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伏屋のづ

Author:伏屋のづ
Mail:nuderiff@gmail.com

書き殴った【おむつ・おもらしフェチ】系妄想置いてます
だいたい月一でもえないごみがふえるよ
文章も構成も壊滅的なんで重箱の隅突きなど歓迎中
萌えについて模索中なので作風も質もブレまくるよ

2016/01
>あいかわらずにほんご書けてねえ
>よかったら好きなシチュ語ってもらえるとうれしいです
@ごみばこ

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(書けたら書くかも)

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trash #015

めいどもの

■ わたしのごしゅじん様に、なってくれますか?
 テレビやネットじゃ『一家に一人!』なんてばんばん宣伝打ってるけれど、実際そんなに手の届くモノじゃないのだ。
 そんなモノを『いいから買っとけ!』とゴリ押しされても返事に困る。
 無精で家事もろくに出来ない奴とはちがって、それなりに自分のことは自分で始末ができる自信だってある。
 そんなおれに、電話の向こうでまくし立てる友人はやけにのぼせた口調で『メイド』の良さを語ってきた。
「安物って……ハズレ掴まされたらどーすんだよ。主人より高飛車なサドメイドとか勘弁だかんな。だいたいお前の持ってくるうまい話がうまかった試しが……」
「試用期間あるんだし外れたら返品すりゃあいいだけだって」
「んなもん悪徳業者なら押し売りの一つだってなあ」
「もうぐちぐち言うなって。つーかもう注文頼んでやってるからさ、いっぺん見てから確かめろって」
「んなっ!? 人の同意も得ないで何してんだよ!? お前まで押し売りの片棒担ぐとか! あれか、マルチか、マルチ商法ってやつか!」
「んふふ、男の一人暮し、潤いだって必要だぜ-? 人の好意は素直に受け取っとけ。んじゃ、またなー」
「小さな親切大きなお世話じゃー! 切るなちくしょー! おいこら待ちやがれ!」
 ……ほんと何考えてやがんだ。メイドなんてあれだろ? お帰りなさいごしゅじん様、お風呂にしますかご飯にしますかそれともいやーん☆な、ってか大抵の男性ご主人様はそのいやーん☆目当てに飼う存在だろ?
(……そんなメイド、いる訳ないっての)
 溜息吐いて幻想を鼻で笑う。他人が勝手に幻想持つ分には構わないけどさ。
 人に何かをやって貰うより、自分が誰かに何かしてあげる方が好きな奴だっているんだ。
 そーいう機微を分かってない奴にメイドなんて、菜食主義者にステーキ振る舞うようなもんだろうに。
 友人のお節介は悪意でやった事じゃないのが分かってるだけに、『いま、メイドがぶーむ!』な世間とのギャップを感じてしまう。
 しゃーねーな、どーやって断ろうかなー。
 ……そんな風に悠長に構えてたら。

「宅配便でーす。上山陽樹さん、ご在宅でしょうか-?」
「……マジですか」
 コトを起こすのが迅速なのが友人の長所でもあり短所でもあるのだと、今の今まで失念していたのがいけなかったのだ。
 恐る恐るドアを開けたら。
「は、はじめましてっ、ごしゅじんさまっ!」
 玄関先には宅配便の金髪にーちゃんに連れられた、シックな黒ワンピにふりふりの純白のキッチンエプロンをまとった、首輪にイヌみたいな銀色の認識タグをつけた、ちまっこい女の子がいた。
 やべえことにこれが結構可愛い。断ろうとした鉄の意志を揺るがせるだけの魅力があった。
 切りそろえられた前髪ぱっつんに、天使の輪を湛えた艶やかな後ろ髪はお姫さまのように線が細くてさらさらしてる。
 線が細いのは髪だけじゃなく、脚や腕、指先までもが細微な作りで、薄い色素の肌も相まって、芸術品の人形みたいな雰囲気を醸し出している。
 長いまつげが丸い瞳をいっそう大きく見せる、品のいい顔立ちはメイドというよりもどこかのお嬢様の方がお似合いなんじゃなかろうか。
 そんな美少女が、おれの顔を見て、照れているのか真っ赤な顔でうつむいて、エプロンを両手でぎゅっと掴んでいた。
 クラシカルな装いでまとめた、落ち着いた印象のメイド衣装で身を包むにはいかんせんまだ若そうだ。童顔のせいでメイドじゃなかったら高校上がりたてか中学生に見えてしまう。そうだよな、そんな歳じゃ『はじめてのごしゅじんさま』だよな、そりゃ照れるよな……。
「じゃねえっ!?」
「ひぅぅっ!?」
 脳内セルフ突っ込み入れた途端彼女もビビる。でもねお嬢ちゃん、おれもビビってるんだよ?
「あ、あの……サインをお願いしたいのですが……」
「お断りします! 第一メイドなんておれ注文したつもりないですから!」
 トラブル臭がぷんぷんしてるこの状況。受け取り拒否に勝る正義《ジャスティス》があろうか。
「え、えうっ……そ、そんなっ、やです、ごしゅじんさまっ!」
 涙目で訴えかけてくるメイド少女。すまぬ、お嬢ちゃん。お兄ちゃんにはメイドは必要ねーのだよ。本当に申し訳無いが……。
「わ、わたしっ、ごしゅじん様に飼ってもらわなかったら――居場所、なくなっちゃう……やだぁ……ひとりぼっちは、やだよおおっ、ぐずっ、ふえええぇ……」
 う、ううぅっ、泣き落としってか……。これはもしかしてヤバいパターン入っちゃった? おれぴんち?
 すっごい遊んでそうな宅配便の金髪にーちゃんがおれを見る視線がイタい。『門前払いとかどんだけ酷いんだよ……』って言う寒々しい軽蔑の視線だ。
 泣き声は引きつるような悲しい音色で、次第に大きくなっていくのは容易に予想出来た。
 玄関先で泣き叫ぶ女の子、軽蔑する宅配便屋さん、そしておれ。壁の薄いアパートだから、騒ぎに気付いて外に他の住人などが見に来たら。
 ……せいぎ《ジャスティス》って何だっけ。いやもうそんなもんどうでも良い。ご近所付き合いでおれが変質者の汚名を背負う羽目になると言う実害に比べりゃほんとどうでもいい。
(……恨むぞ、ゆーすけ)
 胸中で友人に呪いの台詞を吐かざるを得ない。
 もうおれは、あたふたしながら、必死にその場を取り繕うことしかできなかった。
「あ、う、うけとりまぁすっ。ほ、ほら、きみも泣くなっ、お家入っていいからな! なっなっ!」
「えう、ぐずっ……。わ、わたしの……ごしゅじんさまに、なってくれるんですか……?」
「……ここの受取証に、はんこを」
「た、ただいま持ってきますんでお待ちをっ! ほら、きみは家ん中入ってろっ!」
「はいぃ……うぅっ……」
 涙を拭くハンカチと、滅多に使わない印鑑を探すために。
 おれは慌てて家捜しをする羽目になってしまった。

