FC2ブログ
Entry
Archive
Category
Link
RSS Feed
Profile

伏屋のづ

Author:伏屋のづ
Mail:nuderiff@gmail.com

書き殴った【おむつ・おもらしフェチ】系妄想置いてます
だいたい月一でもえないごみがふえるよ
文章も構成も壊滅的なんで重箱の隅突きなど歓迎中
萌えについて模索中なので作風も質もブレまくるよ

2016/01
>あいかわらずにほんご書けてねえ
>よかったら好きなシチュ語ってもらえるとうれしいです
@ごみばこ

Access Counter
Mailform
リクエスト参考にします
(書けたら書くかも)

名前:
メール:
件名:
本文:

Comment
TrackBack

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

trash #027

 されるよりもしたいこと

 気心の知れた相手に聞かせた本音や愚痴は、往々にして語った本人ほど覚えていない。二人きりの放課後、二人だけの文芸同好会部室。密やかな逢瀬の場は時折思いもよらぬ展開に流れてゆく。
『人よりスローペースなせいで同世代からも姉キャラ扱いされて疲れてしまう。わたしだって本当はちっちゃな子みたいに甘えたいのに……』
 センパイがそう言ったから、と言われても記憶も曖昧な紗千をよそに、記憶力の良い後輩は既に外堀を埋め終えていた。
「冗談だよ……ね、凛心ちゃん? ハロウィンも終わってるし、わたしにそれはちょっと……」
「えーっ? だってセンパイ言ってましたよね! ホントは甘えられるより甘えたかったって!」
「そ、そんなことっ!? い、言ったかも、知れない、けどっ……で、でもっ、ちっちゃな声で話して……」
 凛心の声はよく通るから、旧校舎の薄い板張りにも響き渡る。そうでなくても明瞭快活な元陸上部エースの美少女の押しは強くて、ずっと本の虫だったインドア少女の紗千では抗弁一つ挟めずにいる。そうでなくとも目の前に広げられた『センパイが甘えるための用意』は、紗千を萎縮させるには十分過ぎていた。
 大人用サイズなのに柄は明らかに幼児向けなかわいらしい紙おむつ。よだれかけ、ほ乳瓶、そして上下つなぎのウサギ柄のロンパース。
 全てが紗千のためだけに用意された『幼児プレイ』用アイテムは、丸文字で『さち』と名前までプリントされている徹底ぶりだ。いくら気持ちは幼いとはいえ、年下のカノジョに赤ん坊にされる自分の姿なんて、一瞬の想像さえ顔から火が噴く羽目になる。両手を顔にあててイヤイヤと首を振る素振りなんてするから幼いのだと、分かっても習い性は未だに治る気配さえ見あたらない。
 ただ恥ずかしくてイヤなだけ――なのに。
「センパイってほんとシャイですよねっ、恥ずかしがり屋さん、すっごく可愛いですっ!」
「あっ、ありがと、ございます……」
 自分より背丈の低い後輩に怯えて丸くなった背を撫でられ、優しく誉められると、それだけで無性に嬉しくなってしまう。自分の幼さを揶揄されるような羞恥心より大好きなカノジョから受ける触れ合いの方が勝る現金な気質は、紗千をいつも無抵抗主義者に変えてしまっていた。
 強気に迫る凛心の勢いには逆らえず、千紗も板張りの床に押し倒され、するすると服を脱がされてゆく。
「ほらほらっ、センパイにゼッタイよく似合いますって! 早速着ちゃいましょっ。ねっ、ねっ?」
「や、こんなの、恥ずかしすぎるっ……。おねがい、凛心ちゃっ、わ、わたしっ、こんなの無くても甘えられるからっ」
「だーめですっ、センパイ素直じゃないですからっ、やっぱり最初は形から! 小道具大事ですからねっ!」
「やっ、やりゃっ、やなのおっ……! あ、あかっ、赤ちゃ、んはっ……やだあ……」
 幼女装への忌避感から、紗千も頭では必死に抵抗しようとした。だが、目前にこぶりで慎ましやかな胸や艶やかな唇が迫るほどの強烈な密着に、声も情けなくどもり、愛しい人に触れられる喜びで、体中ふにゃふにゃになってしまう。愛しのカノジョに蹂躙される歪んだスリルに、ドキドキで頭の芯まで沸騰寸前だ。
