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伏屋のづ

Author:伏屋のづ
Mail:nuderiff@gmail.com

書き殴った【おむつ・おもらしフェチ】系妄想置いてます
だいたい月一でもえないごみがふえるよ
文章も構成も壊滅的なんで重箱の隅突きなど歓迎中
萌えについて模索中なので作風も質もブレまくるよ

2016/01
>あいかわらずにほんご書けてねえ
>よかったら好きなシチュ語ってもらえるとうれしいです
@ごみばこ

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(書けたら書くかも)

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リハビリその6


 寝すぎた朝は、いつも頭が痛くなった。
 二日酔いみたいだ。経験ないけど。

「ああ……。くっそ、いって……」

 枕もとの時計は10時すぎを指していた。まだ眠い。寝すぎると余計眠たい。動きたくなかった。けど、おしっこがしたくてたまらない。別にベッドの中でしちゃっても良かったけど、今朝は量が多かったから、しかたなくベッドを出た。

(ねむい……おわったらベッドもどろ……)

 タオルケットからごそごそと這い出て、ゆっくり床に転がり落ちた。床がつめたくて気持ちよかった。布団にいたときはきもちわるかったから。よろよろと立ち上がると、スウェットのパンツの中が、重たくなっててウザかった。ぬれたか感じがおしりにべったりしてて気分下がる。もうめんどくさいから腰のひもゆるめて、歩きながらスウェットずるずる引きずりながら脱いで部屋をでた。どうせ見られてもいいし。

「げ、ねーちゃんまたしちゃったの? いい加減ションベン臭いから近寄らないでよ」
「近づかなけりゃいい……どけ、じゃま」
「そんなんだから家から出たらぼっちなんでしょ。もう学校行かないで保育園から――」

 風呂場に行くあいだにはちあわせた妹が今日もウザい。一々鼻つまんでアホみたいに笑って、何がウケんだか。わかんないからシカトした。だいたい朝は低血圧だし、はいてた紙おむつのせいで歩くのもめんどくさい。あたしはいちど寝たら起きられない。だからおむつにも一晩中のオネショがたまる。今朝はとくに最悪。歩く度にぬれる感じしてたし、太股からいっぱいもれて足もぬれて。母親からテープのやつ穿かされてて、それがあたしのコカン閉じられなくする。赤ん坊だって妹が笑って、アイツは何でも笑うからよくわかんないけどムカついたから殴った。すぐに泣いて母親にちくられて。もうめんどくさい。だからシカトした。
 なんとか風呂場についたら、下おむつのまま風呂場に入った。床がぬれるからおむつ外すのはいつも風呂場だ。すぐシャワれるし。

「う……。んっ、ふう…………」

 テープをどっちも外すと、おむつがぐしゃっと風呂場におちた。まっ黄色のションベンがおむつの中にいっぱいあった。おむつのキャパこえてたから、おむつからもあたしのねションベンが床にこぼれてく。少ないときはアサイチのトイレはおむつにしてたけど、今日はさすが量がパない。すこしわらった。

(しちゃうか、そのまま)

 シャワーしながらするほうがおおいけど。今日はもうがまんできなかったから、おちたおむつにあてるように、立ちションした。
 ボタボタと黄色いションベンがおむつにぶつかって、下であわ立ててる。ぼーっと眺めながら、たまってた朝のぶん、ぜんぶおむつにおしっこした。ちょっと楽になった。

「はああ……ねみぃ……」

 シャワってるあいだは、ひとりごともとまんなかった。さっさとシャワってメシ食って寝たかった。鏡に映るブサイクは、ガリガリで、目つきわるくて、アフリカのめぐまれないガキみたいだった。そめたことにないボサボサ髪が水に濡れるとつぶれて見える。白目の大きいギョロついた目でガンつけてる自分がキモくて、シャワーはさっとシャンプーしただけですぐに出た。

「羽衣、おきてんなら学校いきなさいよ! いつまでもサボってないで、午後からでもいいから! こっちきて制服に着替えるの!」

 洗い場で新しいショーツの上にスウェット穿いてまたベッドに戻ろうとしたら、居間にいた母親に見つかってしまった。ウザいけど、シカトしたらもっとウザくなる。

「おかーさん、無駄だって。17なってもオムツのねーちゃんに言ったって、おねしょしちゃうくらい赤ん坊並みなんだし」
「いわなくてもわかるあんたとちがって、あの子は尻叩かないとダメなの! 放置するわけにも行かないでしょ、私は親なんだから」

