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伏屋のづ

Author:伏屋のづ
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書き殴った【おむつ・おもらしフェチ】系妄想置いてます
だいたい月一でもえないごみがふえるよ
文章も構成も壊滅的なんで重箱の隅突きなど歓迎中
萌えについて模索中なので作風も質もブレまくるよ

2016/01
>あいかわらずにほんご書けてねえ
>よかったら好きなシチュ語ってもらえるとうれしいです
@ごみばこ

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(書けたら書くかも)

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trash #026

 おもらしみはるの飼われ方。


「みはるもするの……。みはるだってできるから、ねえ、だしてよお……。おねがいっ、るなちゃん、みはるもおそと、だしてってばあ……っ!」

 降谷海晴《ふるやみはる》が21才の誕生日を迎えた世界は、背丈より高い柵に囲まれたベビーベッドの中だった。学生時代に抱いた夢も希望も、面影さえ今や昔。柵越しに腕を伸ばしても今の彼女には自由さえ遥か遠い。手を伸ばしても届かぬ世界に、無様な嫉妬と叶わぬ憧れに身を焦がす事しか出来ずにいる。

「まま、ゆみな、ちーでたよ! ゆみな、みーちゃよりおねえちゃんなの!」
「よかったねぇ、有海奈ちゃん。ひとりでちー出来たから、そろそろオムツも卒業かな? 海晴ちゃんより先に、かわいいパンツのおねえちゃんだね!」

 目前ではまんまるほっぺに短いツインテールの愛らしい幼女が、淡い黄色のおまるに座り、元気よくおしっこの音を響かせていた。その隣で、娘のトイレトレーニングを優しい眼差しで見つめた若い女性――久藤瑠菜《くどうるな》が、横目で海晴を一瞥する。娘よりも手の掛かる困った妹だとでも言うように。

「るなちゃんっ、みっ、みはるもっ、ちー、ちーできるからぁっ……」
「あらあら、海晴ちゃん、もう少し待っててね。有海奈のおしっこが終わったらすぐオムツ替えてあげるからね」
「ちがうの、みはる、お、おむちゅ、ないないなの……。ちーできるの、みはる、おねえちゃんだからぁ……!」
「みーちゃ、わがままいっちゃめーなの。みーちゃはまだおむちゅのあかちゃんでしょ!」

 悲壮な哀願を繰り返す海晴に対し、母親の躾けを真似た娘の久藤有海奈《くどうゆみな》にまで諭される。2歳児に叱られる屈辱に、海晴も情けなく口籠もってしまう。

「あ、あかちゃんじゃない……わ、わたしっ、ちゃんとおしっこ出来るから! そしたらこんな格好だって……」
「そう言って何度もオムツ外して、お洋服もベッドもぐしょぐしょにしたよね。自分じゃ何一つ出来ないですもんねえ……お漏らしっ子の海晴センパイ」
「そ、そんなの、やだっ……そんな呼び方、昔のなんか、やめてよぉっ……」
「みーちゃ、あかちゃんだもん。ゆみなはぱんつのおねーちゃんだよっ!」

 ベッドの柵を掴み、小さく震えた海晴の姿を意地悪く笑いながら、瑠菜がオムツを床に脱ぎ捨てた有海奈に、新しいピンクのショーツを穿かせてゆく。アイドルアニメ柄の女児ショーツもオムツより『おねえちゃんパンツ』には違いない。スカートをめくって誇らしげにパンツを晒した有海奈の態度は、臆病に萎縮する海晴自身に自分の幼稚な境遇を恥じ入らせるには充分過ぎた。

「そうそう。オムツだけじゃなくて、ベッドも玩具も、お洋服もね」
「いや……いわないでよお、るなちゃんってばぁっ……」

 海晴の容姿は、自分の事をセンパイと呼ぶ瑠菜よりも遥かに大人びている。目尻まで整ったラインを描く切れ長の凜々しい瞳に長く薄い眉、シャープな輪郭にくっきりとした目鼻立ちが彫りを描いた顔立ちは、彼女が生来持っていた冷たい知性の美しさを思わせる。白磁のように薄い色素の細い長い手脚、と胸元の豊かな膨らみも、幼稚な言動とは相反した成熟の証に他ならない。
 だが、その頬には涙の痕、口元にも食べ残しの白い汚れを残し、回らぬ舌で喋る度に、よだれまでこぼしている。オドオドと怯え、時折大きく膨らんだお尻を気にしてもじもじと内股を絞る挙動は、赤子と何も変わらなかった。
 極めつけはベッドを中心に広がった、原色の色彩の満ちあふれた世界。
 肌をくるむタオルケットは柔らかいサテン、天井には童謡を奏でるサークルメリー、そしておしゃぶりとよだれかけにロンパース。新生児を優しく囲んだ保育室《ナーサリールーム》が、今の降谷海晴の人生の全てだ。
 幼児プレイ――常軌を逸した倒錯性癖の筆頭たる状況に囚われ続けた異常が、海晴の自尊心を際限なき恥辱で苛み続けている。成人女性を母親の庇護無くしては生きていけない乳幼児と同様に扱われ続けてもう3年、瑠菜と同じ母校を卒業してから今日まで永遠と繰り返された『育児』は、今や海晴から人として当然の反発や自立心さえ奪い尽くしてしまっていた。

「有海奈の次は、海晴ちゃんの番ね。もうお漏らししちゃってるんでしょ?」
「しっ、してないしてないからっ! わたしはあかちゃんなんかじゃ――!」

 パンツが穿けたとはしゃぐ娘から離れた瑠菜が、おまるの側に置かれた紙オムツのパッケージを破り、中から一枚のオムツを取り出して見せた。さっきまで有海奈が穿いていたパンツタイプではなく、寝たままでも当てられるテープ式の紙オムツ――ベッドから出られない海晴にとって、わざとらしく見せつけられた淡いピンクのハートが踊る赤ちゃんのための幼稚な下着は、逃げられぬ痴態がまた始まる事を示す死刑宣告に等しい。柔和な笑顔に隠しきれない嗜虐を湛え、ゆっくりとベビーベッドへ近付いてくる瑠菜の姿に思わず後ずさるも、狭い鳥籠にそもそも逃げ場などある筈もない。背中に叩きつけられた柵の堅さに戦いて、反射的に情けない怯えが漏れてしまう。