 その上、えっちの時でもないのに、下着にまで手をかけられてしまったら――
「やっ、やめっ、は、恥ずかしいぃっ……」
「もー、センパイのハダカ何度も見てきたじゃないですかっ。お風呂もえっちもいっぱい経験してきたのに、いつまで経っても初心なんですからー。ほーら、ぱんちゅもぬぎぬぎしましょうねえ」
「だっ、だってぇっ!? お、おみゅっ、おむつは、はっ、はじめてだからぁっ!?」
「じゃあ、ドキドキの初体験ですねっ! んふふっ……そうですよねえ、センパイが読んでる本にもこんなシーンないですよねえ」
「あ、あるわけ、ないぃ……っ」
 朗らかに笑う凛心の顔もいつしか輪郭がぼやけてしまうほど、紗千の瞳も熱い滴で潤んでゆく。地味で根暗な図書館の主でも、無邪気に明るくかわいらしい凛心の前では、ちゃんとした年上で先輩で、頼れる人間でありたい――そう思ってきたのに、言ったかどうかもあやふやな失言のせいで、こともあろうに、後輩の赤ちゃんにされてしまうなんて。
 矜持を自ら投げ捨てることも出来ず、紗千も弱々しくも必死にぱたぱた足を上げ、太股をすり合わせて必死に乙女の聖域への侵襲を拒もうとする。
 だが、凛心はいつだって、紗千の拙い言動の一枚も二枚も上手を行く子だ。
「センパイのふともも、もっちもちで気持ちいいですよねー。もみゅもみゅって指が沈んでく感じがして」
「ひゃうっ!? だ、だめっ、もみゅもみゅしちゃダメなのおっ!? ひ、あ、あ、ふぁあっ!」
 いつもスカートの下に隠してきた紗千の密やかな弱点も、とっくの昔にリサーチ済みだった。歩く度に左右に揺れた人よりおっきなお尻も、意地悪な男子に『誘ってる』だなんて笑われてきたけれど、それ以上に女の子として恥ずかしいだらしのない肉が、そのおっきなお尻を支えるふとももでたぷんたぷんと波打っている。
 そのはちきれそうなましゅまろクッションを、繊細な5本の指使いが思うがままに蹂躙してゆく。つまみ、沈み、揉みしだかれ、ふわふわの肉のこぼれたモモの付け根、鼠径部からお腹の奥、女の子の気持ちがきゅんって感じる心の奥まで、痛気持ちよさに貫かれてしまう。
「はっ、はあっ、っ……。りこ、ちゃあんっ、り、いひゃっ、ひんっ!?」
「おきゃくさーん、凝ってますねえ? 念入りにまっさーじしましょうねー」
「ひ、ひはらっ……ひ、ひぃあっ!? あ、あっ、ひぃいいっ」
 与えられるがままの強烈な刺激に、身体は反射的にビクンと跳ねる。宙でだだをこねていた両脚も、指先までぴんっと一筋、弓なりに稜線を描く有様となる。逆らう力も一握の砂のように隙間から零れ、乙女の股座もゆるゆるとはしたなく開脚され、姫飾りが茂る三叉路さえ凛心に晒してしまった。
「ひっ、ひどいよおっ、リコちゃあんっ……」
「はいはぁい、さっちゃんもいい子でちゅから、おとなしくおむちゅあてられちゃいまちょうねー」
 凛心に主導権は握られていたけれど、貝合わせの経験なら何度もあった。だが、ただのえっちとは違う尋常ならざる羞恥は、愛される歓びに浸り子犬のようにしっぽを振り続けてきた紗千も知らなかった世界の扉を開こうとしている。
「ほらっ、このオムツすっごくカワイイんですよ! 赤ちゃんと同じデザインの、センパイにゼッタイ似合うと思って用意しましたからっ!」
「い、ひやあぁらぁあっ……!」
 大げさにいやいやと首を横に振ってはみても、興奮は紗千の理性なんてとっくに吹き飛ばしている。年下同性の王子様に弄ばれる背徳感に痛いほど心臓は高鳴っているのに、耳元では蝶よ花よと蕩けるような愛の言葉を囁かれ、頭の中は愛される幸福でどろっどろに蕩けていた。無茶や無理、それこそヘンタイそのものな愛のカタチも、惚れた弱味につけ込まれては、ズルズルと深みに堕ちるばかりだ。
「ね、にぇえ、やめほ、リコちゃ。え、えっひなりゃ、わ、わらひっ、ひれあげりゅかりゃあぁ」
「えー? センパイって、赤ちゃんになっちゃうのがえっちなんですかー? もー、センパイもヘンタイですねー!」
「ひ、ひがうぅ! あかちゃ、えっひじゃにゃいぃ!?」