 へらへらいってばかりの妹相手にテーブルでくだらない話しかしてない。妹も振り替え休日だから今日は一日家にいる。だったら、逃げるほうがまだ楽だ。
 あたしはその場でスウェットをぬいで、母親から芋いセーラー服を受け取った。
 赤ん坊のクセにとか妹がいってたけど、わかんないと思った。そのまま自分の部屋で着替えた。
  それからあたしは学校に行くことにした。ウザいのから逃げるために。


 学校だってウザい。けど家族いないだけマシだった。どうせどこいってもイジられる。

「奥村、今日もくせーよ。今朝もションベンもらしてママにおむつかえてられたんだろ」

 昼飯終わり、教室で寝てたらクラスメイトのアホが騒いでた。まわりの男子も笑ってた。

「だからなにがおもしろいんだよ……」
「お、起きてたし。なあおむつしてんだろ、見せろよ」
「がっこまで、してないし」
「はいとけよ、またもらしたらきたねーだろーが」

 前の話をぐちぐち言われて、すげーウザい。妹とはちがうウザさ。死ねばいいのに。
 女子は女子であたしからはなれてた。それは良いけど、かげぐち一々聞こえてウザい。

「ねえ、また来てる……。妹さんかわいそうだよねー、手の掛かる姉で」
「横通る度に、公園のトイレのにおいしてんの。マジやばいし」
「見たら絡まれるし。ほらお漏らししたので襲われるんでしょ?」

 あんま、女子もかわんない。バカみたいに笑って、バカだった。かんけーねーし、あたしもねてれば学校すぐおわるしそれでいい。けど、そういうやつばかりじゃなかった。

「ういちゃーん、くるのおそいよ~。ふーか心配してたよお?」

 一番キモいヤツ。南雲風花は手をすそにしまったキモい格好出、あたしにまで媚びまくってた。セーラーの上にカーディガン、髪型はキモオタっぽいツインテールで、かわいくない勘違い女だから女子ウケも最悪。あたしをダシにしてるの見え見えだった。

(ほっとけよ……どうせ、ねるんだし)
「もう、ういちゃ、ねちゃやだってばあ。また授業中にいねむりして、おねしょしちゃうでしょー? ほら、いっしょにがんばろ?」

 しらねーし。風花はシカトして、あたしはまた机で寝た。もう寝ても寝たりない。全部寝てしまえばいなくなるのに。
 でも、ずっと寝られなかった。ざわざわ周りがうるさくて、気づいて起きたら、周りがまたぎゃあぎゃあ言ってた。

「奥村、また漏らしてんじゃねーよ! 小学生かよ!」
「奥村さん、ちゃんと自分で汚した床拭いてよね! いつも私たちが後かたづけを――」

 ああ、またか。スカートも尻も足もぐしょぐしょで、黒板の前で数学教師があたしを見てヒいていた。

「もうおむつはいてこいよ、このションベン女!」

 誰か、男子の声で教室がどっと沸いた。ウゼえし、そろそろ殴りたくなってくる。
 だけど、もっとウザいヤツがいた。

「やめなよお! ういちゃんだってしたくてしてるんじゃないんだよ、かわいそう!」

 教室が、一気に冷めた。しらけるのもわかる。風花がウソなきであたしのそばに駆け寄ってきた。さっきより、視線が冷えてたし。こっちみんなよ、それ、あたしじゃねーし。

「いこーよ、ういちゃ。ぐすっ……あたしがういちゃのこと、まもったげるからね……」
「ちっ……」

 露骨に聞こえる舌打ちしてやったのに。このキモ女聞いてねーし。風花はざーとらしく泣きながらあたしの手をつかむと、保健室まで廊下をずっと歩き続けた。

「ういちゃ……。やっぱり、おむちゅしたほーがいいよぉ。はずかしい? あたしが買ってきてあげよーか? あたしういちゃのためならちゃんとかわいいの買ってこれるよぉ」
「……いらない」
「だいじょーぶだって、おむちゅしちゃえばちーでてもばれないし、わたし、ういちゃのおむちゅ替えてあげられるからぁ――」

