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伏屋のづ

Author:伏屋のづ
Mail:nuderiff@gmail.com

書き殴った【おむつ・おもらしフェチ】系妄想置いてます
だいたい月一でもえないごみがふえるよ
文章も構成も壊滅的なんで重箱の隅突きなど歓迎中
萌えについて模索中なので作風も質もブレまくるよ

2016/01
>あいかわらずにほんご書けてねえ
>よかったら好きなシチュ語ってもらえるとうれしいです
@ごみばこ

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(書けたら書くかも)

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おつはる。

■ヨザクラオトメ
 花の命と少女の季節、何れ等しく儚くて。
 いまはもう夢のあと、夢から覚める夢の話。

 ***

 午後4時43分。数週間前なら暮れていたはずの景色も空にはまだ太陽が残っている。明るい春の夕暮れは、そよ風さえも優しかった。
 短い季節を逃すことなく迎える事が出来た大イベント――花見DEドリームLIVEフェスティバルも、家路に着いた観客の人波と胸踊る大盛況の記憶だけを残し、辺り一面余韻だけがただ静かに満ちていた。ライブ中に吹いた強風のせいかで、満開の桜が咲き誇った野外公園の構内はコンクリートの地面まで花びらのじゅうたんで埋め尽くされている。それはまるで、訪れた人々の夢の終わりを見送るように。
 そうしてフェスに参加した誰もが自分たちが体験したステージが夢のようだったと語るしあわせな時間が過ぎゆく間に。
 華やかな舞台に立った出演者も、それを支えた影の裏方も、また人知れず、醒めやらぬ酔いの中にいた。

 ***

 ――プロデューサーさん、お着きになられましたよ。
 楽屋で一人待ち続けてきた、乙倉悠貴の待ち人が現れたのは、スタッフがそう伝えたのとほぼ同時だった。

「待たせてごめんな、悠貴。車用意してきたから……って、大丈夫か?」
「えへへっ、だいじょーぶですよおっ……。いま、すっごくいい気分ですか――あれぇっ!?」

 心配そうに悠貴を伺うプロデューサーに、肉付きの薄い長い手脚のショートカット少女がにへらと笑って椅子から立ち上がった瞬間。
 悠貴の見た景色が、ぐらり揺らいで宙を滑った。数時間前の熱狂に足をとられ、軽い体重でも身体の力が抜ければ、164㎝の長身でさえ、支えを失い容易くバランスを崩してしまう。
 慌てて踏み止まろうとするも、長時間の緊張を解かれた弛緩状態も相まって、込めた力もまるで砂を握るように手脚から抜けてゆく。
 ただ、それでも。
 慣性に従うままに、墜落する――そう確信した、次の瞬間。

「ったく、言わんこっちゃない。しっかし、ほんっと軽いなあ悠貴は」

 慌てて駆け寄った男性の右腕に、悠貴の背中はがっしりと掴まれていた。少女の感覚にはなかった太くてごつごつと堅い力強さは崩れた身体を勢いを殺しながら受けとめると、空いた左腕を悠貴の膝下に通して、そのまま全身を水平に傾けながら持ち上げていった。

「ぷ、プロデューサーさんっ!? ごごごごごめんなさいっ!? わわわたしっ!?」
「いーよ、疲れてんだろ。休んどきな、車もう見えてんだから、すぐそこまでだ」

 まだ夢見る年頃の13才でも、その行為の意味は知っている。でも、知識として知っていただけで、悠貴にも勿論経験なんてなかった。
 それは頬に交わすキスや幼心で呟いたスキにはない、想像だけでも白昼夢に誘われるような遠い世界のお話で、それ故に乙女の憧れだった。
 それが今、放り出された身体を強く支えられ、委ねた肉体ばかりかまるで自分の全存在を任せてしまった扱いによって、現実とものとなっている。
 余りの衝撃に思考は遅れ、代わりに脳裏に過ぎるは甘美な夢想。
 もしこのまま、お城へ向かう馬車まで、王子に甘えられる灰かぶりのお姫さまでいられたら――。

(って言われてもっ!? これっ、お姫さまだっこですよねっ!?
 プロデューサーさんに、ぎゅってされてっ……。うで、あったかい……じゃなくてぇっ!?
 あああっ、ど、どうしようっ、恥ずかし過ぎて顔見られないですっ……!)

 意識がトンだその数秒感、悠貴は確かに、余りに突拍子もない空想、もといむふふ笑いの同僚のような妄想の世界へと足を踏み入れていた。
 いつも見ていた頼れる人の顔すら、瞬間許容量を超えた羞恥心のせいでまともに見られなかったというのに。
 その上妄想までしてしまった事実に動揺も隠せず、悠貴も耳まで熱くした真っ赤な顔で、必死にお願いを繰り返した。

「あっ、あのっ、恥ずかしいからっ! お願いしますおろしてくださいいっ!?」
「お、おう……ごめんな、ちょっとやりすぎたな。待たせた上に、ごめんな」

(そういえば、私、ずっと……プロデューサーさんに、助けて貰ってましたっ)

 物分かりのいい対応と気易い態度は第一印象とずっと変わらない。
 人の良い大人――悠貴もジュニアモデル時代に関わったカメラマンやスタッフで、親や教師以外の大人を知っていたけれど、プロデューサーほどずっと近くで、長い間同じ人とずっと関わり続けてきた経験は初めてだった。
 思い起こせばもう一年弱、短いようで長い付き合いになる間柄だから、すっかり慣れてしまったと思っていたけど。