 おっぱいだっておっきなお姉ちゃんのクセに、オムツの取れないような赤ん坊にされちゃうは単に恥ずかしいだけ――なのに凜心のイジワルが、思いもよらぬイメージが紗千の桃色脳髄を一色に塗り潰してしまった。
 反射的に浮かんだイメージは、ベビーベッドの上でお漏らしでぐずぐずに汚れた紙オムツを飼えて欲しいと自分からオムツ替えのポーズをとった自分の姿。それも赤ん坊のような無垢な姿ではなく、頬は赤く、瞳は潤み、吐息は興奮した犬のように熱く、凜心に甘える事しか頭に無い、どうしようもないヘンタイ赤ちゃん。
 鮮やかなヘンタイ模様の自業自得のせいで、頭頂部まで一気にボッと恥辱の熱が沸きたつ。耳たぶにまで湯気を立ててしまっては、回らぬ舌をコントロールするだけの落ち着きなど残りようもない。
「え、えっひなあかちゃんやらあぁっ!? わ、わらひっ、リコちゃんのセンパイなのにっ!?」
「だから、今からはセンパイは姉キャラ卒業! これからセンパイは妹キャラのさっちゃんです! ほら、センパイって恥ずかしがり屋で臆病で、それっておむつのお似合いな赤ちゃんそっくりじゃないですか!」
「あかちゃ、っや、やああっ!?」
「んっふっふー。イヤよイヤよ、ですよ! カワイイおむつ穿いちゃったら、さっちゃんもそんなワガママも言えなりますから!」
「お、おむつまで……ねっ、やめよ? そんなの、やあぁっ……」
 愉悦と羞恥の感情のジェットコースターの往復に振り回されている最中でも、含み笑うワタシの王子さまの顔も素敵だなんて思う夢見がちな紗千の現実は、実際の所、凜心のお人形でしかなかった。
 解剖台に乗せられたカエルみたく、だらしなく大股を開いた今の紗千の表情は、脳内麻薬ダダ漏れの喜悦に飲まれた痴態の体を晒している。ひくひくと震えた口元から、つぅ……っとこぼれた涎の滴は、目尻の涙と共に、首筋に流れ落ちてゆく。絶望一歩手前まで歪んでしまったのは、網膜に焼き付いた愛らしいウサギのキャラが描かれた幼稚趣味の紙おむつを当てられている自分を、否が応でも自覚させられたせいにほかならない。恥じらいの熱で赤みがかった尻たぶを撫でられ、ギャザーが足まわりの上でさわさわと踊り、密着してゆく不織布の感触に、紗千の年長者としての矜持が怒濤に雪崩て瓦解してゆく。
「はいっ、かんせー! そんじゃ、おむつの後は、ロンパースに、よだれかけ、おててにミトン、あとはおしゃぶり、っと……」
「あ、あうぅうっ……」
 歌うような軽やかな手つきで人形遊びに興じるカノジョの指先が肌をなぞる度に、紗千の喉から喃語じみた情けない喘ぎが漏れてゆく。幼児の口調から更に退行して言葉も忘れた赤ん坊になってしまう自分自身を恥じるも、姿カタチから言えば、むしろ相応しすぎる仕草だった。
 おむつのせいで膨らんだお尻は、ロンパースで隠しても不格好にふくらんでしまった。
 せっかくかけて貰ったよだれかけも、猿ぐつわのように結ばれた穴あきおしゃぶりのせいで、すぐに口の周りまでべとべとになってしまった。
 顔を隠したロングストレートも赤いシュシュで幼稚なツインテールに結ばれた。
 そうして最後に、凛心に差し出された手鏡に映っていたのは。
「はい、これで赤ちゃんさっちゃんの完成です! いっぱい、甘えんぼしていいんですよっ!」
「ひあ、あぶぅっ……えぅ、えうぅっ……」
 授乳スタイルのような体勢で、年下のカノジョの胸に抱かれ、赤ん坊になった紗千自身の姿。
「しっかし……ほんっと、カワイイです、センパイ……。やっぱりセンパイ、赤ちゃんの素質あったんですよねえ。これからは、わたしがいっぱい甘やかせてあげますよ! ふふっ、んふふっ……!」
「あぶ、あうぅ、んぐぅぅ……」
 幼児服とは名ばかりの拘束着は、紗千から全ての自由を奪ってしまった。最早赤ん坊のように、衣食住、排泄さえも手助けして貰わなければ生きていけないか弱い存在に成り果てた以上、身体を抱いてくれている庇護者の顔を弱々しく見上げ、全てを乞う事しか出来ずにいる。
 例え、紗千を抱く凜心の瞳が、更なるイタズラ心に燃えて輝いていても。
 臆病に縮こまる紗千に、選択肢はなどある訳がない。
 そもそも、自分のカノジョがヘンタイだったって、気づいた時にはもう手遅れだった。