 こいつは、何度もあたしのオムツを替えたがってる。必死だ。キモい。逃げたかったけど、漏らした制服で目立ちたくなかったし。

「いつかな……」
「うんっ、ぜったいだよぉ! やくそく!」

 一生こねえよ。そう言ったのに、やっぱり風花には届かなかった。


 制服ぬれたし、保健室で借りたジャージで家に帰ったらやっぱり母親がうるさかった。あたしを見て、めちゃくちゃ怒ってきた。

「あんたまた学校で漏らして……! 自分でも恥ずかしくならないの!? お母さん先生に合わせる顔もないんだよ! ねえわかってるの!?」
「あんたがこんな風に産んだから……」
「ふざけないでよ!! いつまで赤ん坊でいれば気が済むのよ、もういや!!」

 キレて泣いて、いつもうるさい。妹と同じで、よく似てた。ソファーで寝ながらスマホ触ってたら、逆ギレされてスマホ取られた。

「もうお母さんあなたのおむつ買いに行かないから。スマホ返してほしかったら、自分で買いにいきなさい!!」

 仕方ないから小遣いせびって、わざわざドラッグストアに行くハメになった。ほんと、うちの女はどれもこれもウザすぎる。
 その上、あたしドラッグストアで迷ったし。

(てか、どれ買うんだよ……おしえろよ、あのバカ)

 あたしが夜なにを穿いてるかなんて、興味もなかった。厨房まではたしか赤ん坊のおむつだった気がする。今はテープで、多分老人用だ。でも、名前まで知らない。店員にも聞けないし、迷ってたら。

「あれぇ、ういちゃんだぁ! 奇遇だよぉ、またあえたねぇ~!」

 背後ではしゃぎ声。振り返ったらキモ女。
風花が制服よりもキモい格好ではしゃいでた。胸ばかり出てるワンピース。スマホのエロ漫画だ。

「どうしたのぉ? おかいものぉ?」
「……チッ」
「あ、ひょっとしてぇ!」

 黙ってその場からすぐきえればよかった。あとのまつりだ。舌打ちした間に、風花はわざとらしく大声で驚いていた。

「おむちゅ……なんでしょお? ういちゃ、おむちゅ選び悩んでたんだぁ、かあいい~」
「死ねよ、もう……」
「ねぇね! わたしがえらんであげたい!  いいでしょっ、ういちゃのおねしょおむつさがしたげる! すみませぇーん!」

 止める間もなく店員を呼ばれて、風花は心底うれしそうにあたしのオネショをばらしやがった。店員ヒいてるし、ほんと迷惑だ。

「ういちゃ、体も細いしまだおねしょパンツ入るとおもうんですよぉ。あ、でもでもぉ、赤ちゃん用パンツも可愛いのおおいしぃ」
「は、はぁ……それでしたら、このビッグより大きいサイズか――」
「わあ、このトレーニングパンツかわいいよぉ。ういちゃ、これはいてちーの仕方覚えよ? ふうかが教えてあげるからぁ!」

 アホみたいに試供品をねだった後は、障害者トイレに連れ込まれ、いっぱいオムツを着替えさせられた。毎回写メまで撮られたし。

「ねえ、一回ちーしてみてよぉ。ほら、おむちゅからもれたらいやいやでしょお? ういちゃ、ちーでちゅよー。ちっちしようねぇ」
「もう、やめろよ……これで、いい……」
「だーめ、ちーするの。ほら、ういちゃ、しーしーしー……」

 両足抱えられて、おしっこまでさせられた。変態ばかりアガっても、あたしはもう早く終わらせたくて仕方なかった。適当にもらしてぬれたおむつを見せてやったら、キモ女がもっと気持ち悪くなった。