 ……どうしてこうなった。

■ 一生懸命がんばりますからっ!
 堪えがたい空気が辺り一遍を埋め尽くしている。おっかしいなーさっき部屋の中が寒くなるくらい思いっきり換気したのになー。あれー?
 ……白々しいフリで誤魔化したって、傷口が余計広くなるだけだからやめとく。空気って言ってもほんものの空気じゃなくて、雰囲気の方。
 男一人やもめの、色気のないフローリングの床で三つ指ついて頭を下げる、可憐な女の子がこのいたたまれなさの根源だった。
「こ、この度は、シイナ・メイドサービスをご利用いただきありがとうございますっ! わたしは、派遣在宅型7号Bメイド、個体識別名称『とも』っていいますっ! え、えーと……ご、ごしゅじん様のために一生懸命がんばりますからっ、どうかよろしくおねがいしますっ!」
 必 死 で あ る 。
 帰 れ と は 言 え な い 。
「あ、そ、その、よろしくね……。って、七号とかBメイドとか、おれ、何がなんだか分かんないんだけど……」
「え、えっと、ご注文は『さいとー ゆうすけ』様の名義でしたから、贈答用というのは承知しておりますっ。ご説明の程はのちのちゆっくりと」
「いや、自分のこと贈答用とか言っちゃだめでしょう……」
「え、えと……見た目はヒトと変わりませんが……メイドはメイドですから」
 少し悲しそうな顔で説明してくれた彼女の事情を、おれは黙って受け止める以外他なかった。
 メイドに関する法律とか制度とかは知ったこっちゃないが、彼女たちがどういう存在なのかはメイド苦手なおれでも少しは知っている。
「わたしは、十二年度生で、えへへ、これでも新型なんですよっ! ほら、見て下さい、わたしの番号――」
「うわあああっ!? 何いきなり脱いでるの!? ちょっまっ自重してええっ!?」
 はてな? と小首を傾げるメイド少女・とも。おなかの上までするりとめくり上げられたロングスカートの中身が目に眩しい。
 眩しすぎて目を閉じずにはいられなかったが、顔にかぶせた指の愛だから、ばっちりしっかり見てしまった。
 おなかの上、へその近くに書かれた、13文字の英数字。
 それこそが『人形』――ヒトガタ=メイドの証明である。
「あの、ごしゅじん様? メイドの製造番号、確認して頂かないと認証が出来ないんですけど……」
 んなこと言われても、ともちゃんよ。
 君ら見た目は立派な女の子と同じなんだから、男としては目のやり場にこまるんですけど……。

 『人形』が一般家庭までシェアを伸ばしてきたのはここ2,3年の話だ。昔の漫画でよく読んだお手伝いロボットみたいに如何にもメカメカしいフォルムではなく、人形はどれも人並みに紛れれば見分けの付かない人間と同じ容貌で作られてきた(無論、人間のように個性や差異まで一体ずつ違っているのだから恐れ入る)。
 『人形たちはほぼ人間と同じように感情を持ち、同じような生活をする。学習能力は非常に高く、一度覚えたことは二度と忘れないつくりになっているが、想像力に乏しいので、知らないことは何もできない。新しいことを思いつくこともできない』――小学生時代、教科書で読んだ説明には、そう書かれていた。人間は人形に世話を焼いて貰うことを選び、昔の浪漫の名残を彼らに与えた。女性が望むのは執事、男性が望むのはメイド。
 そんなこんなで、一見ヒトと見分けの付かない人形たちは、区別の為に身体に”シリアルナンバー(製造番号)”を刻まれて、人間社会で貢献している訳だ。
 ……しかし。番号は普通うなじに入ってるって聞いたんだけど。何だよ一体へその上とか! ともの製造者ってどんだけヘンタイなんですかっ!?

