしくなって、これじゃちゃんと寝られないぃ……。眠りの質が落ちたら、絶対おねしょしちゃうなー。あーもーこれはすばるのせいでおねしょしちゃうなー、こまったなあー」
 一足飛びで核心に触れた言葉を予想していなかったのか、すずはまた、不意をつかれて恥ずかしそうにはぐらかす。生憎、すばるはすずほど面倒臭い性格もしていないから。
「じゃあボクも、これからずっとすずにおねしょさせにこなきゃな」
「なんでそうなるかなあ!? やっぱりイジワルしにきたんだ!?」
「だって、すずがずっとカワイイままでいてくれると……ボクだってうれしいからさっ!」
 満面の笑みで愛を告げた直球が、すずの顔を瞬間沸騰させる。慌てて布団に潜り込むも、ふわりとめくられたベビードールのお尻から、おねしょパンツが丸見えになっていた。
「も、もうっ、バカ言ってないで寝るからねっ……。おやすみっ、すばるっ!」
「うんっ、おやすみっ。明日のおむつチェックも、手伝うからねっ」
「それは別にいいからあっ……。ううぅ……」
 後を追って、すばるも同じベッドに潜り込んだ。おねしょっ娘と同じ夜を過ごすために。
◆ふたりがナイショにしてるわけ。
 浅い眠りを妨げたのは、熱に浮かされ興奮した少女の声色。がさごそとかすかな物音と共に太股をまさぐられる感触に身悶えて、すずは薄くまぶたを開いた。
 視界に飛び込んできたのは昨日の夜を思い出させる、イジワルな幼馴染みの満面の笑み。
「やっぱりいいなぁ、すず……。あーもー、かあいいかあいいっ、えへへぇっ……」
「なにしてんだよぉ、すばるうぅ……人のカラダでっ、はふっ……ふあぁっ……」
「ナニってぇ……むふふぅ」
 ナニが何を指しているのか、眠気の残る頭で考えてもよくわからない。ぼーっとしている内に、テープが剥がれる乾いた音がして――それでやっと、すずも気付いた。
 上半身のバネで勢いよく飛び起き、目の前にいるすばるに喰ってかかろうとするも。
「ふぇっ……あ、ちょまっ、まってっ、どいてよっ! 自分で出来るからぁっ!?」
 すばるに掴まれた両脚を上げられて、すずは振り子のようにベッドに沈んでしまった。
 突然の目覚めで過敏になった神経が、異常事態を知らせている。昨日当てられたおねしょパンツは乾いてサラサラのはずだったのに、ぐじゅっ、と潰れた水音がした瞬間、じわじわと肌に生温い濡れた感触が這いずり回ってゆく。尿意さえ感じられない内に繰り返してしまったおねしょは、一晩に1~2回じゃ済まない量をオムツの中に留めていた。
 そんな恥ずかしい失敗を、からかわれながら暴かれ、管理されるなんて。
 朝から恥ずかしさが体中をまた熱くさせてしまう。ベビードールにおねしょオムツの中学生なんて、ただでさえ訳のわからない格好を見られてるだけでも居たたまれない気持ちなのに、人間的に終わってるとさえ思える絶望で、背筋から指先の神経に到るまで冷たくて熱いゾクゾクとした強烈な怖気が走り、脱力しきった全身がふるふると震えてしまう。
 これで、『おねしょなんてして恥ずかしくないの!』って、しっかり叱ってくれたらまだマシだったのに。
「いーからいーから、ボクに任せろよなっ! 大人しくしてたらすぐ終わるって、すずちゃんのおむつチェック!」
 普通じゃありえない、どう考えてもヘンタイ染みた状況なのに、すばるは知ってか知らずか、またスポーツでもするような明るい態度で、すずの身体をオモチャにし続けている。