「い、いえっ、こちらこそ……ありがとうございますっ。私だけ特別……なんですよね? 車、用意して貰ったのも」

 親しき仲にも礼儀あり。そう思い出して、悠貴もゆっくりと下ろされた楽屋の底で正座を着くと、慌ててぺこりと頭をさげた。
 プロデューサーはそんな仰々しさがおかしかったのか、気にしなくて良いと笑いながら手早く荷物をまとめると、楽屋のドアを指差した。
 すぐに出よう、というジェスチャーに、悠貴も勢いよく頷く。すぐにでも出られるように着替えもとうに済ませていたからだ。
 忘れ物を確認してから楽屋を離れ、大道具スタッフももうまばらにしか残っていない会場の中、二人語りながら並んで歩き出した。

「ああ、普通はな。でも、事務所が配慮することもない訳じゃない。ちひろさん曰く、よそでも前例もあるらしいから。
 それより悠貴、ちゃんと食ってるか? まだ野菜ジュースで済ましてんだろ。またバンビやるか?」
「ばっ、バンビはもういいですっ! 友だちにもいっぱいからかわれちゃいましたよっ」
「そりゃ悠貴がカワイイからだ。その歳なら、イジりなんてイヤなのも当然だけどさ」
「私も、幸子ちゃんみたいにカワイイって言われるのに慣れた方がいいんでしょうかっ?」

 仕事の話、寮生活の話、共に競い協力し合うアイドルたちの話。尽きない話題を聞いて貰う内に、自然と話は弾んでいく。

「あれは……例外中の例外だから」
「……ぷっ、あははっ。そうですよねっ」

 時に自分より10才は年上の成年男性が、遠い目をして視線を逸らしたその仕草がおかしくて、思わず笑ってしまったり。

「今笑ったの幸子に言ってやろ」
「べっ、別にからかって笑った訳じゃないですよおっ!? う、羨ましいなあって思っただけでっ」
「ウソです」
「プ、プロデューサー、イジワルですよおっ……。時子さんに言いつけますよっ?」
「ごめんなさい俺が全部悪かったから! 許して下さいなんでもしまむらっ」

 他愛ないジョークの掛け合いが楽しくて、悠貴も加減を忘れてしまいそうになった。

「……んふふっ」
「えへへっ」

 そうして笑いながら歩いていれば、気付かぬ内にカボチャの馬車まで辿り着く。アイドルを始めて、まだ小さなステージで活動していた頃、移動の際によく乗っていたライトバンはお世辞にもかわいくはなかったし、乗り心地もそこまで良くはなかったけれど。
 たくさん笑ったお陰だろうか、緊張が抜けた身体に心地よい疲れが溢れてしまうと、悠貴の目もとろんとまどろみだしていた。
 達成感に充実感――ありきたりの言葉で言い表すのも足りない感情が、沸けども尽きせぬ多幸感に変わり、目に映る世界さえ輝かせる。
 カーテンの隙間から覗く夜景の光まで、宝石をばらまいたように美しく見えてしまう。

「よかったなあ、今日のライブ。桜の時期に野外なんて俺も初体験だ。いいもの見せて貰いました」
「ありがとうございますっ! ほんと、すごかったですっ……」
「夢みたいだったな」

 夢――走り出した車の中で、運転席から背中越しに聞こえたプロデューサーの言葉は、なんだかすっと悠貴の胸にも素直に入ってきた。
 それだってありきたりだけれど、不格好な口調のままでも落ち着いた響きが聞こえたから、それだけで良かったのかも知れない。

「そうですよっ! 歌ってたら桜が風にぶわああって舞ってっ!
 花吹雪が会場まで飛んできた時、私の歌声、会場のみんなに負けちゃいそうになるかとっ!」

 語る間に、気持ちはその瞬間に戻っていた。
 ステージから見えた景色は、力一杯ジャンプした時、迎えうつように上がった観客と桜吹雪が一体と化す大波浪。
 モニターを超えて聞こえた音は、マイクを握って遠くまで届いてと願った歌声が、つむじ風に乗った歓声に煽られ響いた大反響。
 蘇る興奮に血潮はふつふつ沸き立って、醒めた熱がじわりと肌の裏に染み渡る。

「作為のない自然の演出だからなー。タイミングもぴったり、奇跡だよありゃあ。心奪われた。
 俺も思わずお客さんと一緒に叫んじゃったな。悠貴ーっ! ってさ、こんな風に」

 プロデューサーはただ、大声を出した真似をして見せただけ。
 理性でわかっていても、だけどちゃんと、悠貴の耳には大声に聞こえた。
 どこかで聞こえた声援の一つに、なんだかとても勇気が出た覚えがあったから。

「えへへっ、私、ちゃんと聞こえてましたよっ、プロデューサーのおっきな声援っ!
 プロデューサーさんに応援してもらえると、なんだかすごく元気になっちゃいますっ!
 もっと、もっとって、どんどん先に進めちゃうの……不思議パワーですっ。えへへっ!」

 両手を掲げて、ガッツポーズ。ちょっと幼い仕草でも、素直な気持ちを出すのに気負いはなかった。
 座席一つで遮られ、バックミラーでも運転中はよく見えないかも知れない。だけど、伝わる――その確信は。

「……なろうな、シンデレラガール。悠貴がなりたい、かわいいアイドルに」
「はいっ! 今後とも、よろしくお願いしますっ!」

 正しくつながり、期待以上の反応に、また悠貴の胸の奥からも喜びが溢れていく。

(なれる気がしますっ、プロデューサーと一緒ならっ!
 だって、私も……一緒ならきっと、どんなことでも、したくなっちゃうからっ! えへへっ!)