「み、見えたから、しまっていいよ。認証はあとでな」
 しずしずとまくり上げたスカートを下ろしていくとも。身体がちまっこいと動作もちまちましてて非常に可愛らしいです。眼福眼福。でもパンツ丸見えなのはどうよ……。
「……試用期間、だからでしょうか。認証、していただけないのは」
 そんな可愛いともがおれを見る瞳は、なんだか非常におどおどとしていて、怯えに染まっていた。
 ……居場所がない、か。『十二年度生』と来たらつい一年前に生まれたばかりと言うことになる。
「ん、まあ、そういう……ああもう泣かないで! 兎に角いきなり追い出すとかしねーから! 安心してウチいていいからなっ!」
 ここが生きるか死ぬかの瀬戸際とばかりに、ともは認証を求めておれを見つめている。瞳まで潤ませてすがりつかれては敵う訳がねえ……。
 一年でそこまで自分の居場所について思い悩まねばならないなんて、どんな人生?(メイド生?)送ってきたんだこいつ。かっこつけの正義も女の子の泣き顔一つで散っていく。
 ……まあ、しゃーないか。
「……本当、ですか?」
「ご主人様を信じて下さい」
 きれいな頭をゆっくり撫でて、出来る限りの笑顔で応えてやる。
 メイドは必要じゃないけれど、可愛い子を泣かせてまで通す我なんてどこにもない。
「はいっ……。ありがとうございますっ、ごしゅじんさまぁっ!」
 沈んでいた表情がぱあっと明るくなる。涙を拭い見せた笑みは、朝日に輝く雨露に濡れた花のよう……と言うのは詩的が過ぎるか。
 でも、泣き顔をエプロンでごしごし拭いて、星の輝く笑みに心からの喜びを込めた彼女の顔は、息を呑むほど鮮やかで、愛らしくて。
(……ああもう、この娘ったらっ、なんつう顔しやがるんだよっ)
 正視するのもはばかられる可愛さである。てか、人形相手にこんなにどきどきしちゃってどうすんだよおれ!?
「えと、ごしゅじん様……? お風邪でもひかれたのですか?」
「い、いや、大丈夫、だから」
「でも、お顔が真っ赤で……」
「いーからっ、気にしないのっ!」
 ……友人になんて文句言ってやろうか。とも相手に口をもぐもぐさせて目線をそらしている間、おれはそんなことばかり考えていた。

■ おもらししちゃってごめんなさい……
 ともあれ、我が家にメイドがやってきました。やったね☆
 ……どうしろってんだよ。メイドの扱い方なんて知らないぞおれ。
 とりあえず仕事をするのが彼女たちの存在意義だと教科書で読んだ覚えがある。だったら一応、何がどこにあるか位は教えとかなきゃいけないらしい。
「えと、見ての通りのワンルームだからほんとやることなんてないよ? 風呂とトイレはユニットバス、台所は部屋の角……ええと、掃除用具は一番下の棚ね。
 ほんと、一時間もあればぜんぶ済んでしまうからさ。退屈だと思うよ、メイドの仕事先としては」
 狭い部屋を右往左往して、どこに何があるかをともに教えていく。ちょこちょこと後ろを着いてくるメイドさんを意識してしまうと、ついつい態度も素っ気なくなってしまった。
 悪いなと思いながらも、むこうも身の置き場に困っているのかそわそわしている。仕方ないよな。新天地、知らない男と同居なんて、緊張するのも当然だ。
 それは、おれも同じで。自分のことでいっぱいっぱいだったから。
「や、別に追い出さないから心配しなくていいからね。まあ……あんまり高いお給金払えないけど、ご飯と寝るとこ位はちゃんと用意できるからさ」
「……ふぅぅ」
 ――自分の家の説明に気を取られていたせいで、おれは彼女の変化が何を指しているのか、上手く読み取れなかったのだと思う。
 切ない声に気を取られて、背後を振り返ってみると。
「どうした、ともっ!? お前こそ顔真っ赤だぞ、何か具合でも――」
「ふにゃああんっ……。だめぇ、だめなの……やだ、やだよおぉ……!」
 顔をふるふると振ったともが、床にへたり込んでいた。
 下腹をくっと抑えて、悲しそうな声で鳴いている。
 何がダメで、何がイヤなのか。
 尋ねようとする間も無く、彼女は天を仰ぎ。
「しぃし、でちゃうよおぉっ……」
 幼児語で『おしっこ』と呟いたや否や、メイド服の中から、水流の流れる音を響かせていた。
「な……、ど、どうしたんだよ、ともっ!?」
 おれは呆然と、彼女の痴態を眺めることしかできなかった。
 ともは羞恥で顔を真っ赤に染めながら、その場でうずくまっている。紺色のスカートはじわりと更に濃い色に染まっていき、留まることを知らない液体はフローリングの床に水たまりを広げ、おれの足下まで届いてきた。
 黄金色の液体は微かに鼻腔をくすぐるアンモニア臭を醸し出している。それは、彼女の背格好に見合った少女には、余りに幼稚な粗相だった。
「あぁぁっ……ひぁあぁっ、ふえぇぇん……!」
 ともは両手で顔を隠しながら、聞くものの胸まで痛めるほどの悲壮な声色で泣き始めた。
「とも……お前」
「ごめん、なさぁいっ……えぐっ、わたしっ、おもらししちゃって、ごめんなさぁいっ! うぅっ、うああああああんっ!」
 ……あぁ、これが彼女が居場所を持てなかった原因か、なんて。
 呆然とした頭の中で、そんな思考が過ぎっていく。
「……大丈夫だからな。そんなことで、追い出したりしないからっ」
 思うより先に、口をついて出た言葉がおれを行動させた。
 タオルの入っている棚を開いて、取り出した布地でぐしょぐしょになった床を、ともの身体を、拭き清めていく。
「ごめん、なしゃいっ、ごしゅじんさまっ、ともっ、しぃし、おしっこ、できなくてぇっ」
「うん、うんっ。大丈夫だからな、泣かなくてもいいんだからなっ」
「うああああんっ……!」
 スカートをまくし上げてされるがままのポーズを取るともの動きは、メイドらしい手際のよい素早さだった。
 きっと、慣れきっているのだろう。何度も何度も謝る彼女の声も、そう思わせるだけの行為だった。

