FC2ブログ
Entry
Archive
Category
Link
RSS Feed
Profile

伏屋のづ

Author:伏屋のづ
Mail:nuderiff@gmail.com

書き殴った【おむつ・おもらしフェチ】系妄想置いてます
だいたい月一でもえないごみがふえるよ
文章も構成も壊滅的なんで重箱の隅突きなど歓迎中
萌えについて模索中なので作風も質もブレまくるよ

2016/01
>あいかわらずにほんご書けてねえ
>よかったら好きなシチュ語ってもらえるとうれしいです
@ごみばこ

Access Counter
Mailform
リクエスト参考にします
(書けたら書くかも)

名前:
メール:
件名:
本文:

Comment
TrackBack

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

trash #030

■おねしょもの

■朝
「はあ、だる……ふあぁ……」

 寝起きの悪い松原璃聖(リセ)の朝は、だらしない格好のまま洗面所に向かう事から始まる。くたびれた黒いスウェットパーカーにぼさぼさに広がった茶髪プリンのセミロング、目付きの険しさだけ見れば一人前の不良と変わらない。顔立ちも童顔で背丈も低いクセに、大口あけてあくびを一つ吐いてぽりぽりと腹を掻く仕草もふてぶてしい。不機嫌なのは、寝る前に穿いていた下着のせいだ。下履きも履かずに晒したリセの下半身を包んでいたのは、お腹まですっぽり隠した大人用紙オムツ。お尻の方まで黄色く染まり、木の枝みたく細い脚の間で今にもずり落ちそうになっている。
 17年間、生まれてからずっと、リセが夜のオムツを卒業出来た夜はなかった。

「チッ……あ゛ぁもう、ウザっ……くそッ……」

 難治性夜尿症。診断がついた所で、現実はなにも変わらない。悪態をついてもイライラも増すばかりで、リセの眉間のシワもより一層深くなってゆく。
 ぐっしょりと濡れた紙オムツのせいで、リセは毎朝よたよたと大股を開いた情けない歩き方を強いられてきた。少しでも急げば、重たくなったおねしょオムツの股の部分から、おねしょがじわりと漏れ出してしまう。リセの夜尿症はそれほどまでに酷かった。
 薬、おねしょタイマー、お灸、体操。信じては裏切られ、繰り返す度に諦めを覚えた少女にとって、無邪気さや素直さは遠い過去の記憶でしかない。
 低い呻き声をあげながら洗面所に着くと、リセはすぐにオムツに手をかけた。パンツタイプだから、立ったまま腰のサイドギャザーを破ってしまえば、忌々しい夜の下着は重みに任せて床に落ちてゆく。大量の水気を吸ったポリマー素材は衝撃で鈍い音を立てながら、足下に広がった。巨大な生理用ナプキンにも似たオムツに見えたのは、黄色い湖。
 『おねしょ』なんて愛らしい幼児語で言い表すことも出来そうに無い、立派な夜尿症の証だった。

「………………はぁぁっ」

 恥部から立ち上る尿臭は、今や香水でも落とせないほど染みついていた。17年モノのおねしょ暮らしに泣いたり喚いたり、絶望した日々もあった。だが今やもう、リセの中では激しい情動さえ枯れている。ただ自身の失敗を死んだ魚の目で見下ろして、尽きない溜め息を吐くばかりだ。
 ただ、捨てきれなかった一抹の望みが、胸の奥で微かに痛む。下らない期待に流されて自分の失敗を自分で目にするなんて馬鹿げているにもほどがあるというのに。

(片づけよう……どうせ確認したっておなじだし)

 『中学に上がるまでには絶対おねしょを治そう』――そんなささやかな願いが破れてもう5年も経ったというのに、まだ諦めきれずにいる自分に苛立ち、リセは呻きながら頭を乱暴にかきむしった。
 身体も育ち、少ないながらも胸も膨らみ、生理も来た。なのに、排泄能力だけは、ずっと立ち止まっているのだ。
 『このまま一生オムツがとれないままだったらどうしよう』――大人になっても夜が来る度にオムツを濡らし、赤ん坊のようにお漏らしの匂いをさせながら生きていかねばならない最悪の未来は、もうそこまで近づいている。