 夕暮れ差し込む旧校舎にも球技系部活のかけ声が遠く聞こえてくる。世界は当たり前のように日常なのに、隔絶された二人の世界は異常に満ちて、囚われたままの紗千の頬も、夕焼けよりも紅い羞恥に染まっていた。
「ほぉら、さっちゃんのすきすきなぱいぱいでちゅよおっ。いっぱいちゅっちゅちまちょうねぇ」
「ぷはっ! お、おっぱいなんかいらな――んぐっ!? むぐぅぅ……」
 年上で背は高くても、万年文化部の紗千では元運動部とはいえ常にレギュラーだった凛心の体力にはかなわない。母親が新生児にするように、凛心の胸に抱かれた千紗に待っていたのは、哺乳瓶による授乳だった。
 すっかり人肌より冷たくなったミルクは、牛乳より甘ったるくて独特の風味が鼻を突く。ボールギャグのようなおしゃぶりのせいで、止まらなくなった自分の涎で溺れかけていたというのに、押さえつけられていた舌も自由になる間もなく、柔らかなゴムの乳首に圧迫された口からこぽこぽと雫が溢れてしまう。
「うふふっ、さっちゃん、ぱいぱいがおくちからこぼれてまちゅよー? よだれかけしててよかったでちゅねえ、おくちがミルクまみれでしゅよー」
「えぷっ、けぷっ……。だ、だってっ、哺乳瓶なんかで飲んだこと、おっ、覚えてなひっ……んくっ」
「大丈夫でちゅよ? さっちゃんもこれから、ゆっくりぱいぱいちゅっちゅ覚えていけばいいんでちゅから。ねー、セ・ン・パ・イ?」
「お、覚えない……」
 凜心といえばミルクのように甘ったるい赤ちゃん言葉を繰り返したかと思えば、不意打ちのようにいつも通り紗千へのセンパイ扱いを繰り返していた。理性とプライドにしがみついて真面目な少女の自意識に固執することも認めなければ赤ん坊になりきって現実逃避することも許してはくれないダブルバインドを強いられては、紗千の胸にも甘えどころか、より一層の抵抗感ばかり増長させてゆくばかりだ。
「こ、こんなんじゃ、甘えられないから……もうやめよ? ね? 凜心ちゃん、もう充分だよ」
「うーん、まだまだだと思うんですよねえ、センパイももうちょっと赤ちゃんの気持ちになったらわかると思うんですけど」
「赤ちゃんの、気持ちって……わからないよ、そんなの」
 一応真剣に悩んでくれているらしく、紗千を抱く凜心の顔も何時にもなく真面目そうだ。だが、自分の愛しいカノジョにそんな心配をかけてしまっていたのだと、申し訳なさから思わず、抵抗の手を弱めたのがマズかった。
「センパイが教えてくれたんじゃないですか。気持ちは変えられなくても、行動は変えられるって」
 伏し目の紗千の顔に手を添え、自分の笑顔を眺めさせた凜心の目は、更なる好奇心に輝いていたのだから。