 ともの涙を前にして、おれも覚悟を決めた。
 問い詰めざるを得まい。こんな彼女をおれの元に送り込んだ張本人に。
「……なんだよあいつ、メイドって家事手伝い出来てメイドじゃねーのかよ! あの程度の年格好で出来ることもできない、あれじゃただの……」
「赤ん坊、だって言うんだろ。ご名答ー、正解だよ」
「んなっ……! なんでそんなの、おれのとこに!」
 ひょうひょうと返す台詞が苛立たしくて、電話相手におれの声も荒くなる。
 でも、悪友は揺らがなかった。付き合いが長い奴だから、分かってることもあるらしくて。
「だってお前、誰かに面倒見てもらうより、誰かの面倒見る方が好きな方だろ」
「……そりゃあ、そう、だけど」
「だからあの子なんだよ。未完成で、未熟な、赤ちゃんと同じメイドさんだ。ちょっと世間に出るのが早かったみたいで、お前が引き取ってやるまで、メイドの仕事は出来なかったってさ」
 ……だから、居場所がなかったのか。でも。
「……おれじゃなくて、いいだろ」
「家事掃除完璧なお前なら、誰かに教える方が楽しいだろーが。あのこはそっちの方もまだ未熟だからな。育ててやれよ。ははっ、ちょっとした光源氏だな」
 必死にすがりついて、おれからはなれようとしなかったともを思うと、突き放そうとした自分の行為がどれだけ残酷だったか、身に沁みる思いがした。
 そうだな……、それも悪くない、なんて。
 一瞬思ってしまったけれど、至極当然疑問も沸く。
「……ちょっと待て。普通業者がやることじゃないのかよ。どうしておれが」
「おっと、その子の派遣料聞いてなかったか? タダだぜタダ。しかも買い取りゼロ円だ。いやあよかったな、今時メイドゼロ円とかすっげえ破格」
「ちょおまっ、体のいい厄介払いにおれ使いやがったなっ!? コネかツテか知らねえけどどんだけ儲けたっ! 吐けっ、吐きやがれこのやろうっ!」
「ぬははは! ちっちゃい頃から育ててやると、もう『ごしゅじんさまじゃないとやなのっ、ごしゅじんさましゅきしゅきぃ』ってもう懐いて可愛いったらねえんだぞー。よかったなー」
「知らんがな! お前のヘンタイ光源氏計画は知らねえから!」
「自分にしか懐かない人形はな……ぬふふ、かわいいぞーっ、すっごい萌えるからな! ま、頑張って子育てしとけっ! んじゃなあっ!」
 気楽なノリでけらけらと笑う声を最後に、電話はぷつりと切れてしまった。
 それと同じくして、おれの勢いも、ぷつりと切れた。
(マジで……マジでどうしろっていうんだよおおおっ!)
「……ごしゅじん、さま?」
 苦悩に頭を掻きむしっていると、風呂場から顔を覗かせたともが、はだかの胸を晒しながら、こわごわとおれの顔を伺ってきた。
 恥じらいもなく、照れもなく。彼女が本当に幼心の持主なのだということが痛いほど分かる挙動だ。
 それなのに、おれといったら……。
(のーみそ赤ん坊なメイド相手にに勃つとか、最悪じゃねえかよう……)
 股間の屹立がバレないようにへなへなとその場に座り込んで溜息を吐くことしかできなかった。
 ……全く、とんだメイドがきたもんだ。
 家事もできない、掃除もできないどころか、一人でトイレもできないなんて。
 そりゃあ誰も飼う訳ないよなあ――押しつけられた、おれ以外には。

■ おむつなんてっ、赤ちゃんの下着じゃないですかっ!
 飼うと決めたら準備が居る。メイドを雇うはずが、いまやすっかりちっちゃい子のお世話な気分だ。
「とも。がまん、できそうか?」
「は、はいっ。いっぱいしーしーしてきましたからっ」
 思わず口からなにかを噴きそうになってしまった。生まれたてのメイドってこうなのか? 羞恥心が足りなさすぎるんですけど……。
「……そういうのはお家だけでしか言っちゃダメだからな」
「わ、わかりました、ごしゅじんさまっ」
 ……ご主人さまて。人並み溢れた商店街でそんな風に呼ばれるなんて、小っ恥ずかしいにも程がある。
 もっとも、気にしている人は割合少ないようだった。そう言えば近頃じゃ、メイドと一緒に買い物に出る人なんて珍しくもないんだっけか。
「なに買いましょう? モップですかっ、フライパンですかっ?」
「いや、それは既に家にあるから」
「そうですか……」
 『メイドは、ご主人さまから貰った自分用の家事掃除のアイテムを宝物のように大事にする』とは、悪友の台詞だったか。
 買って貰えないと知るやいなや、ともは心底残念そうにしょぼくれてしまった。買って貰えると期待に瞳を輝かせていたのが、この世の終わりみたいに悲しそうな顔をしている。
 ごめん、とも。君のご主人さまはちょっとドSでサプライズ好きなんだ。それにまずは、メイドとして必要なモノより、とも自身が必要なモノを買わなきゃいけない。
 しょぼくれた顔のメイドさんの手を引いて、やってきたのはスーパーみたいに大きなドラッグストア。
 棚に並ぶ商品の多さに、ともは目をまんまるくして驚いていた。
「うわぁ、広いです……。ごしゅじんさま、洗剤とか買っていいですかっ?」
「あはは。あとでな。てか、そんなに楽しいか、ここ?」
「はいっ、だってわたし、メイドですからっ!
 メイドの家事アイテムが手に入ると思ってか、ともはまるでケーキバイキングを前にした女子校生みたいに嬉しそうな顔を見せる。
 ドラッグストアでこんなにテンション上げられる奴はそうそういないだろう。ちょっとおかしくて、こっちもついつい笑ってしまった。
「えーと、まずはともに必要なものから先だな」
「わたしに必要なもの……ですか?」
 おもらし癖の抜けない赤んぼうには、穿ける下着は限られている。
 なんだろうと首を傾げるとものために、おれはそれを買いに来たのだった。