 大事な記憶を宝石と抱くように、悠貴はささやかな胸元に両手を重ね、そっと静かにまぶたを閉じた。
 アイドルでいられる事の喜びを――せめて、眠りにつくまで浸っていられるように、祈りながら。

■ヨイマチショウジョ
 悠貴の所属するアイドル事務所は、地方から上京した未成年者も少なくない。事務所も未来のトップアイドルを育てる為に、女子寮を併設して彼女たちの活動を支えている。勿論、岡山出身の悠貴も寮利用者の内の一人だ。
 『生活面でもバックアップしている』という名目上、終業時間の制限も『送り迎え』という理由で多少の誤魔化しがあるのも事実だが、学業進学諸々の進路選択を妨げない事務所の方針で家族の理解もあり、また噂では(あくまでも噂だが)『有能な事務員』が関係各所との折衝を担当しているから公的にも『全く問題ありません』……と、まことしやかに囁かれてもいる。
 閑話休題。兎にも角にも、無粋な夜は都市の血流の中で遅々として動かず、並ぶ車列の中では時計の針ばかりが先を進み続けていた。
 それはアイドルライブフェスを終え、会場の野外公園を後にしたばかりの悠貴の乗る車もまた同じ。
 のろのろと動く渋滞は一向に解消される気配はなく、二人きりの車中だというのに、運転手も重苦しい溜め息をこぼすほど。

「……混むとは聞いてたけど、ここまでとは。ごめん悠貴、事務所着くの遅れそうだ」

 プロデューサーは申し訳なさそうに顔をしかめ、バックミラー越しに数度目の謝罪を口にした。
 最も、今の悠貴に彼の言葉に応える余裕などない。

「ふぁい……わかりましたぁっ……」
「眠いか? もう寝ちゃいそうか」
「だ、大丈夫でひゅっ……ま、まだまだ、起きてないと……」

 不躾な溜め息を責められる程、悠貴も礼儀正しくなんていられなかった。
 何度かみ殺しても睡魔と眠気は蘇る度に強くなり、気を抜けば祈るどころでなくただただ眠たくて自然とまぶたが落ちてしまいそうになる。
 舟をこいだ首の動きで目を覚ます事が出来たのも最初の内だけ。悠貴ももう、とっくの昔に限界だった。
 隠しようもない様子で伝わったのか、ずっと前を向いていたプロデューサーも悠貴の座る後部座席へと振り向いた。

「パーキングメーターある所で一旦止めるから、そこまでは起きててくれよ。
 『用意』したら寝ちゃっていいから」
「……は、はいっ」

 伝える事を手際よく伝えすぐにまた前を向いたけれど、珍しく深刻な顔を見せた彼の態度で、鈍っていたはずの悠貴の神経にも電気が走る。
 実際、それからすぐに、悠貴の乗った車は車道脇の一時停車場に駐められた。車が動かなくても地下鉄と徒歩で一人でも帰る事は出来る。
 だがそれも、プロデューサー一人なら可能な話だっただろう。悠貴が一人いるだけで、それは実質不可能な選択肢だった。
 カーテンで窓を閉めて人目を避け、不格好さで人目をかわしたライトバンは、他ならぬ悠貴のような子を守る為に用意されている。
 プロデューサーは運転席を降りると、背中を丸めて中身を隠すようにこそこそと悠貴が座る後部座席にやってきた。座席の背もたれに身を投げ、ぐったりと沈んでいる少女に猶予は残されてはいない。心配いらない、と笑顔を繕っていたが、座席の下に隠した荷物を漁る表情は必死だった。

「ごめんなさい、プロデューサーさん……。わたし今日、多分いっぱい……『しちゃう』と、思いますっ……」
「ライブなんだから水分きちんと取る方がえらいんだって。新田さんに聞かせたら全力で褒められるぞ。
 身体は気にすんな、成長期なんだから。むしろ寝ないと成長しないんだからさ」
「これいじょー、せーちょーするのも……はふぅ……。しんちょーばっかり、おっきくなって……」

 悠貴も、頭の中ではお喋りで気を紛らわそうとしてくれるプロデューサーに感謝しているつもりだった。だが、睡魔ばかりが強すぎて、現実では小指一つ動かせない。ステージ上で縦横無尽のパフォーマンスを見せたエネルギッシュさは鳴りを潜め、早熟な身体ばかりか実年齢から考えても歳不相応な幼さが顔を覗かせても、覚醒水準の落ちきった意識では媚態を自覚するのも困難になっている。
 されるがままの少女は、プロデューサーの手により、その装いを容易く解かれていった。
 動きやすいからと愛用していたショートパンツもボタンを外され、淡い水色ストライプのショーツも、細い足から引き下ろされていく。
 陸上部の走り込みで引き締められたかもしかのようなしなやかな脚の狭間、無毛の三叉路に引かれた一筋の幼い秘裂まで露わにされながら、悠貴が抵抗の素振りを見せる事はなかった。それどころか――