「ひっ!? やだやだやだっ、おむっ、おむちゅ、ないぃ! おねがいします、るなちゃん、やめて、やめてよぉ……ねっ、ねっ? わ、わたしっ、いいこにするからっ――」

 青ざめた顔で泣き笑いながら必死に情けを乞う海晴に、既に余裕なんて欠片もなかった。本当はもう、有海奈のトイレトレーニングを眺めていた時に既に、我慢しきれなかった尿意はちょろちょろとあふれ、下着に何度も小さなシミを残している。爆発寸前の生理欲求を力尽くで抑え込もうと両手で栓をした股間には、ロンパースを不格好に膨らませた赤ん坊のための下着――瑠菜が手にしたモノと同じ紙オムツが、が吸収パッドを含めて何枚も重ね当てられている。
 ――このままでは、『また』オムツをお漏らしで汚してしまう。
 いや、最早限界に留め切れなかった排泄欲が、下腹を襲う津波にも似た衝動を伴って、乙女の秘裂から間歇泉の如く爆ぜては零れの循環を始めていた。熱い飛沫が尿道を駆け下りる度に、晴海は苦悶から逃れられる開放感と同時にオムツを濡らしてしまった後悔に襲われ、自分の存在さえ抱えきれないほどの自己嫌悪に堪えきれず、人も場所も弁えず、大声で泣き出しそうになる。
 そんな痴態をオムツが取れたばかりの幼児とその母親に――学生時代の後輩に見られてしまえば、なけなしの自尊心も積み木のように崩れてしまうだろう。
 そうなればまた、瑠菜や有海奈にお漏らしに濡れたオムツを見られてしまう。赤ん坊のようだと嗤われて、新しいオムツを穿かされる。2歳児でさえパンツなのに、海晴は21歳にもなってもまだ紙オムツさえ卒業できないなんて――

(もう、こんなの、やだっ……。オムツもお漏らしも、赤ん坊みたいな生活も、全部嘘だ……返して、私を、元の大人に返してよお……!)

「ひっ、えぐっ、うっ、うぅっ……。お、おねが、ひっ、ひぐぅっ……」

 下腹に暴れ回る痛覚ははらわたを破る勢いで海晴を苦しめていく。大人びた反論も幼い媚びも、今や息も絶え絶えの喘ぎ声に変わり果てた。瑠菜はそんな訴えには応えぬまま、淡々とベッドの柵を下ろしていた。一抹の期待を込めて、海晴もベッドから下ろして貰おうと、彼女に向かって片手を伸ばすも。

「今更何言ってるの? 散々オムツ汚してきた赤ん坊のクセに。今更大人に戻れる訳ないでしょ。一人じゃ何も出来ない、飼われるだけの変態のクセに」

 ――笑顔一つ崩さぬ瑠菜に、伸ばした腕を叩き落とされる。
 突然の衝撃に、張り詰めた糸は、呆気なく切れてしまった。

「ひっ、ひぐっ……ふえぇ……。うええん……うあああああんっ……!」

 強がりや虚勢に見せた引きつった海晴の笑顔が、表情筋をぐちゃぐちゃに歪ませた哀れな泣き顔に変わってゆく。瞳から大粒の涙がポロポロと零れるのも止められない。乳幼児の世界は愛し愛される母子関係が全てだ。そこで強烈な拒絶を受ければ、自己存在だけでなく世界さえ崩壊する程の恐怖に襲われる。
 理性も矜恃も安定した自己に拠って始めて成立する――精神均衡を失うレベルの恐慌状態に陥った瞬間、抑えてきた衝動は堰を切って一気に流出した。

 ――じょおおおおっ……! じゅっ、じょろっ、じゅうううっ……!

「うぇっ、ひうっ……! やだっ、おもらしやだぁっ……といれがいいの、みはるも、といれでおしっこできるもんっ!! うええん、うああああんっ!」

 恥ずかしい音を立てて始まった恐怖失禁の絶望に、海晴も半狂乱になり嘆き叫ばずにはいられなかった。無理を重ねて悲鳴を上げていた膀胱括約筋は熱い奔流の怒濤に飲まれ、我慢に痛む尿道も切なげにひくつき、流れる勢いを貪るように放尿快楽に溺れてしまう。成人女性のプライドに縋り付こうにも、紙オムツに広がってゆくぐずぐずに濡れ感触と否定しても止められないお漏らし、その現実の渦中にあっては、ロンパースのお似合いな赤ん坊のようにぐずることしか出来ずにいた。

「あ-! みーちゃ、おもらししちゃってる! まま、みーちゃのおむつおしっこでびしょびしょだよ! はやくあかちゃんおむつかえてあげて!」
「うふふ、有海奈はえらいねえ。瑠菜ちゃんのお漏らし、もうお姉ちゃんだからちゃんと教えてくれるんだねぇ」
「そーなの、ゆみな、おねーちゃんだもん! みーちゃは、おとななのにあかちゃんなんだよ!」

 アダルトベビーの痴態を前に、親娘が仲睦まじく成長を喜び合う。トイレトレーニングを乗り越えた幼子の自負故か、有海奈もはっきりと海晴を自分より幼い存在だと認識しているようだ。無邪気にはしゃぐあどけない言葉に、海晴も自分が2歳児におしっこ我慢で負ける21歳だと思い知らされてしまった。
 その上、排泄さえ我慢出来なかった無力感に顔の青ざめた海晴に、瑠菜は更に和やかに追い打ちをかけてゆく。

「やだ……あかちゃんじゃないぃ……。みはる、おとなだもん……おむつなんかやだああ……ひっ、ふえっ、うえええんっ……!」
「はいはい、おとなの海晴ちゃんにはかわいいオムツを当ててあげまちゅからねえ。有海奈もお姉ちゃんになったしそろそろ海晴ちゃんのオムツのお世話も任せようかしら。ふふっ、おっきな赤ちゃんなら怪我の心配もないしね」
「ひっ……!? やだやだやだぁっ!! えぐっ、うええん……! こんなの、こんなのって、ないよおおぉっ……!」