「っざけんなよ、クッソ……なんでアタシが、こんなガキのまま――っ」

 焦燥感に捕らわれれば人は簡単に周りが見えなくなる。
 リセが気配に気付くより、洗面所のドアが開く方が早かった。

「……お姉ちゃん? ご、ごめんなさいっ!!」

 ドアの前にたっていたのは、ぽかんと目を丸くしていた、耳付きフード付き着ぐるみパジャマ姿の15歳。
 妹の有海(アミ)は、リセが反応する前に、慌ててドアをバタンとしめた。

「っ、かっ、関係無えだろっ! 謝るんじゃねえよっ、バカじゃねーのっ!?」

 ドアの向こうに聞こえた逃げる足音に罵声を向けても、返事は返ってこなかった。
 空しさが胸の奥に去来する。もう、激しい気持ちはとっくの昔に枯れたはずだったのに――

「クソっ、くそがっ……。なんだよもう、何でアタシだけ、オネショなんて……! バカじゃねえの、ほんとっ……」

 拳を握りうつむく目は、決して逃げない意志の強さを捨ててはいない。
 それ故に、何一つ変わらない現実のせいで、罪悪感ばかり増していた。
 おねしょパンツから大人用紙オムツに替えた時は、『病気だから仕方ない』と言い訳が出来たつもりだった。
 だが、一晩中の尿を吐き出して冷えきった身体は、まだ尿意を覚えてしまう。
 どれだけ覚悟を強く持とうとも、したくなってしまうお漏らしは、自分の身体は我慢さえ出来ない。
 だから――

「……ナニも変わんないだろ。アタシは、ガキのままで……」

 考えたくもない最悪の思考が頭の中で巡り続ければ、最初の威勢も萎れてゆく。
 出来ることといえば、思考停止してただ手を動かすことだけ。
 床に落ちた紙オムツを、おねしょで手を汚しながらくるくると巻いて、洗面所のオムツ入れに放りこむ。
 それから隣の風呂場のシャワーで念入りに、石けんまで使って性器の中まで洗浄してから、漸くひと心地つくことが出来た。
 何も昼間で夜の記憶に引き摺られることはない。お気に入りのレースの紫のローライズショーツを穿いて気分をアゲてから、リセも部屋に戻って制服に着替えた。

「……うっし、行くか」

 鏡に映る姿は白いネクタイに襟に2本のラインが入った濃紺セーラー服姿の女子高生。荒く着崩せば自分の夜の幼さだってすぐに忘れられた。
 どうせ今日も面倒臭い一日になる。だったら適当にやり過ごすに限るだろう。

「はよーっ……」

 気怠い口調で挨拶して食卓に着くなり、妹が深刻な顔で頭を下げてきた。

「ごめんね、お姉ちゃん……。私、お姉ちゃんが入ってるの気付いてあげられなくて――」
「…………」

 それだけで、折角持ち上がった気持ちさえ、すぐにまた地獄の底に落ちてしまう。
 暗い目でうつむくリセにとって、実家の逃げ場の無さは起きてみる悪夢でしかなかった。

「有海、またやったの? ダメじゃない、お姉ちゃんちゃんと一人で後片付けしてるんだからじゃましたら――」

 心配する妹も同調する母親も、悪意の欠片もない純粋な善意でリセを想い気遣っているのだろう。
 ただ死ぬほど無神経なせいで、まるで最悪な気持ちのままでいろと強制されているにも等しい。
 もはや家庭は、リセにとって安心して生活出来る環境でもなかった。
 先周りするような家族の優しさが、ささくれだった心を踏み荒らしてしまうから。

「ッ――せえよ! ヒトの寝ションベンそんなに面白いかよ!?」

 リセだって、椅子から立ち上がって声を荒げずにいられなくなる。
 上等な進学校に通うブレザー姿の頭の良い妹に、頭脳でも腕力でも敵わないから、吠えることしかできないというのに。

「そんなつもりないっ! ごめんっ、お姉ちゃんっ、私が悪かったから!」

 なんでみんな、自分の一番弱くて痛い所を踏み抜いてゆくのか。
 考えても分からない疑問に頭を痛めながら、リセは朝食を残したまま、家を飛び出していった。

「アタシが悪いに決まってんだろ、寝ションベン垂れが悪くない訳無いだろバーカッ!!」

 制服の袖で瞳に沸き上がる熱を拭いながら、小さな背丈は届く妹の声から逃げる様に通学路を走り続けた。
 どうせまた帰らなくてはならない家から、逃げられない自分を呪いながら。