 ***

 生徒や教師が行き交う昼には喧噪に溢れた長い廊下も、人気の消えた放課後にはしんと張りつめた静けさに満ちていた。無音の空間では四つ脚を着いて這う擦り音さえ、はるかに続く長い道の奥へと吸い込まれてゆく。いつもより低い視線では前を歩く凛心の膝丈より上さえ望めない。顔色を伺う事もできず、怯えきった依存心に流されるままに、紗千もカノジョの後を追い続けていた。
「学校って、進級したら昔の教室とか廊下とか行かなくなっちゃいますよねー。センパイも懐かしいでしょ? まあ私たち下級生は歩いて渡るんですけどね。センパイみたいな赤ちゃんのハイハイじゃなくて」
「や、やあぁっ……わたし、赤ちゃんじゃないぃ……っ」
 幼稚なデザインの紙おむつ――ウサギのキャラ柄の幼児用――を、何枚も執拗に重ね当てられた紗千の股から腰のフォルムは、細身の少女には不釣り合いなほど不格好に膨らんでおり、自由の利かない脚を僅かに動かすだけでも、柔らかな不敷布の肌触りは股の中でぎゅっと密着し、かさかさと鳴る擦り音と共に、堅い枷と化して紗千の羞恥心に強烈に主張する。
 ――いま『オムツ』を穿いていること。それも赤ちゃんと同じモノを。
 強制的に自覚させられた幼女装に、長い前髪で紅い頬や潤んだ瞳を隠すようにうつむく紗千に、凛心はあけすけな態度で煽り続けている。
「行動はもうどこからどう見ても赤ちゃんですよー? 半泣きでグズりながら、おっきなお尻アヒルみたいにふりふり揺らして。カワイイおむつ穿けたんだよって、自慢げに見せびらかしてるみたいですね!」
 それは庇護者に縋らねば生きてゆけぬ赤子には残酷な突き放しだった。甘えられるようになるどころか、一番身近な存在のはずのカノジョはオムツ幼女となり果てた紗千を、まるで着せかえ人形か玩具のようにぞんざいに扱っている。立つことさえ一人では無力な紗千には、与えられた理不尽から逃れる手段はない。逃れるためには更なる依存心に縋るだけだ。
「いらないっ、こんなのなくていいのっ!? わ、わかったでしょ? わたし、もう甘えんぼだからっ、もうやめよっ、ねっ、リコちゃんっ? こんなの、しちゃダメだよ……」
「いいですよ、廊下をちゃんと渡りきったらね。た・だ・しっ」
 振り返った凛心が、今にも脚に掴もうとした紗千の目線の高さまで顔を下ろす。降りてきた蜘蛛の糸を、今の紗千には疑う理性などなかった。