「はぅぅ……ういちゃのちっちおむちゅ、かわいいよお……。ういちゃ、おむちゅにちーしたらちゃんとふーかにいうのよ? ういちゃのおむちゅはふーかお世話しゅるからぁ」

 語尾にハートつけてるバカに誰が言うか。適当に相づち打って、あとは買ったばかりのおむつ穿かせられて、あたしはやっと風花から逃げられた。

(だるい……もう、寝よう)
「おねえ、晩ご飯……何それ、起きてる時からおむつなの!? しかも赤ちゃんのだし、ちょっとヘンタイ気持ち悪いんですけどぉ」

 ずるずるとジャージぬいで、またスウェットに戻る途中で妹があたしの部屋をのぞきにきた。でももう、言い返す気力もなかった。

「シカトすんなよ……もう、言ったからね。たべなくてもしらないから!」

 どうでもいい。今はもう、寝ていたい。
 起きなければきっと、おねしょもおもらしも気にしなくてすむし、ウザいこともない。
 だけど、きっとまた明日も起きてしまうから。

(ならせめて……寝かせろよ、バカは……)

 自由になれたのは、ベッドの中だけ。
 明日また失敗するとわかっていても、夢のないおねしょだけが、あたしの自由時間だった。
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リハビリその4

■泣き虫はるかの幼育記録

 ――最悪な目覚めだった。目覚めてもなお悪夢は続いていたのだから。
「ぐすっ……やだ、もう……なんで治らないんだよお……」
 小鳥のさえずりが微かに届いた、まだ薄暗い朝の子供部屋。藤村晴奏(ふじむら はるか)は布団をかぶって、弱々しくすすり泣いていた。いじけた子のように体を丸めた胎児のような姿は、両腕で抱えるほど大きく育ったたわわな胸や年の割には大人びた凛とした表情からは、不釣り合いなほど幼い。まるでわがままを言って愚図る幼児のような振る舞いは、これから訪れる現実からの逃避行為でしかなかった。
「おはよう! はるかちゃん、あさですよー。おっきしないと遅刻だよー」
 ドアが開き、元気の良い声が部屋に響くと共に、閉ざされたカーテンが開け放たれる。穏やかな陽光が窓から差し込めば、パステルカラーの壁紙に覆われ、小さな女の子が好きそうな変身ヒロインものの絵本や玩具の散らばった、幼児の為の空間が照らされてゆく。
 ――それは明らかに、晴奏よりも遙かに対象年齢が低い世界で。
 だからこそ、この部屋は晴奏の為の部屋だった。
「こっ、来ないでっ! 優衣奈(ゆいな)、私、一人で起きられるからっ!」
「その反応……またやっちゃったんだ。あーあ、これでもう何十回目の失敗だろうね、はるかちゃん」
 布団の中で金切り声をあげても、部屋に入ってきた声は意にも介さぬようだった。晴奏よりも高く、ややあどけない少女の声。けれど、狼狽を露わにしていた晴奏よりも、上に立つ者としての余裕さえ含ませている、自信ありげな声だ。
 まるでからかうように笑う幼い声が、晴奏を一層感情的にさせてゆく。
「言わないでっ! そんなの優衣奈に関係ない――」
 必死の抵抗は、最後まで言い切る前に断ち切られた。
「優衣奈『お姉ちゃん』、でしょ? 何呼び捨てしてんの? はるかのクセに」
 からかう陽気な響きが、冷徹な断言へと変わっていたから。
 芯から冷え切った音に響くは、純粋な侮蔑と嫌悪の罵倒。
 背筋がぞくっ、と冷えるような叱責の前では、晴奏の駄々も続かなかった。 
「ひっ!? ご、ごめんなさいっ! あ、謝るからっ、ごめんなさいぃっ……」
 『怒られる』――その恐怖が、晴奏の体をさらに縮込ませてゆく。ぎゅっと体を抱けば、お尻の周りがぐずっ、と濡れた感触に包まれてゆく。眠っている間とは言え、自分が起こした失敗の結果を思い知らされ、おぞましい感触がさらに晴奏を不安へと追い込んでしまう。
 そんな風に、負の連鎖に身を震わせていた様子も、布団に隠れては誰にも見えない。部屋に入ってきた声の主も、晴奏の様子など察する気すらないようだった。
「……はぁ、ほんと物覚え悪いんだから。そんなんだから、はるかは『おこちゃま』なんだけど」
 怯えきった身を守ってくれた布団が、誰かにぎゅっと引っ張られる。
 声の主がそうしてると分かっているから、晴奏もぎゅっと引き返した。
「…………いやだ」
 だが、弱々しく愚図る晴奏の力では、抵抗もかなわず。
「逆らったって無駄だよ。ふふっ……はるかはわたしの『いもうと』なんだから、ねっ!」
「っ!」
 はためく音を立てて、布団が一気に引っ剥がされる。
 中から現れたのは――お尻の部分だけ不格好に膨らんだ、アニメキャラプリントのパジャマを着た17才児――涙で顔をぐしゃぐしゃにした、藤村晴奏だった。見上げれば、そこにはにやにやと意地悪く笑っていたあどけない声の主――12才になったばかりの『元・妹』、自らを『姉』と呼ぶように言い放った、藤村優衣奈の顔が見える。
(逃げられない……もう、だめだ……)
 一目見下ろされた、それだけで、逆らう気力が根刮ぎ奪われてゆく。
 涙でにじむ視界は、早すぎる朝は晴奏にはまぶしすぎる光景だった。