 暗澹たる未来予告に、火が着いたように号泣した海晴に、抵抗に使える力は何一つ残されていなかった。ロンパースの股繰りのボタンを外され、黄色いお漏らしの色が透けた紙オムツを開かれ、雫輝くレモン色の海に浸かり、アンモニアの匂いの染みついた幼子のように陰唇の閉じきった無毛の秘所を晒されても、大股を開いたままわんわんと泣きじゃくる以外に、気持ちを吐き出す術がなかった。悲しすぎてオムツ替えの最中にもかかわらずちょろちょろとお漏らししてしまい、その醜態を有海奈に笑われ更に泣き声も激しさを増してしまう。

「あらあら、やっぱり晴海ちゃんは、新しいオムツが好きなんだね。当てたばかりの新品おむちゅにおもらししーしーしちゃって、気持ち良さそうだねえ」

 からかう瑠菜に見下ろされたまま、また新しいオムツを当てられて、ベッドの柵は閉じられてゆく。よだれかけで涙と鼻水でぐしゃぐしゃの顔を拭かれて、そしておしゃぶりまで加えさせられてしまっても、泣き疲れた身体は身動きも出来ず、重たくなった頭の中に鈍い睡魔が広がってゆく。

(このままずっとオムツの赤ん坊で……一生お漏らし治らない人生なんて……。こんなの、どうして……やだ……。もうやだよお……帰してよお……!)

 晴海は、瑠菜と出会ったその日から続いてきた地獄を、何度悪夢に見ただろうか。救いのないリフレインは夜が来る事さえ恐ろしくさせ、眠る度に恐怖でオムツをぐっしょりと濡らしてきた。だから寝てはいけない――そう理性で言い聞かせても、身体はもう排泄欲も不快感も、生理欲求を何一つ堪えられない緩みきったペットの暮らしに慣らされている。
 咥内に溜まった涎をこぽり、口角に泡と吐いてよだれかけにこぼしながら、晴海は重たく沈む瞼に、視界も意識も遮られてしまった。

「うふふっ、ゆっくりねんねしたら、またかわいい晴海ちゃんに撮影のお仕事が待ってるからね……それまでは、静かにおやすみ……」

 天井のサークルメリーが優しい子守歌を歌う穏やかな保育室は、何一つ成長出来なかった海晴と同じ、永遠の赤子の世界を保ち続けている。
 21歳になっても、海晴にはもう大人に戻る道など残ってはいなかった――。


 学生時代――たった3年前からずっと、久藤瑠菜は海晴にとって苦手なタイプの女性だった。同じ制服を着ているのに、銀縁眼鏡にシンプルなポニーテールで結んだだけの海晴とは違い、瑠菜の姿は前髪ぱっつん、ツインテールの姫カットに白黒の鮮やかなストライプ柄のオーバーニーソックスと、まるでメイドカフェにいるメイドの様な華美な装いを常に保ち続けていて、いつも周囲に友人を絶やす様子さえ見せたことがない。
 出会いは、海晴が部長に就任したばかりだというのに、部員が減り活動存続の危ぶまれた演劇部。見境なく募集を打ってやっと誘うことの出来た新入部員は、初めから名ばかりの部長の神経を見事に逆撫でる振る舞いに長けていた。

「何で私がそんなことしなきゃいけない訳!? 人が居ない所で勝手に決めて、する訳ないでしょそんな事!!」
「まあゆっくり話しましょうよぉ、降谷センパイっ。時間は、たっぷりありますし……あ、先におトイレ行ってきた方がいいんじゃないですかぁ? センパイおしっこ近かったですもんねぇ、ほらぁ、この前の部活紹介のとき」
「そっ、そんなの……余計なお世話、でしょ……。はっ、話っ、逸らさないでっ! 今は次の機会についてっ」

 数ヶ月前まで小規模ながら賑わいに満ちていた部室は、卒業生を送り出した頃の閑散を未だに残し続けている。部活動資格を学校に申請出来るまで残り2週間、2人きりの部室は海晴にとって針のむしろも同じだった。間延びした口調だが指摘は辛辣、瑠菜にちくちくと痛い点を突かれ、海晴は既に部長としての威厳も失ってしまっていた。思い出すのは唇を噛むほど苦々しい記憶。入学当初たった一人で部に訪れてくれた瑠菜と共に部員勧誘への絶好のアピールである新入生歓迎会に挑んだものの、壇上に上がる前に強烈な尿意に襲われ、泣く泣く舞台を去ったばかりに結局時間切れで出番を失ってしまったのだ。校則で定められた規定部員数の新入部員など、勿論1人も門を叩いてくれはしない。
 そっぽを向いた瑠菜が細い指でくるくるとおさげ髪を巻く、そっけない態度を叱ることも出来なかった。世話になった卒業生にも、目の前の新入生にも顔向けできない失態を演じた後悔で、後悔に沈む海晴の顔色も暗くなった。

 故に――未来も今も見えない程狭い視界が、自身の破滅を呼ぶ羽目になる。

「でもぉ、瑠菜が淹れた紅茶、さっきから手つけてないじゃないですかぁ。やっぱり、気にしてるんですよぉ」
「べっ、別に気にしてないからっ! 私だってまだ諦めたわけじゃないし――」

 弱い所は見せられない。たった一人の後輩だから――生来真面目な海晴にとって、真剣さは時に行きすぎた見栄に空回ってしまうことが多かった。テーブルに置かれたカップの中のお茶は、既にすっかり温くなっている。慌てて飲み干した味はなんだか古くさい匂いで、思わずむせかえりそうになるも。

「なら降谷センパイ、わたしに良いアイデアがあるんですよぉ」
「な、何かあるのっ? チャンスがあるなら、私、頑張るからっ」

 にこやかに語り出した瑠菜の助け船に慌てて乗り込んだために、つっかえた違和感を無理矢理喉の奥に流し込んでしまった。
 瑠菜の笑顔の意味を、疑いもせずに。
 浅慮な追従は、自らの意思決定を他者に委ねる羽目にしかならない。話し合いの翌日、瑠菜から差し出されたアイデアとその為の準備は、海晴に自らの言動を後悔させるに十分だった。