 何度イヤだと訴えても赤ん坊にされたことを揶揄してきた凛心に抱かれた瞬間、思わず嬉しさに目を細め、紗千も我を忘れてしまった。
 夢から覚めた瞬間、悪夢が待っているとも知らずに。
 気づけばそこは静けさや孤独で隔絶された旧校舎ではなく、校庭に近い新校舎。制服を置いた部室は3階の高さにかかる渡り廊下の向こうにまで遠く離れてしまっている。新校舎は人の出入りの少ない旧校舎と異なり、部活を終えた生徒の出入りも珍しくない。気配や不安という見えない脅威よりも肉薄する現実の存在に、紗千の顔から一気に血の気が引いてゆく。
「やめてよっ、リコちゃん、元の部屋に帰してよおっ! こんなとこ、誰かに見られちゃやだっ、いやだからあっ!」
「あらあら、すっかり甘えんぼさんになっちゃいましたねえ、センパイ。足だって動かせるし、自分でちゃんとお部屋に戻れまちゅよねえ?」
「でもっ、でもおっ! 立てないっ、立てないのっ!? リコちゃんに当てられたおむつ、もこもこでっ……立とうとしても、あ、足のバランス、とれないのにっ……」
 じたばたと足を泳がせても、おむつの枷で縛られた脚は悲しい程にその場に縛られている。甘い触れ合いから一気に怖気の走る現実に堕とされ、恐慌状態に陥った紗千も普段の落ち着きを失いパニックを晒してしまう。
「あらあら。甘えんぼの次は泣き虫さんなんて、やっぱセンパイって赤ちゃん返りの素質あったんですね!」
「ち、ちがっ……! そっ、そんなこと、わたし……!?」
「一人でお洋服も脱げない、たっちも出来ない、そんな赤ちゃんだってハイハイくらい出来ますよねー? ゴールはもう目の前なのに、一人で帰る事もできないんじゃそれこそ赤ちゃん以下ですよねーっ」
 無邪気に笑う凛心は、今度は紗千に振り向くことはなかった。渡り廊下を悠々と、一人うずくまる紗千を放置し背を向けて渡りきってゆく。
「赤ちゃんじゃ、ないぃ……まってっ、おいてかないでっ、一人はやだっ、行かないでよリコちゃんっ!?」
「心配しなくても廊下の向こう側で待ってますよ。ほら、センパイ、上手にハイハイちまちょうねー。がんばれっ、がんばれっ」
 廊下の向こうで手を広げて『おいで』のジェスチャーを見せる凛心に、紗千の胸でみじめな自尊心が縋らずにはいられないと喚き出す。
「やだ……おっきな声、やめて……。するっ、するからっ、ハイハイするからぁっ……」
 凛心の胸に甘えたせいでとうに力も抜けきって、現実に対峙し恥辱に震える脚では、ただ赤ん坊のように這おうとだけでも2、3歩で息切れしてしまう。今すぐにでも逃げなければ密かに守ってきた二人だけの秘密や、それを支えてきた日常さえ崩れてしまうのに、動けない身体はまるで本当の赤ん坊になってしまったかのようで、足掻けどもその必死さで更に脚がもつれてゆく。鼻を鳴らし、目を涙に赤らめ、母を求める本能のままに迷いなく渡り廊下をハイハイで渡る紗千は、幼児よりも幼稚なおむつ幼女としての振る舞いを、意図せずして果たしてしまっていた。
 散々に嫌がっておきながら情けないプライドのためには現金さを見せた紗千に、凛心は尚も意地悪く笑う。
「ただハイハイするだけじゃダメですからね! おむつにおもらしせずにですよ? 赤ちゃんじゃないんだから」
「あたりまえじゃないっ!? お、おもらしなんてするわけ……」
 一直線に渡りきろうとお尻を振りながらハイハイを繰り返していた紗千の集中を幼女装を思い出させる揶揄が軽々と散らしてしまう。逸れた意識