「そんだけ伸びたんなら次は中身の方だって、心配すんな。ほら、脚伸ばせるか?」
「はぁいっ、よろひく……おねがいしまひゅうっ……。ふあぁっ……」

 プロデューサーの一言一句にさえ眠そうに細めた目をこすりながらも従順に従ってゆく。
 ダンスのために続けてきた柔軟体操に倣ってか、悠貴の細い脚は少しずつ開かれていき、ついには大股開きになってしまった。
 腰や太股に女性らしい丸みを帯びた肉付きはなく、飾り毛一つ生えてない少女の秘所はぴったりと大陰唇の閉じた幼子の無垢を晒している。タイトなショートパンツに詰め込んでいたであろう下肢にも圧迫痕すら見えず、媚態さえ繕えぬ『生まれたままの身体』は余程の幼児性愛者でもなければ劣情を及ぼすには程遠い形を成していた。
 だが、プロデューサーはあられもない姿には目もくれず、用意した替えの下着をまるでガラスの靴を穿かせるような丁寧さで、片脚ずつ悠貴の脚に通していく。13才にもなって人の手によって穿かせて貰った『夜の下着』は、悠貴の隠してきた秘密そのものを示していた。
 知られたら最後、アイドルだけでなく普通の少女としての生活さえ破綻する。気を許せるのは共犯者であるプロデューサーだけ、なのに。

「心配しなくても、ちゃんと用意してるから。おねしょパンツの中に追加のパッド、重ねとくぞ」
「――ふぇっ!?」

 無神経な発言に、今にも落ちそうになった意識も冷や水を浴びてしまう。
 ぱちり、大きく目を見開すや否や、悠貴もプロデューサーが刺した言葉の意味を意識してしまった。

「あっ……あ、あっあっ……! ありがとう、ございま……ううっ、ぷ、ぷろでゅーさぁっ……!」
「どうした!? もう出ちゃいそうかっ!?」

 突然挙動不審になった少女を覗き込む彼の目線を遮って、悠貴は強烈な恥ずかしさに真っ赤になった顔を隠して首を振った。
 まだ穿かせて貰っている途中の下着を片脚に残したまま、もじもじとふとももをすり寄せながら、ただ涙目で情けを懇願する。
 半分以上寝起きの頭では、言葉もあやふやで言いたい事も満足に言えやしない。

「はっ……はやくっ、当ててくださいっ……。はずかしいです、よおっ……!」
「……すまん。すぐ終わる」
「おっ、おねがいしますっ! はやくっ、早く当てて下さいっ! 私のオネショおむ――」

 最後の墓穴を踏み抜いたのは、焦りの余りに勢いで、自分でもその名を呼びかけた時だった。
 悠貴が穿かされていた下着は、小学校と一緒に卒業した筈の女児ショーツ同様に穿き込みも深く、フロント・バックプリント共に共にアニメ調のうさぎのイラストが描かれていた。綿でもシルクでもない独特のやわらかな肌触りは人一倍伸びた下肢にはタイトに食い込み、下着の中は足回りとクロッチ部分、お腹から背中にかけて密着した肌を撫でるギャザーの感触も重なり、自分が穿いているモノの特別さを嫌が応にも自覚させる。
 長方形状に広げられたパッド――尿量の多い夜尿児童を対象とした吸水パッドでもこもこに膨らんだ悠貴の夜の下着は、海外製でティーンズ向けに売られていた、おねしょパンツ。一度寝てしまったが最後、尿意を覚えてもトイレにも起きられずにベッドやパンツやパジャマを幼児のようにお漏らしで濡らす、小学生どころか幼稚園児でさえ卒業している恥ずかしい下着だった。
 それもパンツとは名ばかりで、実際はトイレトレーニングもまだの赤ん坊が穿く紙オムツと何も変わらない。避けてきた劣等感を逆撫でされれば、悠貴ももうダメだった。昼寝の時でもそんな物を穿かないと寝られない恥辱に耐えきれず、沸き上がる感情も抑制を忘れて行動に変わってしまう。

「~~~っ!!」
「ちょっ、悠貴ぃっ!? 脚止めてくれっ!? 当てるからっ、ごめんなほんと俺が悪かったからっ!?」

 せめて叫びたい気持ちだけ胸に押し止めて、どうしようもない恥ずかしさ弱々しいバタ脚で抗議する。
 ジョークとは違う、悲壮なプロデューサーの声で蹴りを止めたが、それでも涙は止まってくれそうになかった。

「……プロデューサーの、えっちっ」
「ほんと、すんませんでした……」
「時子さんと早苗さんと清良さんと、あと木場さんとちひろさんと……」
「……ああ、短い人生だったなあ」

 穿かせて貰った後はしばらく許す気にはなれないと、鈍いランプの灯った車の中、悠貴もちくちくと小さな言葉の針で、小さく背中を丸めたプロデューサーを突く内に。

「ふああっ……」

 大あくび一つ。それが最後。
 忘れていた睡魔が、意識の全てを掠っていった。

■ウタタネウタヒメ
 ――オネショが治らないのに、アイドルなんてやっていいんでしょうか?

 そんな告白をするまでに経験した数多くの葛藤で、乙倉悠貴もプロデューサーの胸を散々涙と鼻水で汚し尽くした。
 だが、プロデューサーは何も顔色を変えずに、悠貴を車に乗せて連れ出して『話をしよう』といってくれた。

「こっ、こういうの、”カワイイ”って言っちゃだめですよ、プロデューサーさんっ……。
 オネショでおむつなんて……アイドルのかわいらしさじゃなくて、ちっちゃな子に言うカワイイですからねっ!」
「えー、カワイイのになあ。いまの時代、悠貴くらいの子がオネショしちゃうのも珍しくないぞ?
 うちの事務所でも、名前は出せないけど結構いるし、泊まりの時はこちらでも配慮してるしな」
「でっ、でもっ……。プロデューサーさんと一緒に、こ、こんなとこまで来ちゃうなんてっ!?
 わ、わたしっ、顔上げられないですっ。恥ずかしすぎて、前見られませんよおっ……」