「なんでこんなの私が着なきゃいけないの!? こんなコスプレ、演劇部は色物なんかじゃないっ!!」
「だってぇ、センパイが言ったんですよぉ。『部員が集まるためになら手段は選ばない』って。誰にも注目されないなんて、そもそも選択肢にも挙がらないじゃないですかぁ。演劇部は楽しいとこだって、アピールしないとねぇ」

 18年生きた経験も、状況に追い詰められた海晴には何の助けにもならない。押しの強い瑠菜が持ってきたのは、全校学生持ち回りで行う校門前での朝の挨拶、その時に演劇部らしい仮装をして学生にアピールしようとする案と、その衣装だった。机の上に置かれた服装は、仮装と呼ぶには余りにも完成度は高く、コスプレと呼ぶにも色物感も薄い。むしろ本物よりも本物らしいデザインが、海晴の心を怖じ気づかせてしまっていた。

「で、でもっ……こ、こんなの……わ、わたし、小っちゃいから、恥ずかしいしっ……」
「だからかわいいんじゃないですかぁ。海晴センパイ、絶対似合いますよぉ――赤ちゃんの、おようふくっ」

 瑠菜が衣装の両肩を掴んで見せたものは、上から下までひとつなぎになった、乳幼児の赤ちゃんのための服、ロンパースだった。舞台上で着る仮装は、時に分かりやすさを重視して特徴をデフォルメした漫画のようなアイコンのものが多いが、淡い桃色に、花柄と小さなうさぎの顔が描かれた生地、鮮やかなピンクに縁取られた腕や足回り、ボタンパジャマのように着せやすい前開きのフォルムに、ちょっとおませな女の子が喜びそうな、腰回りにミニスカートがあしらわれた本格的なデザインで統一されていた。
 だが、どこからどう見てもベビーファッションなのに、サイズは一寸違わず海晴に合わせて繕われている。その異様さに海晴も思わず尻込みするも、瑠菜の攻勢は臆病な躊躇いなどものともせず、海晴を選択に追い込んでゆく。

「だってぇ、センパイが真剣なの知ってますから、イロモノなんて用意出来ませんよぉ。わたしだって、部長を支える副部長ですし」
「うっ……それは、うれしい……。けど、ねっ……?」
「チャンス、これが初めてじゃないですかぁ。新入生歓迎会、舞台に一度も立てないまま終わるの、わたしだってイヤですから……」

 余裕に満ちた後輩が、不意に憂いの表情と未練を見せて、目線を反らした。自らの至らなさが呼んだ窮地が、護るべきたった一人の部員さえ寂しい思いをさせていたのだ。気づきは罪悪感に転じ、海晴も報いるための覚悟を決める。

「……ごめんなさい。わたしが、間違ってた。何でもするって言ったよね!」

 顔を上にあげ、昔憧れた卒業生に倣った凜々しい顔で堂々と応えた瞬間。
 それが、海晴の人生の終演の幕開けだった。

 ***

 舞台に上っても物怖じもせず、堂々と振る舞い、演じきる。そんな先輩たちに憧れて入った演劇部。端役でも台詞を言える事が楽しくて、自分みたいな真面目でつまらない人間なんかじゃない、魅力的なキャラクターになりきれるのが嬉しくて、部活に入って2年間、恥ずかしいことなんてとっくに忘れてしまってた――そう、想っていたのに。

(こ、これっ……想像以上に、はっ、恥ずかしいっ……舞台の上より、ずっと……)

 所詮は非日常がもたらす異化効果に助けられていただけなのか。役を貫こうとした海晴の気概は、いつもと同じ日常風景、登校する学生たちの波の前では、飲み込まれるだけの藻屑でしかなかった

「お、おはようございますっ……演劇部、部員募集ちゅ、ちゅう、です……。かわいい衣装も、き、着れますよっ……」
「……ご、ごめんなさいっ」
「い、いえ、お気になさらず……。えっ、演劇部っ、部員募集してます――!」

 用意の良い後輩が立派なチラシを作ってくれたのに、おどおどとした挨拶と共に差し出しても誰一人として受け取ってはくれなかった。最悪の結果に抗おうと、大声を出して耳目を集めようとするも。

(なにあれ……幼児プレイ部? ちょっとガチ過ぎ……引くわぁ……)
(やべえ、学校にヘンタイいるよ……。誰か生徒指導呼んでこいって)

 遠巻きに距離を置いた生徒の群れは、互いに海晴への揶揄を囁き、好奇の視線ばかり投げてくる。人の少ない舞台で冷やかし相手に芝居をやりきった度胸が密かな誇りだった海晴にとっても、あからさまな嘲笑と無視に晒され続けた経験には慣れてはいない。無慈悲なる評価の雨に打たれ、後輩の前で張った小さな胸の内に、自信の無かった昔以上の怯懦と卑屈が重くのし掛かってゆく。

(が、頑張らないとっ……わたし、先輩で、部長なんだから……負けられない、絶対にっ)

 周りを意識しだしてからずっと、身体の震えは止まらなかった。春先とはいえまだ早朝は身体の芯まで寒さが染みる。無茶で無謀な気持ち一つで飛び出しても、ボディスーツと呼ばれる上下一体型のロンパースは本来暖かい部屋用の部屋着故に、薄手の生地は防寒の役目を果たしてはくれない。海晴も赤ちゃんの服の知識なんて知らなかったとはいえ、教えてくれなかった瑠菜も問題ではないかと、臆病が疑心暗鬼を呼び、感情は負の螺旋に転がり始めてしまう。

(寒い、寒いよっ……おねがいっ、誰か、いっしょに部活、やって欲しいよおっ……)

 足が竦み、膝も笑い、背筋がぶるっと大きく震えた。冷え切った体の下腹の奥がかあぁっと熱くなったような錯覚に襲われるや否や、瞬く間に沸き立つ生理的衝動が海晴の神経を粟立たせた。

(お、おしっこ、したい……こんな格好、冷えるにきまってるしっ……)

 こんな状況に自分を追い込んだ瑠菜は、登校ラッシュに顔を合わせた時に『校舎裏、違う校門で勧誘している』と言っていたが、実際の所はどうだか、海晴にも分かるわけもない話だ。疑っている時でさえ、膀胱の奥でしくしくと痛む尿意は、渦巻く勢いで激しさを増し、足の指先まで震わせている。