のその合間に、感じたのは下腹からこみ上げるひくりとした衝動。下半身に力を入れても寄せる波は怒濤の勢いで堰に迫り、乙女の姫戸に繋がる水路へと今にも流れ出そうと暴走している。額にこぼれた汗を拭うよりも、両脚に挟まれたおむつの上から抑えつけずにはいられない。だがハイハイのバランスも崩せず、切羽詰まった牛歩も渡り廊下の半ばに至る直前で止まってしまった。
「あれー? センパイ、どうしちゃいまちたかー? ひょっとしてちっち、ガマンできなくなっちゃいまちたかー?」
「が……ガマン、できるっ……お、おひっこなんてっ!? しないっ、しないからぁ……!」
 顔を上げ、気丈に振る舞って見せるも、膀胱は既に限界だった。堪えきれなかったおしっこが、我慢の隙間からじゅっ、じょっ、とはしたない音を上げ、飛沫となっておむつにシミを描いてゆく。10年も前に卒業したはずのおもらしの痴態を、幼稚園児よりも幼い赤ん坊の穿くおむつの中に垂れ流す最悪の結末が脳裏に過ぎり、臆病が再び紗千の心から前進の気力を奪い尽くしてゆく。
「おもらししちゃっても大丈夫ですよー。センパイに当ててあげたオムツが、全部受け止めてくれますから! 赤ちゃんはおむつにおもらしするのがお仕事ですからね、いっぱいちーってしちゃえばいいですよ」
「しゅ、しゅるわけっ……ひっ、くひっ!? いぃいいっ……」
 前に進もう、早く解放されたい――頭の中で反復する願いに反し、止まらない生理欲求を抑え込むのに必死な身体は、くの字に折って全身でおしっこの穴を塞ぐことしか出来ずにいる。
 止まってしまった紗千には、自分の身体さえ逃げ場足り得ない。ずっと流され続けた紗千の未来を見透かしたように、凛心が高らかに勝ち誇る。
「あらら、センパイのあんよ止まっちゃいまちたねー。あーあ、あんまり遅いと大変なことになるかなあ。そろそろ見回りの先生も来る頃ですよね、それで一騒ぎになったら下にいる部活の生徒も野次馬に来ます。赤ちゃんコスプレしてるセンパイが、おむつにおもらししちゃってること、みんなに見られたら……」
 頭上から降りそそいだ絶望の天啓に、すでにおむつに何度もシミを残した紗千があられもなく泣き叫ぶ。
「そ、そんなっ!? たっ、助けりぇっ、リコちゃ、た、助けてよっ、元のところに戻してぇっ!?」
「あ、でも姉キャラ卒業したいセンパイにはちょうどいいのか! よかったですねセンパイ、これでもうセンパイのこと年上扱いする人もいなくなりますよ! 同い年扱いもされなさそうですけどねっ」
「ひっ!? いや、やだやだやだっ! バレるの、やだあぁっ……!」
 その絶叫の度に、ロンパースの中に隠された紙おむつが黄色く重たく、ぐずぐずに濡れて、恥ずかしいおしっこお知らせサインを浮かべてゆく。
お尻に広がっていく濡れた感触が怖くなって、おもらしの恐怖で尿意は加速度的に強さを増しているのに、身動き取れない紗千の元へと旧校舎に渡ったはずの凛心が近づいてくる。何をされるかわからないと、恐怖でまたおむつに滴をこぼしてしまうのに。
「だから、ハイハイすればいいじゃないですか。お手伝いしましょうか? お尻押してあげますよー」
「だっ、だめっ!? さわっちゃやっ、あっあ、ひああっ!?」
 腰を包む紙おむつが、柔らかく形を歪めただけの優しい手触り。そんな凛心の僅かな刺激さえ、今の紗千のお腹の中にある、コップの縁まで張った表面張力ギリギリの器を溢れさせるには十分すぎた。
 年下の後輩ににやにやと見下ろされながら、涙で汚れた顔で見上げて、喉をならしてしゃっくり混じりに泣くのは、情けなさよりも助けてほしいと願う赤ん坊らしい依存心故の態度だ。だが、底意地の悪い庇護者は救いなど与えてくれる訳もない。
「ひょっとして……センパイ、おもらししちゃいました? おむつチェックしましょうか?」
「し、しなくていいぃっ!? でもダメっ、さわっちゃやっ、もどしてっ、もどしてよおっ!」