 訪れた先は、郊外にある中規模のドラッグストア。小声で話すひそひそ話は、誰にも聞かせられない二人だけの秘密みたいで、恥ずかしい筈なのに、悠貴も何故かプロデューサーを責める気にはなれなかった。何を買いにきたのか――無論、おねしょの話を切り出したのは悠貴自身だ。察するなと言う方がおかしいから、拒否を口に出す気にもなれなかった。
 というか、おねしょよりも恥ずかしい目に遭わされてしまっている現状の事で、頭がいっぱいになっていた。

「だから手つないでるんだろ。清良さん曰く恥ずかしいのも治療の一貫、らしいから。
 オネショ治したいんだろ? 悠貴ももう13才に――」
「わっ、わかりましたっ、わかりましたからあっ!? ううっ、ちひろさん、こんなの拷問ですよおっ……」

 両親や友だちと違う、大人の人と手をつなぎながら歩く、ただそれだけのことなのに。
 何かあればプロデューサーに、何もなくともプロデューサーへ、距離を縮めようとしている担当アイドルたちは数え切れなくて、悠貴はそれをただ遠くから眺めているだけだったのに、まさかプロデューサーの方から来てくれるなんて、思いもよらなかったのだ。
 それが自分がずっと受け入れられなかった、赤ん坊の頃から夜のおむつも取れず終いの、おねしょが切っ掛けだったのは複雑ではあるけれど。

「あの人ああ見えて『アイドルの事だけは』大事にしてるから。『アイドルの事だけは』!」
「……何かあったんですか、プロデューサーさん」
「ナニモナイヨ。ホントダヨ」
「はあ……」

 親しくしようとしてくれている彼は、どこかちぐはぐで、でも悠貴を支えようとしてくれている……ように、悠貴には見えた。『おねしょっ子アイドルは悠貴だけじゃない』と言われてもすぐには信じられなかったが、例え嘘だとしても臆病にならなくていいというメッセージだけは悠貴にも伝わっていた。
 褒めそやす年下や色目を使う劣情の対象としてでなく、あくまでビジネスパートナーとして――『アイドルを続けて欲しい』という熱意は、モデル時代にもない、年下とも対等な関係を結ぼうとしたフェアな態度だった。

(……みなさんも、こんなプロデューサーの顔、見た事あるんでしょうかっ?)

 そんな事をふと思いながら、つらつらと靴の先ばかり見下ろしたまま、店内の床を歩いていたら。

「それでさ、悠貴。ちょっとだけ、顔上げて欲しいんだけど」

 突然、声をかけられて。

「はい、なんですかっ――っっ!!!?」

 見上げた景色に、凍ってしまった。
 棚一面に、ビニール袋のパッケージの、列、列、列。
 気付けば、辿り着いたのはどれも一つ見るだけで顔面がぼっと茹で上がること間違いなしの――ベビー用品コーナーのおむつ売り場で。

「悠貴が使ってるオネショ用おむつ、教えてくれないか?」

 表情のない声で聞かれた瞬間、限度を超えた羞恥心に頭の芯まで茹で上がり、悠貴はその日、初めて恥ずかしさに気を失いかけてしまった。

「はああっ、しっ、死ぬかと思いましたあっ……! プロデューサーさんのいじわるっ、いじわるぅっ……」
「悪かったって、最初の一回だけだから。後はもうこっちが用意しとくからさ」
「おねがいしますねっ! ああもう、まだ私、かお真っ赤っかですっ……」

 無地の段ボール3箱を抱えたプロデューサーを背後に残して、いそいそと車に向かった日は。
 乙倉悠貴にとっても、抱えてきたアイドルの資格への疑念が、溶け始めた記念日になった。

 ***

 羞恥心に慣れる事はなくても、それから活動が増えるにつれて、悠貴も自分で着替えるだけではなくプロデューサーに頼る回数も増えていった。
 自覚はなかったがどうやら悠貴を応援してくれるファンも徐々に増えているとちひろさんに言われ、忙しい日はなし崩し的に甘えるようになった。
 依存心が膨らむ事は自身にとっても負い目だったが、日々に追われ続ければ、いつしかそんな言い訳も追いつかなくなる。
 プロデューサー曰く『鮮烈なデビュー』を切った悠貴が更に飛躍を伸ばした「ふわふわもこもこメルヘンアニマル」のお仕事の頃が、今振り返れば公私共に変化の生まれた分水嶺だった。キャラの違うアイドルと交流してアイドルとしての友人や先輩も増えた事で、プロデューサーとのちぐはぐなコミュニケーションも、大分慣れるようになった。
 何より、仕事の終わりにまめに楽屋まで来て様子を見に来てくれたプロデューサーを一人占めできる――そんな、誰にも言えない密かな特権的な状況は、悠貴にとっても嬉しい事だったから。

「……最初にお話した時」
「うん」

 バンビの撮影が終わった日、悠貴は初めて自分から会話の糸口を切り、自分の気持ちを聞いて貰った。プロデューサーの返事はただの『うん』の相づちも多かったけれど、聞く姿勢を崩さずきちんと意識を向けてくれたお陰で、気持ちより先に出た言葉で後から自分を知る機会にもなった。

「私、初めて会った時。プロデューサーさんに『子どもっぽく見られる?』とか『大人びてるとか言われる』とかっ……。
 混乱させるような事言っちゃって」
「別に、違和感なかったよ。早熟ってそういう事だろう」
「でもっ、見た目だけじゃなかったんです……」
「うん」