「壮観だな……。こんなに種類あったのかよ」
「ご、ごしゅじんさまぁ……。こ、これ、これって……」
 棚一面に並んだビニール袋のパッケージを前に、溜息をつくおれと顔を真っ赤にしてぷるぷる震えるともの二人。
 今まさに、おれたちは今のともに必要なもの売り場の目の前に立っていた。
 この一角を行き交う人は、よちよち歩きのちっちゃな子を連れたお母さんや、ベビーカーを転がしながら商品を選ぶお母さん。
 つまりは、そんなちっちゃな子向けのものを、売っている。
「あ、あの、ごしゅじんさま……。ご自宅にはその、赤ちゃんはいませんでしたよね……」
「いない」
「でしたら、こ、これは必要ないんじゃ……」
「だれかさんがまたおもらししちゃったら大変だしなぁ」
「や、やっぱり、わたしですか……。えうぅ……そ、そんな、こ、こんなの、恥ずかしすぎますよう……」
「人前ではだか見せるのは恥ずかしがらないくせに、こーいうのだけは恥ずかしいのかよ」
 本人もうすうす感づいているようだ。信じたくないとばかりにともも粘るが、ちくちく刺したおれの言葉でどんどん追い詰められてしまっている。
 挙げ句の果てには、泣きそうな顔でパッケージを指さして、ありえないとばかりに叫んでいた。
「だってっ! お……おむつなんてっ、赤ちゃんの下着じゃないですかっ! それに、わたしはお世話する方で……おっ、おもらしのお世話なんてされたら……メイド失格です……」
「おもらししちゃう時点で失格だと思うけどなあ……」
「そ、そんなあ……」
 恥ずかしそうに火照ったぱたぱた顔を仰ぐともは、確かに見た目だけなら恥じらうに値する発育の持ち主だった。身長はそこらの女子校生と変わらないほど大きかったし、おっぱいだって貧乳女子がうらやむくらいには、しっかり揺れる量がある。
 ただ、下半身とのーみそは、がまんの出来ないゆるゆるの赤んぼうレベルなことには変わりない。今だって、さっさと買わないとまたすぐおもらししてしまうかも知れないのだ。
 しかも今度は町中。時間の猶予は残されていない。
「すいませーん、この子が穿けそうなおむつ、探してるんですけど」
「ご、ごしゅじんさまっ! 言っちゃやだっ、恥ずかしいですっ!」
「人前でおもらしする方が、もっと恥ずかしいと思うけど? これならしちゃってもバレないから、安心してしーしー出来るぞ」
「そ、そんなぁ……お、おむつなんて……わたし、赤ちゃんじゃないのに……」
 顔から湯気をぼんと出してすっかり茹だってしまったともを前に、店員さんも苦笑いしていた。
 おむつの取れないだめメイド、略して駄メイドがごしゅじんさまにお世話されるなんて、世間の常識からは逆行してるにも程があるのだから、しょーがないことではあるけれど。

■ ごしゅじんさまのメイドがいいの……
 おむつの買い物を終えると、おれはピンク色のおむつのパッケージを抱えて恥ずかしそうに縮こまるともといっしょに、店内の多目的トイレへと向かった。
 目的はもちろん、おもらし癖のある駄メイドが町中で恥ずかしい思いをしないために、だ。
「ほら、自分で穿くおむつだろ、ちゃんと持ってなきゃだめだぞ」
「は、穿くとか言わないで下さいぃ……」
 まくし上げられたエプロンスカートの中のともの身体は、なるほどあたまの発育同様、幼い形を保っていた。
 ふっくらとした白桃のような臀部と、剥き卵のようにつるぺたな秘所。その上一本のラインが刻まれたぷにっぷにの秘裂に加え、肌に染みついた小便臭さも相まって、子供のままと言っても過言ではない。
(……なんだか、犯罪者の気分なんだけど)
 恥じらいで顔を真っ赤にしているメイド服の少女の脚を取り、片足ずつおむつを通していく……それをやってるおれ自身、とんでもないヘンタイ行為に手を染めてる気がしてしまう。
 両脚をくぐれば、あとはお尻まで一気に引き上げるだけ。くっと引っ張り、一気に上へと運んでいくと。
「ふぅぅんっ」
「だ、大丈夫か!?」
「すこし、きついです……」
 ともがもじもじと内股をしぼり、切なそうな視線でおれを見つめてくる。悩殺ものの愛らしい振る舞いのせいで、心臓はばくばく言いっぱなしだった。
 間近に見れば凄い光景である。メイド服の中は実はおむつで、お掃除洗濯しているときでも我慢が出来なくなったら目を瞑って恥ずかしそうに身を震わせて、おもらしで下着を汚していく……なんて。