(ちょっとくらい……すぐ、戻るから、いいよね、我慢できないんだからっ――)

 居心地の悪さもあったから迷うこともなかった。生徒に向けた声かけをやめ、チラシを鞄に詰めて、すぐ後ろの校舎に、振り返る。我慢は身体の毒だって――海晴だって、分かっていたのに。

「また舞台から逃げるんですかぁ? センパイ、本当は怖いんじゃないですかぁ?」
「っ!? くっ、久藤さんっ!? あ、あなたっ、別門で勧誘してたんじゃ……」

 背後から届いた声に、もう一度振り返ってしまった。呆れ顔を見せた瑠菜が、腕組みをして海晴をにやにやと眺めていた。良く通る瑠菜の声が校舎の壁に跳ね返り、ざわついたお喋りの群れが水を打ったように静まりかえる。集う視線に足を射貫かれ、海晴も蛇に睨まれたカエルと化してしまう。

「センパイがサボってたんじゃないかって見に来たんですよぉ、そうしたら予想通り……ねぇ」
「さ、サボってた訳じゃないっ! た、ただ……お、おしっこに、行きたくて……」
「えぇ! やっぱりおしっこ近いんじゃないですかぁ! お漏らし大丈夫ですかぁ?」
「そ、そんなのするわけないでしょっ!? おもらしなんか、しっ、しないからっ……!」

 注目を浴びても流暢に語り続けた瑠菜の堂々たる態度にくらべ、海晴の挙動は自分でも分かるほど落ち着きを欠いていた。『お漏らし』の単語に周りの生徒も再びざわつき、海晴の装いに関連づけて根も葉もない噂を広げている。

(やっぱり赤ちゃんだったんだ……後輩にオムツ替えてもらってるんじゃない?)
(おもらしも治ってない幼児が学校来るなよ……保育園からやり直せばいいのに)
「ち、ちがっ……わ、わたしっ、そんな、赤ちゃんじゃ……」

 海晴も慌てて取り巻く言葉を必死に訂正しに行こうとするも、瑠菜に手を掴まれその場から逃げることも出来なかった。自分より年下の少女の迫力に、心だけでなく手脚まで力なく萎縮してしまう。
 周囲の雰囲気は、既に海晴を『そういうもの』として捉えていた。
 おもらし癖のある、大きな赤ちゃん。年下にトイレの心配を掛ける恥ずかしいセンパイ。
 生き恥ものの虚像に追い込まれ、いたたまれずなけなしの勇気で牙を剥くも。

「じゃあ、おトイレくらい我慢できるんですよねぇ? 赤ちゃんじゃないなら、センパイ、おもらしなんてしませんよねぇ?」
「す、するわけ、ってかしたことないからっ!? わ、わたし、そんなこと――っ!?」

 噛みつこうとした口は、すぐに一文字を結んでしまった。掴んだ腕は振り払えても、海晴はその場で身体をくの字に曲げて、身動きを止めずにはいられなかった。脂汗の雫を浮かべた額には苦悶の線が刻まれて、人怖じしまいといつも凜とした自己像を演出しようとしてきた表情筋も、今や号泣寸前の情けない表情に変わり果ててしまっている。最早演じるところか、体面を繕う余裕さえない。

(いたいっ、お、お腹いたいよっ、も、もう……出そうっ、出ちゃいそうなのっ、むりっ、がまんなんて、むりぃっ……!?)

 寒空に晒された身体は、当たり前のように尿意を誘われていた。おしっこがしたい、おもらししたくない、でも逃げられない、みんなに誤解されるのはやだ――思考は途方もなく堂々巡りを繰り返し、思考も理性も頭から吹っ飛んでしまった。
 ただ、下腹に走る針のような疼痛が下半身に激しい波の満ち引きと共に訪れ、膀胱の門に叩き付けられた尿意が尿道をこぼれ、下着に熱い雫と恥ずかしいシミを重ねてゆく――その絶望が、海晴を無謀に駆り立ててゆく。

「聞いてるんですかぁ、センパイ――」
「ごめんっ、もう……。わたし、ムリですっ……!」

 あっ――と一斉に挙がった驚きの声に、今度は振り返ることもなかった。地面を蹴る度におしっこがじゅっ、とパンツに水滴をこぼしても、おもらしじゃない――デタラメな言い訳で自分を誤魔化しながら、海晴は一目散に校舎の中に飛び込んだ。

「うわっ!? なんだよっ、危なっ!?」
「ごめんなさいっ、どいてっ、どいてくださいっ!?」

 靴も脱がず、ロンパースのまま。涙目の幼女装生徒の暴走は、海を割る聖者のように廊下にたむろした制服たちの集まりを割ってゆく。女子トイレまで障害は何もない。手を伸ばした先に解放がある。

(おしっこっ、おしっこしたいっ、おもらしなんか、私、赤ちゃんなんかじゃないっ――!)

 ロンパースの股ぐらを押さえ、じたばたと足を踏みならす醜態を周囲が奇異の視線で見つめているのも厭わずに「トイレでおしっこ」だけを望んだ海晴の前、救いはすぐ間近にある。お漏らしの雫を足下にぽたぽた落としながら、女子トイレまで、あと少しで――たどり着いた筈だったのに。

「何してるんですかっ! センパイっ、逃げないで下さいっ!」

 怒号は、雷鳴の轟きだった。貫かれた途端、海晴の足がもつれ、廊下を滑った。

「ひっ――!? や、やあああああああああああっ!?」

 バランスを欠いた暴走は残した軸足で半円を描いて落ちてゆく。悲鳴ののち、人一人を叩き付けた鈍い音が校内に響き――そして、悲しい泣き声に変わっていった。

「ひぐっ……うええっ……。あかちゃんじゃ、ないぃ……ちがうもん、こんなのっ、やだぁ……!」

 その場で尻餅をついたまま、大粒の涙をこぼして泣き出した海晴のお尻に、お漏らしが水溜まりになって広がっていく。冷たい廊下の上に暖かな湯気と鼻につく臭気を浮かべた痴態に、誰一人近づこうともしない――怒号の主、瑠菜を覗いては。