 撮影の記念に貰ったバンビの耳を模したヘアバンドを持ちながら、答えのない言葉を繰り返す。

「大きな子なのに、なんで子どもっぽいんだって……背丈のせいで、勘違いされることも多かったんです。
 しっかりしなきゃって思ったのも、ずっとおねしょしてたからで……やっぱり、子どもっぽいですよねっ」

 物怖じする度に思い出すのは、昔の記憶。小学校上がりたての頃、毎晩おねしょをしている事がクラスメイトの男子にバレた苦い経験だった。
その時は同い年の女子が守ってくれたけれど、その頃から発育の良かった悠貴にとっては自分の成長を疑い、今日に到るまでの混乱の尾を引く羽目になった原体験になっている。
 早く大人にならなくちゃ――そう決めて飛び込んだジュニアモデルの世界で大きな挫折はなかったけれど、成功が重なるに連れ、治らないおねしょに対する罪悪感もそれ以上に重く深く悠貴の心に沈み込み、自壊寸前にまで負担になっていた。
 声をかけてくれたアイドルの世界に転身を決めたのは、その辛さから逃げる意味も多分にあったのだろう。
 そう、自分でも疑っていたから。

「……うん」

 表情を変えず終いだったのプロデューサーの口から、静かに響いた低い声に、悠貴の予感がぴったりとハマった。
 罪悪感を慰める人はいても、一人で抱えきれなかった罰してくれる人はいなかった。
 『おねしょしちゃうような悠貴は、やっぱり子どもっぽいんだ』――そんな無神経で、無配慮な宣告。
 実際に聞いてしまった時の感情と、想定していた被害は遥かに隔たりのあるものだった。

「ファンのみなさんにも、きっといつか、ごめんなさいしないとだめですねっ……。
 アイドルなのに、13才にもなって……私、まだ夜のおむつ外し、できてないんです、って……」

 涙はあふれなくて、ただ胸が熱くなるだけで。頭で考えれば「もう全てを投げ出したい」と呟いていても、心は薄皮一枚、まだ断ち切れない何かがつながり続けている。
 邪魔をしているものは何なのか、思案する間に、プロデューサーから次の句が届いた。

「そんな事からアイドルを守る為に、事務所があって、仲間がいて、プロデューサーがいる。
 悠貴の努力を壊させないし、頑張れるよう支えるのが俺の仕事だ。厳しい事も言うけどさ。
 悠貴が望む夢も負い目も、間違っていない。力になれないか、俺じゃあ――」

 『間違っていなかった』。ただ、一言。プロデューサーは一際強く、言い切った。
 魔法のようなその言葉が、酷くちぐはぐだった悠貴の中の感情と思考も、一気に一まとめに統合された。

「プロデューサーさんは頑張ってますっ! 私っ、一人じゃアイドルなんて出来なかったですからっ!
 プロデューサーさんがいてくれたから、私っ、わたしもっ……」

 冷静に自己分析して、自分の為に自分を罰した自縄自縛から解放された反動が、悠貴を感情に走らせてゆく。
 誰かの為に必死に訴えて、『あなただって間違いなんかじゃない!』と叫ぶ間に、ポロポロと泣いて――また、泣き止んだら。

「オネショ、一緒に治そうな。俺も、もっと頑張るからさ。悠貴に負けないくらい」

 そう言って、プロデューサーは笑顔を見せてくれた。

「はいっ……。私も、頑張りますっ」

 釣られて悠貴も、涙を拭いながら笑い返した。
 互いに同じ事で笑い合えば、おっかなびっくり続けてきた会話も、まるで嘘のようになめらかに滑り出していく。

「なんだか……俺ら、卯月みたいだな」
「……ふふっ、本当ですっ! 私も島村さんみたいに頑張りますっ!」
「あんまり連呼すると卯月泣くかもな、持ち芸取られたって」
「ど、どうしましょうっ!? 使用料払った方がいいですかっ?」
「使用料って……ははっ、あはははっ!」
「わ、笑わないで下さいよおっ、プロデューサーっ!」

 憂いではなく、分かり合えた喜びの涙を流した日は、悠貴にとっても宝物の記憶となった。

 ――それこそ、夢みる間に思い出すほどに。

■オネショノユウキ
 ぐずっ……鈍い音が、頭に響く。鼻をすするのを止めたら、生々しいやり取りも過去の記憶へとフェードアウトしていった。
 薄暗い部屋の中は車とは違い、いつも使ってる枕の感触から自室に戻ったのだと推測できる。
 心地の良い、夢を見ていた。

(ユメ――ああ、出会った頃の、プロデューサーさん……。あの時も、やくそく……してくれて。
 それからずっと、私、まだお世話されて……オネショのこと、今も――今も、オネショっ!?)

 だが、夢の余韻を上書きしていく、ぐっしょりとした不快感に襲われて、悠貴もまた無理矢理に起こされてしまった。
 身をよじらせ、逃げようとしても逃げられない。夢よりも残酷な悪夢を見せられる現実に、折角のいい気持ちもまた憂鬱に押し潰されそうになる。

「う、ううっ……」
「寝てていいぞ、悠貴。これ終わったら俺も寮から帰るからさ」

 薄めを明ければ、ぼんやりと見えたのは馴染みの声の主、プロデューサーの輪郭だけ。車の中でされたように、またおねしょパンツを替えられるのだと察して、悠貴はか細い声で鳴くように応えた。

「プロデューサーさぁん……。あの、わたしの……オネショ、あんまり見られると、そのっ……。あううっ……」
「ごめん、すぐ終わる。清良さんもいまいないから、オネショチェック表、代わりにつけたら俺も帰るよ」
「あ、ありがとう、ございますっ……」

 あくまでも作業だといわんばかりに、プロデューサーは無表情な応答で応える。夢で聞いた過去の『うん』の相づちの方が、余程感情豊かだった。無味乾燥な態度は、時に感情の応答を許さない厳しい態度にも受け取られてしまう。少なくともおねしょという悪癖に怯えて、臆病になっている時の悠貴にしてみれば、それは『やさしい態度』でもなんでもなかった。

(おかあさんにおむつ替えて貰えてた時は、こんな恥ずかしくなかったのにっ。
 プロデューサーさんにオネショ見られたり、おむつ替えられたりするの、どうして……いつまで経っても、慣れないんだろ……。
 いっ、今もずっと、目が覚めるほど、恥ずかしいのにっ!)