 身を守る壁を失えば、なすがまま、されるがまま。
「あうぅ……ご、ごめん、なしゃいっ……優衣奈、おねえちゃん……」
「はぁい、はるかちゃんはいいこでちゅねえ。じっとしてたら早くおわりまちゅからねぇ。くすくすっ……」
 にやにや笑いをやめない優衣奈に、パジャマズボンをずるずると引きずり下ろされても、晴奏には逆らう力も、自由もなかった。遠慮のない優衣奈の手は、晴奏のパジャマを不格好に膨らませていた原因を暴きにかかる。
 足首まで下ろされたパジャマの中にあったのは、柔らかそうな生地で出来た、愛らしい花柄の紙オムツだった。それも、たっぷりのおねしょを吸収しており、黄色く染まったクロッチ部分からお尻にかけて、おもらしでぶよぶよに膨らんでしまっている。
 自分が汚したとは言え、お漏らしオムツを晒された上に赤子の様にオムツの世話までやかれてしまう。絶望的な羞恥に涙さえ浮かべてしまった晴奏の気持ちなど、優衣奈は気にせずなおも笑っていた。
「わあっ、オムツぐちゅぐちゅだあ! おもらしいっぱいしてきもちわるかったでちゅねー。あ、だから朝からはるかちゃんもぐずぐずさんだったんだね。うふふ、気づいてあげられなくてごめんなさいねえ」
「いっ、いちいち、言わないでよお……は、恥ずかしいのにいぃ……」
 真っ赤にした顔を振って、まるで赤ちゃんのように『いやいや』してみせる晴奏が面白いのか、優衣奈の笑みは止まらない。おしっこを吸い込んだパンツタイプの紙オムツの上を指でなぞるように触れては、びくんと怯える晴奏の反応を楽しんでいる。
「だってえ、くすくす……はるかちゃん、かわいいんだもん。こんなに赤ちゃんオムツが似合う幼稚園生、はるかちゃん以外にいないよおっ!」
 格好の玩具を手に入れたとばかりに、恐怖で自由の利かない体を弄ぶ。そんな仕打ちに晴奏が逆らおうにも、優衣奈の方が一枚も二枚も上手だった。
 ぺりぺりと、乾いた音を立ててオムツのサイドギャザーを破られれば、真っ黄色に染まったおしっこの海が広がる、人肌で暖められたお漏らしオムツが開かれてゆく。
「やだ……ひっ、ひんっ! や、やあぁぁっ……」
「あらあら、おむちゅ替えてもらうの、そんなに気持ちよかったのお? うふふ、はるかちゃんはほんとにおむちゅされるのすきすきでちゅねぇ」
 拒絶の言葉を遮ったのは、一晩中のおねしょですっかり蒸れきったぐずぐずの局部に触れた、染みるほど冷たいオムツ替え用ウェットティッシュの刺激。
 じくっ、と体の芯に響く強い刺激は、晴奏の下腹部をぶるりと震わせてしまった。
「ち、ちがううっ! だ、だって――ひゃんっ! やだぁ……優衣奈っ、ゆいなぁっ、つよいのやらっ、ごしごししないでえっ! あひぃんっ!」
 何度も何度も、『おしっこの穴』をなぞるように執拗に行き来する清拭の感触が、晴奏を過敏にさせてしまった。刺激はまるで、我慢してきたおしっこが漏れてしまう様な錯覚を呼ぶものだから、まるで自分の意思に反してオムツを汚させるような気分にさせられる。
「だーめっ。キレイキレイにしないと、おむちゅかぶれしちゃうもの。そ・れ・にぃ」
「ちゃーんとおまたふきふきしないと、おしっこ臭いのが体に染み着いちゃいまちゅよお? くすくす……それこそ、おむちゅのとれない赤ちゃんみたいに!」
「……っ、それも……や……ひぅ! あ、あぅぅっ、あうぅん……!」
 まるでミルク飲み人形――いや、単なるお漏らし人形として弄ばれた晴奏はもう、言葉さえ覚束なくなってしまっている。
「あははっ、よっぽど気持ちいいんだあ? おまたからちょろちょろおしっこおもらししてるー! あははっ、ほんとに赤ちゃんなんだから、はるかちゃんはっ!」
 勝ち誇ったように笑う優衣奈の声は、晴奏にとっては絶望として響く。
(こんなのって、ないよ……。やだ、赤ちゃんにされちゃう……。私、優衣奈に、赤ちゃんにされちゃってるよお……!)
 ほんの少し前まで『姉』でいられた自意識が、歳不相応な幼稚な子として扱われる仕打ちに耐えられずに愚図り始める。
 だが、それも皮肉なことに――抱え込んだ気持ちの表現は、幼い姿に似合いの行為でしか表せずにいる。
「あ、あうぅ……ぐすっ、あかちゃん、じゃないぃ、あかちゃんじゃないもん……ふえぇぇん……!」
 鼻水をこぼし、顔中ぐしゃぐしゃに汚しながら泣きじゃくる晴奏は、自分が想像してきた自意識よりもより幼い幼女と同じで。
「あらあら、泣くほど気持ちよかったんだ? ほんと、はるかちゃんったらおむちゅ好きなんだあ! よかったでちゅねー、新しいおむちゅあてられて! あははははっ! 」
 『妹』だった優衣奈に慰められながら新しいオムツを当てられるほど、どうしようもなく幼かった。