「あらあら……やっぱりお漏らししちゃいましたねぇ、海晴『ちゃん』は。もう、大丈夫だなんて見栄張らないでいいんですよぉ。わたしが、ちゃあんと、お世話してあげますかぁ……うふふ……」
「ちがうぅ……! おもらしとか、いわないでよおぉっ……! うああああんっ……!」

 部室で見た時と同じ顔――にこやかでいて、つかみ所の無い余裕の表情――で側に立つ瑠菜は、実に用意周到に海晴をエスコートしていった。拭き雑巾で廊下の水溜まりを拭き、濡れた身体を隠すように保健室に連れていかれる間、自分の失態を号泣して嘆く海晴が、その準備の良さに違和感を覚える間もないほどに。

 この日を境に、海晴の地獄は始まってしまった。
 嘘から出た真である『お漏らし癖の赤ちゃん』として、飼われ続ける日々として。


 乳幼児が着るためのロンパースのコスプレに、トイレの直前で我慢出来ずにお漏らしの失敗――18歳女子にはあり得ない程の幼稚な痴態を晒して以降、海晴の人生は恥辱と後悔に塗れた情けない日々と化してしまった。
 酷い無様を晒してからすぐ、瑠菜は自分の友人を演劇部に招き入れた。海晴が守りたかった部活はかろうじて廃部を免れたものの、それが乗っ取りだと気づいた時は、何もかもがもう手遅れだった。

「ほら、海晴ちゃん。ちゃんと自己紹介しなきゃだめですよぉ。折角『わたしが』、新入部員連れてきてあげたんですかぁ……」
「ごめんなさい、瑠菜ちゃんっ……ゆるして、わ、わたしっ、み、みんなになんて、見られたくないっ……」
「あらぁ、折角わたしが新入部員連れてきてあげたのに、部長がしっかりしなきゃダメじゃないですかぁ」

 少し前まで閑散としていた部室の中では、瑠菜とよく似たにやにや笑いの少女たちが、今にも泣き出しそうなほどの真っ赤な顔で、うつむいたまま首を振る海晴を眺め、時折恥ずかしい揶揄を投げかけている。

「赤ちゃんなんだから恥ずかしがることないでしょ?」
「またしちゃうんじゃないの? 震えちゃって、我慢してるみたいだし」
「あらあら、だめですよぉ、みなさん。そんなこと言ったら、海晴ちゃんはまた泣き出しちゃいますからねぇ」

 隣で肩を抱く瑠菜のフォローに、部員たちがまたけらけらと甲高い声で爆笑した。海晴が反論しようにも舞台上で出せる限りの声量を遥かに超えた勢いに抗えず、彼女たちの顔を見る気力さえ残ってはいない。目を逸らし、声もか細く、部に入る前の臆病だった頃に戻ってしまった。
 それも全て、瑠菜の手によって強いられた、制服の下の穿かされたお漏らしっ子の為の下着のせいだ。その枷を新入部員の前で晒せと言われても、それこそ赤ん坊のように『いやいや』を見せる以外出来ないというのに。

「大丈夫ですよぉ、瑠菜ちゃんも頑張ったんですよねぇ。おしっこ我慢できるって、18歳のお姉ちゃんですもんねぇ。でも、まだまだお漏らし癖治らないみたいだし――」
「ちっ、違うっ! そんなちっちゃな子みたいにいつまでも言わないでよっ! 大体あれはあの時の一回きりで、それもあなたがあんな服勧めるからぁっ!」
「まぁまぁ、海晴ちゃん。そんなに怯えなくていいですよぉ。わたしぃ、センパイのお漏らし治るまで、ちゃーんとお世話、してあげますからねぇ。うふふ……」
「やだ……いや、ごめんなさい、だから、ゆるしてっ……」

 執拗に責め立てた瑠菜に向かってなけなしの気力で大声を上げて見せても、怖くて相手の顔さえ直視できない海晴の抵抗は、正しく『赤子の手をひねる』ようにいなされてしまう。
 もう何を言っても通じない。そんな絶望を繰り返す度に、海晴の中に怯えが育ち、蔓延してゆく。海晴の意志決定における主導権は既に瑠菜の手の内に握られていた。言葉一つ、耳元で小さく呟かれただけで。

「お家には秘密にしたままでしたっけ、センパイ? きっとご家族も、心配されるんでしょうね。本当はご病気なんかじゃなくて、どこも悪くないのに、学校でお漏らししちゃったなんて……」
「ず……ずるいっ、そんなの、ずるいよおっ……」

 逆らえないと思い知らされる。両手でぎゅっと押さえていたスカートの裾も、瑠菜の手で軽々とめくり上げられてしまう。膝丈まで長いプリーツスカートが太ももの位置まで上がり、隠してきた物が露わにされそうになる。じわりと瞳に溜まる熱が、視界に映る世界の輪郭にじませてゆく。込み上げる激情が、海晴を衝動的に動かした。

「出来ないよぉっ! やだっ、もう止めてよこんなことぉっ!」

 スカートを掴まれた手を、払うように掴みかかる――が。
 即座に捕まれ胸の前に押しつけられた。逃げ場のない至近距離に、瑠菜の怒った顔が海晴に迫る。

「そんなんだからいつまで経ってもお子様なんですよ! 決めたらどうですか!」
「ひっ……いや……やだ、もう、やだよおっ……!」

 瑠菜による心臓に響く一喝のショックは、海晴にとって忘れがたい悪夢の日を再現させるための引き金だった。スカートを剥ぎ取られ、よろよろと後ろに後ずさりぺたんと尻餅をついた部長の姿に、部員たちがまた黄色い声をあげて騒ぎ出す。

「あーあ、またお漏らししちゃったんでちゅかー? ほんと赤ん坊なんだね、海晴ちゃんって」
「おーよちよち、おねえちゃんたちがおむちゅかえてあげるから、泣いちゃだめでちゅよぉ」
「ちがうぅ……うええんっ、こんなのちがうっ、おもらしなんかしないぃっ……! うああああんっ!」