 ――脳裏に過ぎるは、涙目のともが、スカートをまくし上げていく場面。紺色のカーテンが幕を開けば、隠されていた彼女の幼さが露わになるのだ。
『ごしゅじんさま……しーし、でちゃいました……。えぐっ、ごめんなさいっ、おもらししちゃって、ごめんなさいぃ……』
 鼻につく幼い尿臭が、いけないことをしている雰囲気を醸し出す。
 黒いタイツが締め上げた細い小枝のような脚に少女美を残しながら、下腹部を包むのは余りに幼稚な下着、動物や星が彩られた紙おむつがあてられていた。
 分厚いおむつはタイツを不格好に持ち上げる程大きく膨らんでいて、水浸しになったクロッチ部分は恥ずかしい黄色に染め上げている。
『……いけない子だ。お仕事も忘れて、ご主人さまの手を焼かせるなんて』
『ひ、いぅっ、ごめ、なしゃいっ! しぃし、がまんできない、赤ちゃんメイドで、ごめんなしゃいいっ!』
 無慈悲な主が薄皮を剥ぐようにおむつ越しに爪を立てて、そおっと秘部をなぞるように引っ掻けば、おもらしメイドは涙ながらに主への慈悲を媚びるだろう。
 だが、口元をいやらしく曲げて嗤う主は、決して情けをかけることはないのだ。
 引っ掻いた爪先でストッキングを無惨にも破り、情けないおもらしの雫でぐっしょりと湿ったおむつを、こね回すように乱暴に揉みしだいていく。
『あひっ、いぃぃっ、ひっ、ら、らめらめらめぇっ! ごしゅじんしゃまっ、だ、め、あ、ああっ、あひいいいっ!』
『何がダメだ、この変態が。幾つになってもシモが緩いくせに、なんだこの感じ方は! 漏らしたおむつが気持ちいいんだろ、この変態偽幼女が』
『あ、ひぃっ、いひっ、やっ、あっあっあっ! らめれすっ、しーでちゃう、えっちなしーしーでちゃうのおおっ!』
 紅潮した顔を振り、犬のように舌を出してよだれでべとべとになった口で、おもらし駄メイドは半狂乱に叫び、喘ぐ。
『あ、あああぁぁああああっ! イっちゃうっ、イっちゃうよぉ……おむつにおもらししながら、イくっ、イっくぅぅぅぅっ!』
 がくがくと膝を震わせながら、尿道から勢いよく爆ぜた飛沫でおむつがまた重く熱くなっていく。吸収しきれなかった分はギャザーを越えて太ももを濡らしている。
『ははは、まだまだ出るじゃないか。本当におもらし治す気なんて無いんだな。これじゃあ一生おむつ卒業できないじゃないか』
『や、だ……。ふえぇぇぇ……。そんなの、やだ、おむつのままなんて、やだぁ……』
 おむつを開けば、ナカでは、小さな秘裂からちょろちょろとした淫水混じりの黄色い尿が、生地に広がるおもらしの海へと流れ落ちていく。
 今も止まらぬ恥ずかしい失敗に、ともは鼻水と涙も溢れだし、端正な顔付きを汁塗れにさせていく。それすら主は嘲笑いながら、失禁駄メイドの醜態を眺めていた。
『こんなにいっぱい漏らすんだ。もうメイドは止めて、赤ん坊として一生を終えるのもいいかもな』
『やだ……メイドがいいです……。ごしゅじんさまのメイドがいいのぉ……あかちゃん、やだっ。やだよう、ごしゅじんさまぁ……』
 指先でつまみ上げたおむつは、たっぷり含んだおしっこの量でずっしりと重かった。
『こんなにおもらししてるんだ。お前はもうメイドじゃなくて、赤ちゃんなんだよ』
 鼻先に見せつけるように、涙ながらに哀願するメイドに、主は嗤いながら現実を突きつけていく――。

(な、なにヘンタイなこと考えてんだよっ! 相手は人形だぞ!? 欲情とかねーから!)
 ……以上、現実に戻るまでに掛かった所要時間、およそ0.2秒の間の白昼夢である。
 思えば、メイド服の下におむつをあてられて恥ずかしそうに真っ赤な顔でうつむくともと、個室の中二人きり、なのである。
「よ、よしっ、これでおもらししても大丈夫だからなっ。安心していいぞっ」
「は、はいっ……あ、ありがとうございます、ごしゅじんさま……」
 我ながらどーかしてる。友人の変態妄想を笑えない脳内展開に思わずおれまで挙動不審になってしまった。
 おれはともに急いでスカートを下ろさせ、二人揃って逃げるようにドラッグストアから飛び出していった。

 ……おむつをあててやるだけでこんなにもどきどきするんだから。
 おむつをあてられたともも、やっぱりどきどきしてるんだろうか。

■ おむつ、汚して、ごめんなさい……
 傍らに連れたメイドがおむつを穿いてると思うだけで、妙に胸の奥が熱くなって、爆ぜる鼓動が動悸を引き起こしてしまう。
 耐えられる訳ねー! とばかりに買い物を済ませ、おれたちは走って家へと逃げ帰っていた。
「はぁっ、はぁっ……やっと、戻ってこれたぁ……」
「はう、お疲れさまです、ごしゅじんさまぁ……」
 ドアを開けて飛び込むなり、肩で息するメイドと主人。急な運動のせいか、お互い息も絶え絶えになっている。
 冷蔵庫の中で冷えた麦茶が恋しくてしかたなかった。砂漠に見つけたオアシスへ駆け出すように、取り出したペットボトルからコップに注ぐや否やすぐに胃の中へと移し替える。
 熱っぽい身体を冷やすには内側からが一番キく。一杯流し込むことで、ようやくほっと一息つけた。
「ぷはぁっ……生き返るぅ……。とりあえずこれで、必要なもんは揃ったから、やってけると思うよ」
「……がんばります、ごしゅじんさまっ」
 新品のコップに注がれたお茶を両手に持ってちびちびと呑みながら、ともも同じく一息ついたようだった。
 決意を込めてか、少し溜めてから口をついて出た言葉は力強くて確かな響きを伴っている。
 照れたようにはにかみながら、主人に向けて一途な想いを向ける彼女は、まさにメイドの鑑だった。
(これで、おもらし癖がなけりゃなあ……)
 こくりこくりとお茶を飲む姿を見て思い出すのは、はやってきたばかりの失敗と、超展開な妄想で。
 メイドは人形、人間じゃない。そんな対象に見ちゃいけないって、自分の中の倫理観が必死に警告アラームを鳴らすのだけど。
「……一つずつ、覚えていこうな」
「? はい、ごしゅじんさま」
 何のことだろうと小首を傾げる素振りさえ愛らしい。やることなすこと一々可愛すぎるのだ、このメイドは。
(くっそ、静まれおれの心臓……って静まったら死ぬのか。頼むから程々に動いてくれよう……)
 胸の鼓動がまた暴れ出しそうになる。お陰で、冷たいお茶を何杯もお代わりする羽目になってしまった。