 悠貴の脚を開いて、おねしょパンツを替えやすい体勢に替えた後、プロデューサーの気配がベッドから離れた。
 恐らくは鍵付きクローゼットの奥にしまいこんだ替えのおねしょパンツを取りにいったのだろう。

(プロデューサーさんは、どんな気持ちなのかなっ。
 やっぱり……中学生にもなってオネショなんて、気持ち悪いって思ってますかっ……?)

 不安が紡いだ疑問は、睡魔のように何度かみ殺しても蘇る。
 破綻の結末にためらわなかった訳はない。それでも答えを知りたくて、悠貴は気付かれぬように上体を起こし、プロデューサーの様子を伺う。

「……」
「――っ!」

 間接照明の暖色に照らされて、はっきりは見えなかったけれど。
 彼の頬の色が違う事に気付くすぐ、悠貴は横になって寝たふりに徹した。

(プロデューサーさんも、顔真っ赤……でしたっ。
 私のおねしょで、プロデューサーさんまで恥ずかしくさせちゃったのに。
 いつも私のこと、かわいいアイドルにしてくれたのに……。
 私だけ、ずっとおねしょの、恥ずかしい子のままだって……そ、それにっ)

 ぎゅっと閉じたまぶたの裏に、自縄自縛の自責の念が沸き上がっては爆ぜていく。際限のない堂々巡りに、言動で発散も出来ず固まったままの悠貴をよそに、プロデューサーは淡々と『作業』をこなしていった。
 だが、どれだけ丁寧に扱おうと、当たられた刺激は微かでも、独特の感覚は意味を知る者も見逃しはしない。

(おっ、音! おねしょパンツ破る音、聞こえてるっ!?
 で、でもっ、替えてもらってる私が、恥ずかしいなんて言えないっ……)

 両サイドを破られる時や、大量のおねしょを吸って自重で開かれベッドに沈む時。おねしょパンツが起こす独特の響きは、濡れた肌に染みる外気の冷たさもあって、おねしょの始末をされているのだとたぬき寝入りの悠貴にはっきりと伝えていた。
 皮肉な事に丁寧な仕事であればこそ、尚更丁寧に伝わってしまう。

「ちょっとだけ、身体浮かすからな。じっとしてな」
「ひゃんっ!?」

 乱暴にすまいと、両脚の視点を片手で掴み、負担を最小限にしたおむつ替えの瞬間でさえ、例外ではない。

(お、お尻上げられてっ、私、赤ちゃんみたいに、おむつ替えされてるっ!?
 見られてる、まえも、おしりもっ!? 私のはだかっ、プロデューサーさんに全部見られてっ!?)

 プロデューサーの手はウェットティッシュ越しに太股の足回りからお尻まで丹念に拭き、まるで子犬でも可愛がるように撫で回していた。
 唇を一文字に結んで堪えるも、無意識のうちに失敗したおねしょとは違い、後始末の生々しさには思わず目尻に涙の粒が出来そうになる。
 救いは、それが手早く終わってくれた事。
 無表情だった声にも、暖かさが戻っていた。

「よし、ありがとな、悠貴。じっとしてくれたから早く済むよ」

 何よりも優しい音色が、ほんの少し前まで欲しかった筈なのに。
 悠貴の胸中に、暗い疑念が顔を出す。おねしょの情けなさに弱くなっていた心の隙間から、忍び込むように悪い思考は広がり出した。

(……そう、なんだ。私、プロデューサーさんにとって、まだ子どもなんだ。
 恥ずかしがってたのも、私がまだ、おっきな子のクセに『おねしょの治らない』子どもだから。
 それなのに、意識して……お、おむつも取れてないクセにっ、私、わたしはっ……!)

 子どもか大人か、優しいのか厳しいのか。
 一人になればまた二律背反さえ処理出来ず、絶望の涙を思い出しそうになる。

 まぶたを閉じていれば、目の前にあるものさえ見えなくなるから。

「悠貴はすごいよ、やっぱり」
「……え?」

 また、悠貴の臆病は、不意の言葉に崩された。
 プロデューサーの嬉しそうな声色は、答えを待たずに続いていく。

「――アイドルは『カワイイ』ことだけが仕事じゃない。その『カワイイ』でみんなを笑顔にさせて初めて、アイドルはアイドルになれるんだ。
 今日のライブ、あんなに大勢のファンが悠貴に笑顔をくれたのはさ。
 ステージに立つ悠貴が、誰もが憧れるくらい、可愛かったから……なんだよ、きっとさ。
 歌うことも、踊ることも、はしゃぐことも……誰かが誰かを可愛いって思う度にさ、嬉しくなって、力が沸いて、前を向きたくなる。
 悠貴の名前、叫んだ時の俺が、そうだったんだよ。俺、悠貴のプロデューサーでよかったなあって思ったんだ。だからさ……」