 ――鏡の前に立てば、目に映るのは一番見たくない現実。
「ほら、立って。幼稚園の制服におきがえするよ!」
「………………おねがいします、優衣奈……おねえちゃん」
 晴奏が眺めた自分の姿は、裸に紙オムツ一枚の姿で、泣きはらした目をこする大きな背丈の園児のそれだった。
「はい、ばんざーいっ。ほら、はるかちゃんが好きなプリキュアのトレーナー、買ってきてあげたんだから。すそはフリフリだから、とってもかわいいんだよおっ」
「……うぅ」
 優衣奈の手によって晴奏が着せられたのは、上半身には女の子の好きな変身ヒロインのアニメキャラが描かれ、すそもフリル付きの愛らしいピンク色のチュニック。勿論シャツも靴下もアニメキャラで統一された、幼女らしい装いだった。
「あれ? はるかちゃんはちゃんとお礼もいえないのかな? うーん、まだまだ幼稚園児じゃなきゃ……」
 わざとらしい脅しも、今の晴奏には将来を左右されるに等しい宣告だ。
「あ、ありがとう優衣奈おねえちゃんっ!」
「うんっ、いいよっ! うふふ、それじゃスカートも穿かせてげるね」
 そう言って優衣奈が出したのは、二重フリルのかわいらしいミニスカート。
 その短さたるや、当てられていた紙オムツを隠すには到底至らない。
「こ、こんなの……恥ずかしい、だけなのに……っ」
「ん? 何か言った?」
「……なんでもないよ、優衣奈お姉ちゃん」
 それでも、晴奏は逆らえなかった。今や生殺与奪は優衣奈に握られている身だから。
「そう? ならいいけど――うんっ、これで完成っ。これならオムツも替えやすいし、先生も困らないねっ」
 晴奏が従うことをいいことに、優衣奈は嬉しそうに幼児服を着せていった。
 鏡が映したのは、ちょっと動けばオムツを穿いている事など丸見えになった、幼児服を着た背の高い女の子――いや、17歳の少女の姿だ。
 それはまるで、魔法で身体だけ大きくされた、幼女のようにも見えてしまう。
「や、やだ……オムツ……はるかのオムツ、見えちゃうよおっ……。ね、ねえ、優衣奈お姉ちゃん……もっと、長いスカートは……」
「見えていいじゃん。ちゃんと見て貰ったらいいんじゃない? ほら!」
 くすくす笑う優衣奈は、晴奏が隠そうとしたスカートをめくりあげた。
 露わになった紙オムツには、大きなさくらんぼのイラストが描かれている。
「やあぁ……隠してっ、隠してよおっ!」
「うふふ、いいじゃない……。オムツ見て貰ったら一目でわかるでしょ? おっきなお姉ちゃんの園児コスプレじゃない、はるかちゃんが排泄幼育児童だって。オムツつけてても仕方ないの、みんな理解してくれるよっ」
「あ……ああ……そんなの……やあぁ……っ」
 『さくらんぼ印の紙オムツ』――その意味を知らない者は誰もいない。
 排泄機能だけ乳幼児期の段階で発達遅滞を生じている青少年は、『排泄幼育児童』としてトイレトレーニングを済ませない限り、成人として認められないのだ。
 17歳にして、お漏らしとおねしょを再発してしまったばかりに、晴奏もまた、幼稚園からトイレトレーニングをやり直さなければならなくなっている。
 ――優衣奈のような、自分より幼い子供たちに指導されながら。
「くすくすっ、そんなに嫌ならさっさとお漏らしグセ治そうねえっ、はるか『お姉ちゃん』っ。17にもなってまたオムツ穿いちゃうような子は、幼稚園でしっかりトイレトレーニング、しないとねっ。あはははっ!」
 嘲笑する優衣奈の前で、晴奏はただ、口をつぐんで涙ぐむしか出来なかった。
 それが彼女の、現実だったから。