 ……で、呑んだら出るのは自然の摂理である訳でして。
「で、洗濯機が止まったらちゃんと給水栓を止めるように……」
「はいっ。給水栓を、止める、と」
 家事も疎い新人メイドに家事のイロハを叩き込んでる最中に、必然は生じた。
 膀胱に溜まった衝動が人間を生理のままに動かそうとする。平たく言えばトイレ行きたくなった。
「悪い、ちょっとトイレ休憩な」
「あ、はい……」
 ともに背を向けトイレに直行。入ったら即、脱ぐ、出す、仕舞う、一息つく。男のトイレは短いのである。
「ふぅ、戻ったぞ、とも……って何してんだっ、ともっ!?」
 そして、出すもの出してすっきりしたおれを待っていたのは――。
「う……動けない、んです……も、もう、げんかい……でちゃう、でちゃうよう……あうぅっ……」
 下腹を抑えて、四つ足でうずくまるともの姿だった。
 額に脂汗をかいて、苦悶の表情を浮かべている。
 一つでも刺激を加えられれば、衝動に全て洗い流される、そんなギリギリのラインで必死に堪えていた。
 脳裏に浮かぶ要因は、帰宅直後に呑んだ、氷のように冷え切ったお茶。
「とも……お前、おしっこ出そう、なのか?」
「あ、あうぅ…………。ひゃい……」
 自分の衝動を見透かされたのが恥ずかしいのか、泣きそうな顔で答えるとも。
 彼女に訪れた危機がもはや分水嶺に差し掛かっているのは明白だった。
 一人では解決できないレベルにあるのだ。
 ご主人さまであるおれに、出来ることと言えば。
「は、早くトイレいかないとダメじゃないかっ! 運んでやるから、我慢して」
 手を差し出して、彼女をだき抱えてトイレに向かうことくらい――だったのに。
「だめえっ! でちゃうのっ、触ったらでちゃいますうっ!」
 抱えた腕の中でともはもがき、ぐずった赤ちゃんのように身を捩らせて泣き叫んでいた。
 唐突な暴走に、おれも手に負えず、体勢を崩しそうになる。
「危ないっ、落ちるっ!」
「ひうっ!?」
 腕の中から落ちそうになったともをぎゅっと抱きしめ、脚を踏ん張りその場で踏み込む。
 ――その衝撃が、おれの全身を伝わって、ともの身体まで届いたのか。
「あ……あぁ……や……あぁ……。ふぇっ、うぇっ、ぐずっ、ふぅぅぅん……」
 スカートの下で抱えたおれの掌に、生暖かい温度が伝わってくる。微かな水流が流れる音が、彼女の股の辺りから響いていた。
 だんだん瞳に溜まってきた雫が、柔らかそうな頬に伝わり落ちていく。端正な顔付きがぐしゃぐしゃに歪んだかと思うと、細い喉から途切れ途切れに悲しい声が聞こえてきた。
「えうっ、お、おもらし、してっ……ごめん、なさいっ……ごめんなさいぃっ、ごしゅじんしゃまぁ……! うぇぇんっ、ふえぇぇぇぇんっ!」
「とも……」
 自らの失敗に怯えきったともの姿は、痛々しかった。必死に慈悲を請い願い、自らの失敗を許してもらおうとしている。
 手遅れに終わったどころか、彼女の忍耐を打ち壊すようなお節介をしてしまったおれは、彼女に何も言えなかった。
 抱えたともを床に降ろすと、彼女はぺたんと両脚をハの字にして座り、ぐしゃぐしゃの顔を両手で拭いておれの方を向いた。
「おむつ、汚して、ごめんなさいぃぃ……。うあああんっ、ああああああんっ……!」
 ともはスカートをまくし上げ、己の恥ずかしい失態をおれに晒していく。
 黄色く染まったおもらしおむつは、想像通り、不格好なまでに膨れあがっていた。