■夕
 『自分のことは自分でやること、そうしないとお姉ちゃんにはなれないからね』

 昔聞いた言葉は、今もリセの中に根付いていた。今じゃ何の根拠もないただの言いつけだと分かっていても、身体は自然と従っている。良いも悪いもなく、ただそういうもの。疑うまでもない常識と同じだ。
 物心もついて自分の意志をきちんと伝えられるようになれば、それも自分で積極的に選ぶ行為に変わる。

 だから大丈夫だ――そう何度リセが同じことを言っても、伝わらない奴には伝わらない。
 例えば退屈な学校の帰り、立ち寄ったドラッグストアで待ち構えていたリセの母親のように。

「璃聖、いいのよ? お母さん行ってくるから」
「ほっとけって言ったの、聞こえなかった? いっつもそうだよな、あんたヒトの話聞かないで自分の話ばっかりして」
「だって、お母さんリセが傷つくと思って――」

 ――話にならない。強く舌打ちをしてリセは母親に背を向けた。昔は従順だったリセも、今となってはこんな親に世話を焼かれるくらいなら全部自分で処理した方がマシだという反骨心だけで動いている。薬局は本当なら望んでくるような場所ではなかった。夜遊びもしなければ病気とも縁がない。そもそもチビの童顔に迫ってくるのはロリコンだけで、学校でそんな輩に出会った経験もない。

(本物のガキよりガキだしな)

 心の中に吐き捨てた自嘲が、また罪悪感に響いて胸を痛くさせた。痛みに優る罰はないと信じるリセは、情けない罪悪感を拙いやり方で購う以外の方法を持ち合わせていない。
 だから――ドラッグストアで自分が使う紙オムツを買うのも、リセにとっては一種の自罰行為でしかなかった。

「……見んじゃねえよ、消えろってんだよ!」

 背中に感じた気配に一喝して、リセは大人用オムツの並んだ棚に背伸びして手を伸ばした。本来リセの体型なら幼児用紙オムツ、最近ならスーパーBIGと区分分けされた大きめの紙オムツも余裕で入るし、むしろゆるい位だ。それどころかパジャマ姿の幼女が笑顔を見せた幼稚なピンクのパッケージのおねしょパンツ――3~5歳児用の紙オムツの方が一番漏れもなくぴったりとフィットしてしまう。

(母親に頼んだら、またあんなの穿かされるだけだろ)

 暗い記憶がフラッシュバックして、またリセの瞳が曇ってゆく。一度重たい風邪を引いた時、リセは朝も夜もオムツなしには動けない日々が続いた。その際母親が持ってきたのがよりにもよって幼児用おねしょパンツだった為に、枯れた喉で大喧嘩する羽目になったのだ。結局身動きも取れないリセはおねしょパンツを穿かされ、風邪ひきの喉で叫んだ為に幼稚なオムツを使い果たすまで寝込まざるを得なかった。そんな苦い思い出は、もう二度と繰り返したくはない。

「……これでいいだろ」

 例え自分を辱める紙オムツを選ぶ問題も、リセには一握りのプライドがかかった行為だった。SSサイズでもゆるい大人用オムツを『尿量が多いから赤ん坊のじゃダメなんだ』という身を切るような苦しい理屈で押し通し、布団におねしょシートを敷くまでして押し通したのは、ただ単に『大人用』の響きに拘っただけという理由でしかない。

(いいだろ別に……アタシはガキじゃねーんだし。アイツらに任せたら、ぜってーガキ扱いしやがるに決まってる)

 痩身が隠れるほど大きなオムツのパッケージを抱え、リセはふらふらと歩くレジまで歩いてゆく。汚れた髪色の不良少女が懸命に紙オムツを運ぶ姿は『祖母の世話を甲斐甲斐しく焼く』、昔ながらのイメージ通り、弱い者にはやさしい不良を自ら演じているような滑稽さがある。その方がリセにとっても都合が良かった。学校から遠いドラッグストアならリセを知るはずの者もいない。
 そう――踏んでいたのに。