 木訥な訴えが、ひび割れかけた心にまた染みてゆく。
 前を向き続けている人の言葉は、悪夢なんかじゃなかったから。

「ぷ、ぷろでゅー、さあぁっ」

 涙も堪えられない子どものまま、悠貴も彼に応えようと瞳を開いた。
 新しいおねしょパンツを当てた直後の、照れくさそうなプロデューサーに伝えるために。

「……だから泣くなよ、悠貴。まあ泣き顔も可愛いけどさ。
 ほんと悠貴はどんな顔も可愛いよな! かわいいかわいいっ! あははっ」
「だってっ、だってえぇっ……。ぷろでゅーさーさんがっ、うれしいからぁっ……。
 ごめんなひゃいっ、おねしょっ子で、おねしょアイドルでぇっ!」

 おねしょでおむつを替えられたばかりなのに、おねしょの事を謝るしか出来ない自分がもどかしいのに。
 悠貴なりにプロデューサーの顔を見て、彼の気持ちに応えようと何度も同じ言葉を繰り返した。
 両手を挙げて、他でもないあなたなんだって、そう訴えるように。

「……いいよ、しちゃいな。疲れた時くらい甘えていいんだからさ。
 悠貴はちゃんと前に進んでる。信じた道も間違いじゃない。
 しんどさ辛さは俺も背負ってやる。俺は悠貴のプロデューサーなんだから」
「そんなこと、言われたらっ……あうぅっ」

 伸ばした手を優しく握り替えされた瞬間、触れた指先から電流が走った。想いの昂ぶりは肩を通って脊髄から臀部、下腹の奥、生理的欲求の源泉に迸り、恋する鼓動と拍を合わせ、きゅんきゅんと切なく疼き始めてゆく。
 いけない――とお腹に力を入れた瞬間。残っていた雫が尿道を潜り、当てられたばかりのおねしょパンツにじわりと染みた。夢の中でさえ自覚なきおねしょの解放感は身体だけが覚えていたのか、しぶきのおもらしが漏れた瞬間、反射的に腰はぶるりと放尿の快楽に震えてしまった。
 このままじゃいけないと、首を振って拒絶する。プロデューサーが優しいから、近づかれるとどんどん胸が苦しくなる。そうなったら――。

「困りますよっ、お、おねしょっ、おねしょしちゃう度にっ……。あっ、あぁ……ふあぁっ!」
「する度に?」

 互いのノリで掛け合った時のように、プロデューサーの顔はまた気易い雰囲気を帯びた悪戯っぽい笑顔に変わっていた。それさえも嬉しくて、胸の鼓動がまたお腹からおしっこの穴にかけて疼き続けた、『気持ちよくなりたい』だけの欲望を際限なく煽ってゆく。
 悠貴が一晩で出せるおしっこの量はおねしょパンツ2枚とパッド3枚分だ。だから、まだ残っている水分が、プロデューサーを求める気持ちの勢いのままに溢れ出そうとしていた。堰き止められた思いは、留めるだけでも辛すぎて。

「嬉しくなるの、ん、ぅっ……困ります……。あぅ……止まんないのにっ、止めなきゃダメなのにっ……。
 あうぅっ……プロデューサーさんに応援されたこと、思い出しちゃうからあっ……!」

 最後の一押しは、ただ無言で見つめられただけ。
 優しく微笑むプロデューサーに見られながら、悠貴は穿かされたばかりのおねしょパンツに、お目覚めおねしょ――おもらしを放ち続けた。シャワーみたいに噴出した熱い絞りたておしっこはパンツの中で渦巻いてお尻の吸収帯へとじくじくと蔓延し、生温い水溜まりを生み出してゆく。短い尿道を一気に下る激流に悦ぶ身体も、子どもみたいな恥ずかしいおもらしを優しく受けとめてもらえる信頼感も、全てが悠貴を蕩けさせてしまう。

「……そっか。それは困ったなあ。俺、正直に言ったらまずかった?」
「ダメです、よおっ……みんなの前では、言っちゃダメなんですからっ。
 また……プロデューサーの言葉で、おもらししちゃったら、恥ずかしいですっ……」

 困ったような口調もプロデューサーもかわいくて、蕩々に蕩けた悠貴の中にも、今までにないほど強い甘えたがりな気持ちも芽生え始めていた。。
 おねしょでなら、甘えられるかも知れない――そんな期待も、恥ずかしそうに言葉を詰まらせたプロデューサーを前にして、確信に変わってゆく。

「……そっか、そっか」
「えへへっ、私っ、ほんとに恥ずかしいんですからっ……。んっ、ふぅぅんっ……」

 もう大丈夫、そう信じて。
 悠貴はお腹に残った最後のおしっこを、ぎゅっと目をつぶりながら、おねしょパンツに全て吐き出し終えた。
 意識して行ったおもらしは人生初めてかも知れない。
 試すような行為は少し怖くて、『しちゃった』あと、プロデューサーを恐る恐る確かめてみれば。

「……そ、それじゃあ、改めて。替えのおむつ、取ってくるからっ」

 思った通り、恥ずかしそうに背を向けたから、悠貴にもまた、満開の桜みたいな笑顔が戻っていった。
 この人なら大丈夫、そう思えたなら、怖くないから。

「はいっ! これからも……まだまだ、おねしょも、しちゃうけどっ。
 でも、カワイイアイドル目指してがんばるのでっ!
 これからも、よろしくおねがいしますねっ。プロデューサーさんっ!」

 ベッドから立ち上がり、おねしょパンツで堂々と宣言。
 また新しい季節が、乙倉悠貴の中で、始まろうとしていた。
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