 そっちの方が余計に恥ずかしいけど、すずだってもちろん叱ってくれなんていえない。もどかしさに身悶えてる内に、すばるの手がすずで遊んでまた楽しそうに笑う異常さは、すずにとっては終わりの見えない羞恥地獄そのものだ。せめてもの抵抗を見せるものの。
「はっ、はずいこと言うなあぁっ……!? もっ、もうっ、分かってるクセにっ!?」
「ふふーん、やっぱり自覚あるんだっ? でもさぁ、さっきまでぐっすり寝てただろー?
 それどころかさあ……。いやあ、初めて見たけど、見てるこっちの方が恥ずかしかったんですけど……」
「な、なんのことっ……?」
 思わせぶりな態度で揺さぶられ、動揺を隠さず露わにしたら。
「もう朝だってのに、もぞもぞ動き出してさ。親指ちゅっちゅ吸い出したかと思うと……」
 おどけたすばるが、口元に親指をあて、赤ん坊の真似を見せてくる。その仕草は、うつらうつらと夢に見た、おぼろげな場面をすずに思い出させてしまった。
「あ、ああぁっ……。さ、さっきの夢って、ま、まさかっ……!?」
 夢に見た記憶は幼稚園の頃のお泊まり保育。ホームシックに陥ったすずが、先生の胸に抱かれ、安心感から親指を吸って赤ちゃん返りした場面。勿論その頃から、オムツを濡らさなかった夜はない。その日の朝も一人こっそり先生に起こされ、おねしょオムツを替えられて――
「おねしょで重たくなってたおむつの中から、しょろろろぉっ……って。すごいよなー、すずのおねしょ、すっごい勢いでさ! 音もちゃんときこえたんだって!」
「うあああああっ!? しらないしらないっ、わたしそんなの聞きたくないからああっ!?」
 内に蘇る黒歴史と外から届く失敗の実況で、すずの頭の中ももうぐちゃぐちゃだった。顔中涙でぐしゃぐしゃにして、堪えきれなかった恐怖が尿道から溢れ出して、おねしょパンツをまたじわじわと温かくしてしまう。
 そんな、自分では何にも出来ない無力な幼女のようにべそをかくだけのすずを、すばるは手際よく世話を焼いていった。
「ほらほらぁ、たぷたぷのおねしょパンツ、まだあったかいだろ? あさのおしっこもおねしょで出して、すずちゃんもきもちよかったんだもんなぁ」
「う、うぅぅっ……。す、すばるぅ……ごめん、なさいぃっ……」
「はいはい、泣かない泣かない。今度はちゃんと朝のおしっこ連れてくからさ。だから一緒にがんばろうなっ」
 まるで幼児に言い聞かせるような『おしっこ我慢、がんばろうね』のメッセージに弱々しく抵抗の言葉を投げるものの、すずはもうすばる無しではいられないと痛感していた。
 そもそも、どんなに泣いたりわがままを言っても、すばるがすずのおむつ替えを嫌がったことなど一度もなかった。それどころか。
「ぜ、絶対わたしのおねしょからかうの楽しんでるだろっ……すばるの、へんたいっ……」
「えへへっ、すずがかわいいのがいけないんだろー? ほらっ、あんよあげてっ。おねしょおむつ外したらシャワー浴びに行こ?」
 泣き言を言いながらも、おねしょおむつを替えてもらっている状況は、どう考えてもすばるに甘えきった自分を自覚せずにはいられなかった。
「う、うんっ……。ああもう、すばるのせいで朝から大泣きしちゃった……ああもう、はずかしいなあ……」
 ちょっとヘンタイだけど、それでもいつだってすずのおねしょを守ってくれるすばるに、今ならきっと素直になれる――そう、思って口にしかけた言葉もあったけど。
「あれぇ? すずちゃん、おねしょは恥ずかしくないの?」
「そっ、それは普通に恥ずかしいから! ってかもうイジるなばかぁっ!?」
 すばるはいつだって、調子に乗りやすい奴だから。
 すずが抱えた思いを伝えられるのも、まだまだ先の話になりそうだった。