「リセじゃん! なあなあ自分、ナニしてんの-?」
「バイト? ちがうよな、セーフク着てるし」

 いないはずの人間は、間の悪い時にこそよく現れる。紙オムツに気を取られてた隙に、リセはクラスでつるんだ悪友たちの集団と鉢合わせてしまった。

「これは……別に……ッ」
「オムツ? なになに、浣腸でもすんの?」
「バーカ、プレイじゃないんだから。あ、ひょっとしてそういう目的?」
「リセには大きすぎくね? 絶対あっちの赤ちゃん用の方が似合うって」

 軽口をたたき合い笑う仲間たちは、いつもリセを年下やガキ扱いしてきた。それでも一緒にいられたのは、家族のような善意の無神経より、ただ笑う為のネタとして消費する方がリセにとって気楽だったからだ。
 だが、その気楽さが、今となっては仇になっている。仲が良いからこそ、逃げたり言い訳したりでごまかせやしない。

(ど、どうしよ……。コイツらにまでバレたら、アタシ……行くとこ無くなる……!?)

 幼小中、ずっと同じ地域の繰り上がりで成長してきたリセにとって、学校生活はオネショを揶揄されるばかりの日々だった。高校受験でレベルを落としてまで別の学校を選んだのは、おねしょっ子であることを隠して年相応に扱われるだけの高校デビューを目指した結果だ。それがこんなところで崩れれば、15年続いた悪夢の日々に戻ってしまう。

「あ、その……こ、これっ、実は――」

 リセもヘラヘラと笑って余裕を繕ってみせるも、背中を流れる冷や汗も止まらず、下着さえ濡れてしまいそうになる。スカートの中でガタガタと震えた膝も抑えきれず、絶体絶命の窮地に立った時。

「璃聖ーっ、早くそれもってきてー! おばあちゃんのオムツもう無いんだから手伝ってよねー!」

 遠くから、母親の声が聞こえた。途端に、制服姿が一斉にざわつく。

「お、あれってリセのオカン? 似てねえ、ウケるな」
「オカン美人さんじゃん、リセも大きくなったらああなんのかー」
「なんだオカン手伝ってたんだ、えらいじゃんリセ」

 同級生たちはリセの背中をバシバシと叩き、友人の家族の話題で盛り上がった。
 逃げるなら、今しかない。

「ま、まあなっ。じゃ、じゃあ、アタシ行くから」

 ぐるりと背をむけると、母親は困った顔をしてリセを呼ぶ様に手招きしていた。『じゃあな』の合唱からほうぼうの体で逃げ帰ったリセが駆け寄ると、母親はほっとした様に笑顔を見せた。

「大丈夫よ。璃聖にはママがいるんだから、もっとちゃんと頼ってくれても――」

 途端に、リセの顔面に、一気に熱が込み上げていた。見なくてもわかるほど、耳まで真っ赤に染まってゆく。一人で自分のことをやるという誓いを自分の臆病さで破ってしまった。その羞恥がリセのプライドをズタズタに切り裂いていく。

「……私が、やるから。もういい、レジまで運んでくる」
「あ、璃聖!」

 結局また同じことのくりかえしで、一つも成長出来てなんていない。
 おねしょどころか、オムツさえも怖くて買えない臆病さだ。
 掴んだパッケージに爪を立てながら、リセはレジに紙オムツを投げ捨てる様に置いていった。
 レジ打ちが戦くのも気にしない、涙目でにらみつけたままで。

■夜
「んう……。ふあぁっ……!」

 気付けば深夜1時を過ぎていた。スマホでLINEやTwitterを眺めている内に、寝落ちする同級生も少なくないらしい。リセもその内の一人だが、寝る前の準備もせずに夢を見る事は出来なかった。
 ごそごそとベッドの下の籠に手を突っ込み、買ったばかりの大人用オムツを取り出す。小学生中学年の時から、寝る前の支度は自分で出来る様になっている。当たり前のことすぎて、何の感慨もわかない日常的な行為だ。

「っ……くそっ、力入んねぇ……」

 今日は朝から色々あった。ストレスが多い日は、リセに訪れる眠気も一層強くなる。お陰でいつもならベッドに寝たまま脚を通せたはずの紙オムツも、今夜はどうしても上手く穿けない。