 拳で顔を拭い泣き喚く海晴の言葉は誰にも信じて貰えなかった。制服の下に穿かされていた乳幼児用テープ式紙オムツは、大声を上げている間もじわじわと黄色く染まり、お漏らしの量で重たくずり落ちてしまっていく。暖かいおしっこの熱や肌を濡らす不快感に下半身を汚されてもなお、尿道を下る放尿の勢いは止まらない。恐怖を抑えきれないように、コントロールの利かない身体がぐずぐずとオムツを汚していく感触だけが続いてしまう。

「ね? だからセンパイはオムツなんですよぉ。赤ちゃんには、パンツはまだまだ早いですからねぇ」

 後輩の甘ったるい口調で、部員たちがまた海晴を大いに嗤う。それでも海晴は、「漏らしてなんかない」と、現実から目を背けたまま、泣きじゃくることしか出来ずにいた。

 ***

 演劇部という看板は、瑠菜たちのような人を弄ぶ事を喜びとする人種には格好の隠れ蓑だったらしい。『先輩を守ろう』――そう旗を振った瑠菜による排泄管理は、海晴のお漏らし癖をより一層重度化させてゆく幼児化調教へと、加速度的に変貌してしまった。

『それじゃあ、新入部員にもちゃんとお世話して貰えるように、オムツ交換見てもらいましょうかぁ』

 センパイの癖に赤ん坊みたいだと、情けない姿を見下ろして嗤う瑠菜によって、海晴は黄色く濡れたオムツを開かれ、大人の飾り毛を剃られ、赤ん坊みたいに大股を開いたオムツ交換の場面を携帯で撮られた。

『ほら、お漏らしお知らせアラーム鳴ってるじゃないですかぁ。オムツが濡れたの、ちゃんと教えてくれないとダメですよ、センパイ』

 講堂で行った公開舞台練習の時にはわざわざ赤ん坊用に作られたおむつアラーム――お漏らしに濡れた生地を感知してブザーを鳴らす代物まで衣装の下に仕込み、見学人の多い練習中さえ『オムツを濡らした』ことをわざとらしく告げられ、舞台袖でオムツ交換までさせられた。
 片時もオムツを外されず、トイレに行く事も許されず、「お漏らしの治らないセンパイのためですから」と、過剰な庇護下の元に瑠菜の玩具にされた事で、数ヶ月の内に海晴の身体も狂った環境に適応を始めてゆく。
 瑠菜のおぞましい脅しさえ飲み恭順の態度を示す理由だった家族の元でさえ、歳相応の我慢を失ってしまった。

「またオネショしたの!? もう幾つになったと思ってるの、海晴! そんなんだから幼いって言われるのよ!」
「ひっく……ごめん、なさい、おかあさん……。オネショして、ごめんなさいぃ……」

 浮いた話もなく真面目一筋だった娘が突然毎晩のようにベッドに大きな世界地図を描き出したことに、母親が理解などしてくれる訳もなかった。ベッドもパジャマも洗ってはくれるが、お漏らしに濡れた海晴を汚いもののように扱う態度は、海晴が恐れていた通りの、『幼さ』を嫌う海晴の母らしい態度だった。この上、この失態の始まりがコスプレを用いた部員紹介だと正直に言えば、向けられた態度は更に刺々しいものに変わることは簡単に想像出来ていたから、助けを求める事もできない。皮肉な事に、学校も家庭も逃げ場のない海晴を連れ出してくれたのは、オムツ調教の引き金を引いた瑠菜の誘いだった。

「それじゃあ、お母様。海晴センパイのこと、ちゃんと連れていっていきますねぇ」
「本当、いつも助かるわ。海晴より瑠菜ちゃんの方がよっぽど大人なんだから」
「……うぅ」

 オネショがはじまってからというもの、土日祝日、休みの日にはいつも大きな鞄を肩にかけた瑠菜がおどおど怯えた海晴を外へと誘うようになった。
 行き先は、昨今のオムツ外れの高年齢化を憂慮してトイレトレーニングの教室を開いていた、保育園。通うなんて不可能だと信じなかった海晴の反論は、いつものように瑠菜に軽くあしらわれる。

「だって、海晴ちゃんのおまたは保育園児よりもちっちゃな、赤ちゃんと同じすよねぇ? おしっこ我慢出来ずにオムツ穿いてるような子なら、●校よりも保育園の方がお似合いですよぉ」
「やだっ、行きたくないっ、おねがいしますっ、もう二度とおもらししないからぁっ……!」

 園庭前の校門で園に行きたくないとぐずって立ち止まる海晴の姿は、先に門を潜る園児たちの注目を集めた。同じ園児である事を示す薄桃色のスモックに桜の形の名札、短すぎたスカートの下からは自分たちでさえとっくに卒業した紙オムツのバックプリントが丸見えになっていて、身体は大きくても赤ん坊と同じ存在であることをはっきりと示している。瑠菜から先生に引き渡されてからの振る舞いも、否定のしようのない幼さの証拠だった。

「ほら、海晴ちゃん。ちゃんとおまるでしーしーできないと、パンツのおねえちゃんになれないよ?」
「み、みんな見てるのにっ……出来ません、そんなの。出来るわけない……っ」

 教室ではスカートもズボンも穿かない幼児たちが下半身をオムツのままに晒していて、おままごとやおゆうぎで無邪気に遊びはしゃぎ回っていた。15年も前に済ませた筈の世界に戻る羽目になり、しかも自分も幼児同様のオムツ姿を晒しているだけでも恥ずかしくて足がすくむのに、エプロン姿の若い先生はどこまでも優しい善意で海晴の心を追い込んでゆく。今の海晴の同級生である園児達は、オムツを床に脱ぎ捨てると、剥きたてのゆでたまごみたいなつるんとしたお尻をオマルに乗せて、先生の見ている前でトイレトレーニングにいそしんでいる。小さな幼児に混ざっておしっこの訓練なんて出来ないと、足を留めた理由は恥じらいだけに限らなかった。

「はい、海晴ちゃん。しーしーがんばろうねー。海晴ちゃんは、クラスで一番おねえちゃんだもんねぇ」
「う……うぅっ……い、言わないでくださいっ、で、出るものも出なくなるからっ……」
「ちっちゃい子はしーしーって教えてあげなきゃダメなんだよ。海晴ちゃんだって言わないと、またオムツに漏らしちゃうからねぇ」
「も、漏らしませんっ……ちゃんと、トイレくらい、できますっ……くうっ……」