■わたし、ごしゅじんさまで、へんになっちゃうっ……
「ひぐっ、ごめん、なさい……。ごしゅじん、さまっ……」
「気にするなよ。……そのためのおむつなんだから」
 しゃっくり混じりの泣き声で謝るともの姿は、痛々しいったらありゃしなかった。
 両脚をMの字に開いてぐすんと鼻を鳴らすともの股には、黄色く染まった紙おむつ。
 よっぽど大量にもらしたのか、中の色さえ透けて見えた。鼻に突く臭気さえ主張している。
「ほら、じっとしてろ。キレイにしてやるからな」
「はい……ふあぁっ!」
 おもらしおむつの両端のギャザーを破り中を開くと、ともは頬を紅に染めながら微かな声をあげた。
 つるつるの玉の肌に、無毛の性器が彼女の幼さを示している。その上、股間の三角洲に滴る露が、濡れたおむつと相まって赤ん坊のように見えてしまう。
 まだおもらしの温度で暖かいそこを、ウェットティッシュで優しく拭えば――
「ふっ、くぅん……。うぅっ、ひぅぅ……」
 ともは身を捩らせて嬌声を漏らしていく。おむつが必要な歳の子には無いような艶めかしさに、思わず胸がどくんと鳴った。
(いちいちエロいんだよな、反応が……ううぅ、罪作りなヤツ……)
 これはただの介護であって……なんて必死に自分で自分に言い訳をするも、ともの反応が収まる様子もなくて。
 身体に熱が籠もってか、だんだんと赤みを増していく秘裂にティッシュが触れる度、微かな嬌声が途切れ途切れに続いていく。
「ご、しゅじん、さまぁ……。ひぅ、ごしゅじんしゃまっ、ごしゅじんさまぁ……!」
 切ない声色はまるで愛しい人を求めるようで、おれの心をぎゅっと掴んで離そうとしてくれない。
 肌を隔てる薄い布地越しにひくりと蠢く彼女の『かたち』が、指先に伝わってきてしまう。
 おもらしはとっくに拭き終えた、はずなのに。
「だめ、です……わたし、ごしゅじんさまの、ゆびでっ、ひっ、いぃぃっ、へんになっちゃうっ、でちゃう、しーしでちゃううっ」
 秘裂から沸き出す雫は、一向に収まる気配がなかった。
 ただ、さっきまでとちがって、それはおもらしのようにすぐにティッシュに吸収されることもなく。
「とも……。感じてるのか?」
「感じ……? わ、わかんあいれす、でも、おまたがっ、ひっ、あついっ、あちゅいのぉっ」
 指先で摘んだ不織布を肌から剥がせば、薄い糸がつーっと引いて、物惜しそうに名残を見せる。
 ……トイレだって一人前に出来ないくせに、こいつは。
(ぬ、濡れてんのかよ!? おむつ替えてやってるだけだってのに、ティッシュで拭いてやってるだけだってのにかっ!?)
 ともの秘裂は、幼子のように我慢のできないおしっこ臭さを染みこませながら、敏感な性感にうち震えて、女としても濡れてしまっていた。
「あふぅ……ぁぁ……くうぅん……」
 さっきまで泣いていた瞳は、いつのまにかとろんと夢見心地に蕩けていて、ぽーっとおれの顔を見つめていた。
 それなのに、おむつの中で秘裂をひくつかせながら、恥じらいもせずに親指を口にやり、ちゅうちゅうと一心に吸っている。
 快楽に酔い痴れる瞳は、思ったよりも暗かった。まるで、いつまでもおむつを濡らす幼稚性に立ち竦む、自分からの逃避のように。
(……ショックだったんなら、こっちが気をつけてやらないとな)
「ふあぁん……」
 濡れたおむつを離して新しいおむつを下に敷き込んだとき、ともはまた仔猫のように小さく喘いだ。
 すがるように、おれのことをじっと見つめながら。

 ことが済んだ後のともと言ったら、さっきまでひんひん喘いでたのも嘘のようにしょぼくれてしまっていて。
「……ごめん、なさい」
 ぼそりと一言、消え入るような声は部屋の壁に吸い込まれていった。後に残るしんとした空気がまた居心地最悪だ。
「あーもう、気にすんな! おれは世話焼かれるより世話する方が好きだから、むしろ大歓迎です」
「で、でもっ! メイドなのに、お、おっ、おもらしなんて!」
「……おむつ替えのときのとも、可愛かったし」
「な、ななっ、なあぁぁ……!?」
 二の句も告げられずに途中で絶句するとも。顔を真っ赤に染めてぱたぱたと両手をばたつかせる素振りで、パニック状態なのが丸わかりである。
 おれとしても身を切る思いで呟いた発言だから、お互い目線も合わせられないほど恥ずかしくてしかたなかった。
 ……いやだって、こうでも言わないと、うじうじ悩むの続きそうだし。
「……ご、ごしゅじんさまって、へんたいさん……ですか?」
「そういうとももへんたいだよなー。おむつ替えてるだけなのに、ひんひん喘いじゃってたし」
「あ、あれはごしゅじんさまの手つきがえっちだからっ!? わ、わたし、あんな風にされたことなんてなかったんですよっ!?」
 必死に反論する辺り、ちょっと元気が出てきたらしい。目をまん丸くして抗議するともが可愛らしくて、こっちもちょっと意地悪になってしまう。
「普通に拭いてただけなのに、えっちなお汁が指についちゃったしなー」
「ぶっ! そ、そそそ、そんにゃっ、そんなこと……えっちなお汁とか……あうぅぅ……」
 顔から湯気を出すほど恥ずかしがって、ともがぷしゅーと萎んでいく。ここで追撃入れたら泣かせちゃうから、負けるが勝ち、と言う訳で。
「まあ……あの時のとも、可愛かったし。べつにへんたいでもいいかなー」
「……やっぱりへんたいなんじゃないですか。ごしゅじんさまの……えっち」
 ぷうっと膨れるちびめいどは、変態ごしゅじんさまをジト目で見つめてきやがりました。
 へっ、おむつも取れない赤ちゃんメイドのくせに……なんていうのは、心の中に置いといて。
「そーですよー。だから、へんたいのお世話、よろしく頼むな、とも」
「う、うぅ……そりゃあわたしはメイドですから、お世話しますけど……で、でもっ、へんたいさんなんて……」
 職業意識と倫理感の狭間で戸惑い悩む新人メイドは、思っていたのより、ずっとおれの性格にも合っていたのかも知れない。
 一人行ったり来たりの押し問答で悩むともは、小動物みたいな可愛らしいヤツだった。
「おれのお世話、してくれますか?」
「はいっ! ってそのへんたいの方じゃなくて! でも、それ以外出来ることなさそうだし……あうぅ、わたし、どうしたらいいのぉ……」
 ……かといって、友人に感謝を言うのはしゃくだけど。
 兎に角、こーして我が家でも、メイドがやってくることになりました、とさ。
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