「あ゛ぁ、もお゛おぉ……っ」

 睡魔とイライラで頭がいっぱいになっても、そのままふて寝すれば後で泣くのは自分しかいない。
 諦めてベッドから立ち上がると、リセは片足ずつを持ち上げて紙オムツにゆっくりと通していった。

「ふっ……っ」

 微睡んでいても肌をくすぐる不敷布のギャザーの感触で、生理的嫌悪感を掻き立てられてゆく。
 両脚を通してお腹の上まで裾を持ち上げている間も、お尻をすっぽりと包まれる紙オムツの冷たさに背筋も震えた。
 足回りのギャザーに指を入れ、漏れない様にチェックする時など、言いようのない情けなさで目も覚めてしまった。

「んっ、んううっ……。はぁっ」

 それでも、穿けてしまえばそれで終わる。せめて夢の中では、心安まる時間を望みたいと、大きく背伸びをして、洗面所に向かった。寝る前の歯磨きを終わらせればそれでもう下らない一日もお終いになる――はずだった。

「――――――あぁ」

 洗面所に置かれた姿見は、いつもならタオルで隠して見えないようにしていたはずだった。
 今夜は疲れたリセが先に風呂に入ったから、どうやらアミがあとで鏡を見たらしい。
 だから、姿見は隠す事無く、リセの前身を露わにしていた。

 スウェットの下に紙オムツを穿いた、貧相で情けない、大人の真似して格好つけただけのお子様の姿を――

「あああああもおおおっ!! 死ねっ、死ね死ね死ね死ね死ね死ねえええっ!!!!」

 誰もが寝静まった真夜中に、リセはドタドタと駆け足で階段を上り自室に逃げ帰った。どんなにスレて荒れてみても自分の下半身はずっと赤ん坊のまま止まったままだ。恋を知る少女になっても、仕事を担う大人になっても、誰もが先を進む中、オムツも卒業出来ないおねしょっ子のまま置いていかれる――そんな悪夢に、リセは堪えられなかった。

「お姉ちゃんっ!? どうしたのお姉ちゃん、大丈夫!?」
「うるさいほっとけっ、アミなんて死ねっ!!」
「何それ!? 私お姉ちゃんの心配してあげてるのに酷くない!?」
「うるさい死ねばあああかっ!!」

 何より現実として、ドアを叩いて叫んだ妹にさえ、リセは既に追い抜かれてしまっていた。自分の存在さえ呑み込みそうな劣等感から逃げる様に布団を被って、リセは握ったスマホで必死に検索を始めていた。

 『おねしょの治し方』
 昔一度検索して、絶望したキーワードだ。どうしようもない正論と共に、並ぶコメントに絶望した覚えがあった。
 でも今度こそ、次こそはきっと。そんな期待を込めて、何度も同じ間違いを繰り返した。

「出てっ、出てよ……頼むから、お願いだからぁっ!」

 そして今度も――学べなかった。

 『おねしょっ子写真掲示板』『おねしょ羞恥小説』『夜尿萌え』
 夜尿症治療の後に続いたサイトの名前は、おぞましい変態性癖の羅列。
 それはおねしょ治療サイトに付けられた変態共の発想そのものだった。

『治さなくて良いんじゃない? おねしょする子って可愛いし』

 殴ってやりたい気持ちにかられても、画面の向こうには誰もいない。
 この部屋にいるのはただ一人、ディスプレイに映る情けない泣き顔を晒すリセがうずくまっているだけだ。

「ばっ……かじゃねえの……ふざけんなよっ、ヒトの苦しみも、わかんねえクセによおおっ……!」

 望んでしている訳でもないのに寝ている間だけお漏らし癖の赤ん坊と同じレベルに落ちる屈辱は、死にたくても死ねない終わらない地獄だ。そんな気持ちをもう誰にも分かってもらえないと、リセは期待を抱く度に絶望を味わってきた。
 涙は枯れたはずだった。感情も萎れたはずだった。なのに、まだ、17年続いたおねしょのように、リセは未だに声を上げて泣くこともやめられずにいた。