 隣で心配そうに眺めた先生が、恥ずかしい放尿のオノマトペを繰り返す。だが、「しーしー」と言うその勢いに伴わず、海晴の秘所はどれだけ力を込めても、自分の意志でおしっこを放出してはくれなかった。その内お腹ばかりが痛くなって、自分のふがいなさが悲しくて、瞳に涙が溜まってゆく。

「……うん、仕方ないね。まだまだチャンスはあるし、海晴ちゃんも後で頑張ろうか」
「ごめんなさい……がんばります……」

 先生の慰めを受けながら、再びオムツを穿かせてもらい、園児としての生活が続いてゆく。『おまるでおしっこが出来るように』――そんな幼過ぎる目標は、今の海晴にとって遥かに高いハードルだった。園児扱いでしかトイレトレーニングを受けられない以上、トイトレ時間以外は他の園児たちと同じ保育を受けなければならない。両手をふってぴょんぴょん飛びはねるお遊戯も、自分の背丈より小さな園児たちと一緒だ。幼稚な歌に幼稚な振る舞いに自己嫌悪を募らせる度に、現実はいつも海晴を嘲笑う。

「せ、せんせぇ……お、おしっこ、でちゃうっ、でるっ、でちゃうよおおっ……!」

 尿意を感じた時は、もう限界だった。ぽろぽろと大粒の涙がこぼれたと同時に、オムツの中からせせらぎの音が響き、足回りからこぼれたおしっこが床へ伝って広がっていった。

「あー! みはるちゃん、またおもらししちゃってるー!」
「おねえちゃんのくせに、またおむつかえられるんだー」

 年上の赤ん坊の失態に、無邪気な子供の残酷な揶揄が突き刺さる。
 逃れようのない事実に、海晴にはもう、返す言葉も残ってはいなかった。

「ひぐっ、うえっ、うあああん! おもらしやだぁっ、あかちゃんなんていわないでよおっ……!」

 どうしてこうなったのか――自らの変貌に泣き喚いても、答えはもうどこにも見当たりはしなかった。


 瑠菜に出会ってからたった3年の月日も、海晴が壊れるには十分な時間だった。お漏らし癖との格闘に人生の時間の大部分を割かれた結果、学業も社会生活も追いつかなくなった少女が大人の赤ん坊《アダルトベイビー》へと堕落するのは、あっという間のことだった。お情けで単位をもらいながら演劇部と言う名の保育所に通い、演劇部の後輩たちが仕事や家庭を持った大人へと自立を果たしても、海晴はお漏らしばかりを繰り返し、オムツの取れない自分を嘆いては、その悲しさに堪えきれず更にお漏らしを繰り返す悪循環に囚われ続けてしまった。一人では食べる事も動く事も出来ない赤ん坊並の生活能力では、生きることさえ困難だ。何も出来ずただ朽ち果てていくだけだった筈の海晴は、学校卒業後、瑠菜に引き取られて暮らしてきた。

「センパイ、本当に情けなくて恥ずかしい赤ちゃんになっちゃって……持ってきたオムツもとってもかわいくてお似合いでちゅねぇ。21歳なんて、オトナのおたんじょうびなのに。みはるちゃんは赤ちゃんオムツのプレゼントが必要なんでちゅねぇ……ふふっ」
「う……えぐっ、ぐずっ……ごめんなしゃい……みはる、おもらち、なおんなくて……」
「あらあら、気にしなくてもいいじゃないですかぁ。だってセンパイ――この前のみはるちゃんシリーズ新作、また人気だったんでしょお? うふふ、自分のオムツ代ちゃんと稼げて、えらいでちゅねぇ」
「あ、ありがとお、ございまちゅ……あっあっ、ちっちでちゃうよっ、るなちゃんっ、ちーでるぅ……っ」

 すっかり瑠菜に依存しきってオムツが濡れたら泣いて教えるほど弱くなった海晴の生活は、揶揄を込めて嗤う瑠菜が向けた、ビデオカメラの映像によって支えられていた。撮られているのは『赤ん坊にまで墜ちた無様を晒し、愛されたいと媚びを売る痴態を振りまくいい歳した大人の女性が無毛の恥部を露出したオムツ替えシーン』
――マニア向けのフェティッシュAVを瑠菜に作って貰い、ネットのR18動画販売サイトで売ることで、赤ん坊としての最低限のオムツ代やミルク代の足しにしている。毎日のオムツ消費量は日に日に増え、実際は焼け石に水だが、現実の存在を切り売りする以外に道のない幼児退行娼婦の生きる道など、他に何一つ存在していない。
 オトナに戻りたいと言う願望を胸に抱きつつも、オムツを汚して赤ん坊のように振る舞う事でしか社会に参加出来ない現実が、生きようとする程、海晴をジレンマの世界に追い詰めている。
 蟻地獄に堕ちながら、足りない頭で少しでも明日を考えようとしても。

「はい、綺麗なおむちゅもはけまちたし、良い子のみーちゃんにはご褒美のまんまをあげましょうねぇ」
「うん……ままのまんま、ちゅっちゅするぅ……」

 悲しすぎる生活の中、瑠菜が吸わせてくれた哺乳瓶の中に揺れたミルクの甘さに溺れてしまって、頭の中身もぼんやりと霧のかかったように鈍くなってしまった。
 お口の甘さが嬉しくて、ちからの抜けた身体から、またおしっこがちょろちょろとオムツの中に広がってゆく。
 泣きたくなるほど悲しい気持ちがあったはずなのに――瑠菜の腕に抱かれた暖かさに、海晴の思考は流されてゆく。

「ままぁ……ちー、でたぁ……」
「あらあらぁ、またおむちゅ替えなきゃだめでちゅねぇ。本当、みーちゃんは、おとなのくせにあかちゃんなんだからぁ……。うふふ……」

 もう、ままのことばもきこえなかった。
 みはるはもう、おとなのあかちゃんになってしまったから――。
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Secret

No title

今回もシコリティ高いっすね~

No title

もうやめて!
とっくに精巣のライフは0よ!

もっとシコリティ高めなきゃ…(絶望

もっともっと頑張りたいです、ええ
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