リハビリその3

柳瀬彩由 やなせさゆ
(偉大なるネタ元「おねパン★」様:http://onesyopants.blog.fc2.com/blog-entry-13.html )


 土曜の午前9時半、早朝特訓の部活動が始まれば、志之里小の体育館は、音の洪水で溢れ出します。
「ほら、ボールもらいに行くの! 自分から動かないとパスなんてこないよ!」
「はいっ、キャプテンっ!」
 ボールが床を叩く音より、一際大きいのはキャプテンの声。
 志之里小の部活の中でも特に有名なミニバスケットチーム、それを引っ張るのが、今年六年にあがった柳瀬彩由(やなせ さゆ)ちゃんです。
「声出してー! 気合い入れるの、気合いで負けてどうするの!」
「ナイスパスっ! 繋いでいくよ、速攻だかんねっ!」
 髪紐で留めたサイドテールを踊らせて、電光石火で相手のエリアに飛び込むスピードスター。それだけでも格好いいのに、仲間の活躍を見ると顔をくしゃくしゃにして、歯を見せて喜ぶ表情もとっても愛らしい、チームの花形選手です。目鼻立ちもぱっちりしていて、きらっきらの瞳に射抜かれた隠れファンは、部員だけに留まらず、他校にまで広がっています。
 彩由ちゃんは3年生の頃からずっと続けてきた生え抜きの選手だけあって、技術だけでなく全体を見る目も持っていました。その甲斐あって、今年の春には満場一致でキャプテンに推され、今もその名に恥じぬ活躍を続けているのです。
「みんな、集合っ! 今日の練習の反省会するよっ!」
「はいっ!」
 時には厳しく、時には力強く。もちろん、部活が終われば下級生にも優しく。そんな彩由ちゃんだから、後輩たちも素直に慕ってくれます。
「やなせせんぱいっ、どうしたらせんぱいみたいにピボットかっこよくきめられるんですかっ?」
「あはは、コツとかあるのかなぁ。とにかく練習、それだけだよ」
「わたしもろくねんになったら、できるかなぁ……」
「大丈夫! いっぱい練習したら、できるようになるって!」
 部活が終われば、人気者の彩由ちゃんはひっぱりだこ。それも後輩たちから羨望の眼差しを浴びても、決して驕らない彼女だからこそ。
「それじゃ、今日はここまでっ。ありがとうございましたっ!」
 志之里小不動のキャプテン――汗を拭う快活な美少女。