 生まれてからずっとすずにはおねしょのない朝なんてなかったから、ずっと一人でおねしょと付き合い続けていれば、夜のおむつもおねしょチェックのカレンダーも、一人で劣等感を抱えること以外は、何も感じることのない、変化のない日常と化していたのだろう。
 そう思えたのは、いつもすずのおねしょをイジりながらも、やさしく守ってくれたすばるの存在あってこそだった。
 とはいえ――余りに無軌道な彼女の言動は、すずの想定を軽々と外れていく。
 連休中の『お泊まり』初日、すばるに連れられてやってきたのは、いつも出歩く生活圏外から離れた、近くても足を伸ばすことのなかった隣の市のドラッグストア。誰もが棚の商品に目を向けている中では誰もすずを知っているはずもないのに、探しているモノがモノだけに周りの客の視線ばかり気になって、すばるの手を離すことも出来ずにいた。
「ほらほらぁ、折角のでーとなんだしさ。もっとたのしもーぜっ、すずっ」
「でっ、でーとでもなければ、こっ、こんなの楽しめるわけ、ないぃっ……。は、恥ずかしくて、死にそうになるのにっ……」
「だってさっきのおむつじゃすずの一晩のおねしょも受け止めきれなくなってただろ?
 昨日買ったのはお昼寝用にして、今度はもっと吸収力の――むぐっ」
 かといって、野放しにしてもいられないから困りもの。すずは慌てて手のひらですばるの口をふさぎ、その上に人差し指を立てて「静かに!」のジェスチャーを作る。女子中学生二人組の痴話喧嘩はただでさえ人目を惹く。更に喧嘩の中身が『おねしょ』の話題で、その上二人がいたのが、赤ちゃん連れの母親が行き交う紙オムツがずらりと並んだベビー用品コーナーともなれば、極めて真実に近い憶測が飛び交うことは避けられないはずだ。
 社会的に死亡宣告を突きつけられるほどの死活問題だと、すずは涙目になりながら懸命に抗議するものの、返ってきたすばるの答えは何も考えない脳天気のままの反応だった。
「わっ、わたしの秘密バラすなばかぁっ! ああもうっ、調子に乗りすぎなんだからぁ……あとでおぼえてろよっ、すばるぅ……」
「あははっ、ボクが覚えてたらいいけどなー。ほらっ、これなんかカワイくない? お姫さまだってっ!」
 繰り返し続けた応酬に、諦め切れない往生の悪さも思い知らされてしまう。すずももう、すっかりすばるに慣らされてしまっていた。
「……そうだね、それにしよっか」
「うんっ、それじゃあレジに……」
「わたしが持ってくから」
「え、あ、うんっ……。って、いいの? すず、あんなに気にして……」
 ――だったら、少しくらい反撃したって良いだろう。
 何度訴えても人のおねしょを笑うすばるなら、きっと許してくれるはずだ。
 すずは新しいおねしょパンツを手にとると、何度も見てきた朗らかな笑みを真似てから、遠くにいた店員に声をかけた。
「すみませぇん! この子でも穿けるおねしょ用おむつって、これでも大丈夫ですよね?」
「すっ、すずっ!? おねしょしちゃうのはボクじゃなくてすずだろっ!? ぼっ、ボクっ、おねしょなんてっ!?」
 攻撃は最大の防御。何度おねしょが恥ずかしいと訴えても理解できないなら、いっそ仲間に入れてしまえば良いのだ。余りに荒唐無稽な結論だが、すずが見つけた答えは、迷う余地のない道だと、素直に信じることが出来た。
「覚えてなくてもべつに良いよ? でも、人のことカワイイカワイイって言うクセにさ。
 そーいう恥ずかしがってるすばるんも、カワイイんですけど?」
「だ、だからってっ、おねしょおむつなんか、穿けるわけないのにっ!?」
 店員が近づくに連れて、すばるの態度が段々と落ち着きを失い、挙動不審になっていくのがすばるにもわかった。
(ああ、これがすばるの気持ちなんだ……。ふふっ、おねしょイジりも、わるくないね)
 すずはおねしょを治す為の知識を集めている内に、おねしょを悪化させたりおもらし癖をつけさせる為のトレーニングもあることを知っていた。すばるならきっと、すずにも負けないくらい恥ずかしがってくれるはずだ。今この瞬間の慌て方だけでも素質は充分だ。
「もっとかわいくしてあげる。それこそ、わたしと同じ、おねしょっ子になるまでね。 ふふっ、覚悟しててねっ」
「か、かわいくって、そんなのっ……!? あう、ううぅっ……」
 逃げだそうとしたすばるの手を、すずはもう一度強く握り直した。
 二人ならきっと大丈夫――恥じらいに顔を真っ赤に染めたすばるに、そう呟きながら。
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No title

ヤバいヽ(*´∀`)ノ好き!ごちそうさまでしたw

Re: No title

> ヤバいヽ(*´∀`)ノ好き!ごちそうさまでしたw
おねしょ好きはいないのか……orzと絶望しかけた時に希望の光が!
ありがとうございます、書いて良かったですw

おねしょかわいい!すばるが調教される続きを読んでみたい

 

思春期の女の子の、幼い悪癖をからかってひたすら羞恥心を煽るシチュ、最高です
ただ、文章の中に矛盾がちらほら出てくるのは、読んでいて少しもやもやしました

Re:  

> 思春期の女の子の、幼い悪癖をからかってひたすら羞恥心を煽るシチュ、最高です
> ただ、文章の中に矛盾がちらほら出てくるのは、読んでいて少しもやもやしました
ひとえに技量不足ですorz モウシワケナイ
なるべく減らしていくつもりですので、長い目で見て頂けると幸いです

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