「さわっちゃダメなら戻せませんよ? あははっ、頭の中身まで赤ちゃんレベルになっちゃいまちたかぁ?」
 さわさわと優しく撫でられるのは嬉しいはずなのに、嬉しさの波でゆるんだおまたからおもらしは水鉄砲のように引き金を引かれて爆ぜてゆく。意地悪を受けた恥辱に吠えようとしても、喉から絞り出せたのは、ずっと昔に置き忘れてきた生の感情の表出の音色。
「えっ、えぐっ、あひんっ……。あぁ゛っ、うぁぁ゛ぁんっ……!」
 ――甘えずにはいられないと、一心に乞い求める赤子の甘え。
 その醜態を眺め続けていた、さわやかな笑みに嗜虐と愉悦の入り交じる母役の少女の瞳に、冷徹な色が宿った。
「情けない声上げちゃって……ほんとセンパイってカワイイですよね。そんなにカワイイのに、涎と涙で顔中ぐしょぐしょにして、尻餅着いた情けない顔でグズっちゃって……。そんなに苦しいなら、いっそもう、楽になっちゃえばいいんですよ。疲れるって自虐自慢しても、しがみついて離そうとしなかった姉キャラも――」
 おむつを当てられた時のような力尽くではない、うずくまる紗千の全身が凛心の腕のやさしい抱擁に包まれる。
「ひっ……り、リコちゃ――」
 久方振りの密着に、涙に歪んでいた紗千の口元にも、反射的ににへらとだらしない笑みがこぼれる。
 目を合わせて、同じようにやさしく、母のように笑った凛心は。
「こうして、ねっ!」
 抱きしめた腕に、力を入れた。
「あひぃぃっ!?」
 万力のような愛で、全てが壊れた。
 ……大粒の涙が頬にこぼれるのと、紗千のロンパースの下腹部から、勢いよくせせらぎの音が聞こえたのはほぼ同時だった。がたがたと揺れた肩に比べ、女の子座りになった太股は、ふるふると小さく震えていた。天を仰ぎ、よろこびと絶望の入り交じる表情の張り付いた紗千の身体から、我慢の果てのおもらしの大濁流が、おむついっぱいに洪水となって広がっていった。
「……ふぇっ、うぇえっ。りこ、ちゃあぁ……えぐっ、う、うぁあぁ゛あぁ……!」
 ――赤ん坊になってしまった。我慢できずにおもらしでおむつを汚し、大好きだったカノジョの胸に顔を埋めて泣いてしまった。
 過去の自分のアイデンティティを自ら裏切る大罪に、紗千の自我は膀胱のように崩れ果ててしまう。自分を追いつめたカノジョに、しがみつかずにはいられないほど。
「あははっ、しちゃいまちたねえ、おもらち! センパイ、とうとう赤ちゃんのかっこで赤ちゃんみたいにおむつにおもらししちゃったんですよお? あーあ、これで約束はセンパイの負けですねー!」
 意地悪や理不尽、そんなことを忘れたみたいに元の無邪気な元気娘に戻る凛心に、紗千はもう、同じように愛し愛される事は出来なかった。それは、自ら凛心の胸に顔を埋めていた理由と同じ。
 答えのでていた自分の顔を見られたくなかったから。
「いやっ、いやだあっ……! リコちゃんのあかちゃんになんて、なりたくない、あかちゃんなるの、やだあぁっ! うあああああんっ……!」
「うふふっ、ご心配なく。もう立派に赤ちゃんですよ、おもらしさっちゃん。ほら、お姉ちゃんが抱っこして教室つれてってあげまちゅよお。おもらちおむちゅ替えてあげまちゅからねえ、赤ちゃんセンパイっ」
 濡れたお尻をぐっと両手で捕まれ、抱えられたセンパイは後輩のおっぱいを吸いたがるように口をちゅぱちゅぱとすぼめ、泣き声をあげた。
「ひぐっ、ふぇえっ、びぇええんっ……!」
 再び得た無条件の愛を一身に受けられる赤ん坊の生を謳歌するように。
スポンサーサイト
[PR]

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。