「うううっ……うあああああっ……!」

 せめて二度と起きる事がなければいいのに、そうすればオネショに死にたい思いをすることもないのに。
 そんな願い一人で呟き、枕を涙に濡らしながら、リセは柔らかいベッドに沈み込む様に意識を失っていった。

■深夜
 どれほど時間が経っただろう。暗闇の中でごそごそと、物音が聞こえた。
 お腹の奥に尿意が溜まっていることに気付き、リセがもぞもぞと身をよじらせると。

「あら、起こしてごめんね。すぐオムツ替えるからね」

 母親の声で、お尻に広がる生暖かい感触に気付いた。
 ぐっしょりと濡れたおねしょオムツが開かれて、おねしょに包まれていた肌が冷たい外気に触れる。

(クソ……なんで、もうしちゃったんだよ……。やめろよもう、自分で出来るからさあ……)

 朦朧とした思考を声に出そうにも、思った通りに声が出ないし、目も開けられない。
 ただ母親の声と、触れた指先、そして下腹部の熱だけが何が起きているかを知らせていた。

「ほら、ぐっすり寝ないと大きくならないって言うじゃない。璃聖は昔っからよく寝る子だったから――」

 優しい声色で世話を焼く母親の母性を一身に受けても、夜尿症が治ったことは一夜もない。

(じゃあなんで、クソチビのままなんだよ……)

 その情が憎いと、胸の中で叫んでも、やはり身体は動かなかった。
 まるで本当に身体の大きな赤ん坊になってしまったかのようで、きっと尿意を感じても我慢できそうになくて――

「……あら? 璃聖ちゃん?」

 頭に過ぎった不安はただの想像では終わってくれなかった。生々しい感覚まで浮ぶのは、それが真実だったから。

(待てよ……ちょっと待て!? 今出たらダメだろっ!? 待てっ、待てってばァ!?)

 下腹の奥をくするぐような衝動は、すぐに尿道に押し寄せ大波に変わった。ひくつく恥部に力を入れても、抑えるどころかむしろ勢いを加速させてしまう。

(ダメっ、ダメだ……あ、あっ、あああぁっ――!?)
「あらあらあらっ!? ちょっと待ってっ、璃聖ちゃん、おねしょはオムツにしなきゃ!」

 せせらぎの音が下腹部から上がると同時に、冷たい外気に晒された恥部に新しい紙オムツの乾いた感触が触れた。押し当てられたオムツ越しに感じたのは、母親の掌の大きさ。その圧力に密着した尿道口から、勢いよくおねぼけおねしょが吹き上がっていった。呆然としたリセの身体は、緩んだ蛇口のように勢いよく放尿を続け、最後の一滴まで吐き出し続けてゆく。勢いが止んだ頃には、乾いていた紙オムツもすっかりぐしょぐしょに濡れてしまった。

「もう大丈夫。ほら、新しいオムツに替えようね」

 何事もなかったかのように新しいオムツを用意し始めた母親の声で、リセも茫然自失から戻っていた。

(あ、アタシ……しちゃった……。お母さんがオムツ当ててくれてる時に……お母さんの手にオネショ、しちゃった……)

 リセが今まで虚勢を張れてこられたのは、オネショの現実を知らなかったからに過ぎなかった。
 だからこそ、目の当たりにした今、自分が必死に守ってきたプライドが、音を立てて崩れていく。

(あは、あははっ……わたし、本物のションベン垂れだ……ははっ、オムツの取れない、赤ん坊だったんだ……)

 暗闇に沈んだ子供部屋の中、ベッドに横たわっていたリセの目尻にすっと、一筋の涙が零れてゆく。
 だれも拭う事のないおねしょの涙は、彼女が学んだ自分の幼さの証だった。
スポンサーサイト
[PR]

デリヘルもソープもイメクラも気に入った子がきっと見つかる
超大型リニューアル中の大好評風俗情報サイト!

comment

Secret

No title

ふぅ……
なんだろう、この子を受け入れてくれる優しい人に会える続編を考えてしまうくらい切ない(´;ω;`)

No title

相変わらず素晴らしいです
少しでいいから後日談も読みたいですね

Re: No title

拙文に目を通して頂き、いつもありがとうございます
やっぱりやさしい世界の方がいいですかね? どうなんでしょうか
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。