 ――そんな彩由ちゃんにも、実はヒミツがあったりするのです。

 練習で大活躍した、その前日の金曜日。
 明日の練習を心待ちにしている、そんな夜の出来事です。
 テレビから聞こえる笑い声以外は、静かだった柳瀬家に、風呂場の引き戸をがらがらっと乱暴にあけて、どたどたどたっと走る音が響きます。
「ねー、おかーさんっ。お風呂あがったー」
 リビングの戸を開けて飛び込んできたのは、風呂上がりの裸んぼを大きなバスタオルで巻いて隠した彩由ちゃんでした。
 後輩部員の前とは打って変わって、家の中ではちょっと甘え気味な彩由ちゃんは、お母さんに猫なで声をかけています。
「ちゃんと拭き終わったの? まだ濡れてないわよね?」
「もー、濡れるとか言わないでよ……。ちゃんと拭いたもんっ」
 ほっぺを膨らませてむぅとイジケてみせるのも、あの凛々しいキャプテンには信じられない反応です。
 だけど、これが実は、彩由ちゃんの本当の姿。
 部活で活躍するスターの裏の顔には、誰にもいえないヒミツがありました。

 甘えた雰囲気の彩由ちゃんを宥めながら、お母さんは寝室から寝る前の準備道具を揃えて持ってきました。
 カラフルな水玉模様のパジャマにキャミソール、ここまでは六年生の服装としては普通ですね。
 でも、肝心のパンツが――後輩でも穿かないような、恥ずかしいモノだったのです。
「ほら、ごろんってして。明日早いんだからもう寝るんでしょ?」
「はぁい……」
 彩由ちゃんがお母さんに促されて寝ころんだのは、キルト生地で織られた厚手のシートの上。デザインは淡い桃色にイチゴやサクランボの柄なんて、なんだかすっごくちっちゃい子が寝るお布団みたいです。
 それもそのはず、このシートは元々、防水加工が施されたまぎれもない赤ちゃん用品だったのです。
 小学六年生に赤ちゃん用品?
 なんで彩由ちゃんにそんなモノが必要なのか――その理由は、お母さんが取り出した彩由ちゃんの『夜の下着』にあるのです。
「昨日は量が多かったから、今日もパンツタイプはお預けね」
 パジャマと一緒に持ってきたのは、青色のビニールパッケージいっぱいに詰められた、彩由ちゃんサイズの紙おむつ! 『朝までもれない!』『ぐっすり安心!』と書かれたそれは、赤ちゃんサイズよりも大きめのそれは、おねしょがまだ治らない子のためのもの。
「ほら、お尻あげて。おむつ当てられないでしょ」
「うぅ、いちいち言わなくていいじゃん、おかあさんのばかぁ……」
「何言ってるの。おねしょでおむつしてるのは彩由でしょ」
「だって、だってぇ……恥ずかしいこと、言わないでよお……」
 そうです。ミニバスの熱血キャプテン柳瀬彩由ちゃんのヒミツは、赤ちゃんの頃からずっと、『夜のオムツ』が外れたことのない、おねしょっ娘だったのです。
 恥ずかしい現実を遠慮なく口にするお母さんに、お尻をあげられ、おむつを下に敷かれた彩由ちゃんの表情は、あの凛々しいスポーツ少女の面影は消え、子供っぽくイジケて目を潤ませた、弱気な女の子の顔になっています。お尻に当たるカサカサとした不敷布の抵抗も、股周りを包み込む柔らかなギャザーの厚みも、彩由ちゃんにおむつを穿いている実感を与えていきます。
「今日こそしないもんっ。絶対っ、絶対にっ」
「はいはい、明日までおねしょしなかったら、また紙パンツにしてあげるからね」
「うぅ……そっちじゃなくてぇ……パンツにパッドでいいのに……」
 お母さんにいちいちオムツを当てて貰うなんて、まるで赤ちゃんみたいな扱いは、六年生になって大人を意識し始めた彩由ちゃんには恥ずかしい仕打ちでしかありません。お母さんは自分で穿けるパンツタイプの紙オムツも用意してくれていますが、彩由ちゃんにとってはそういう問題ではありません。
「ねえ、おかーさんっ。わたしもうブラだってつけてるんだよ? こんな赤ちゃんみたいな絵柄のオムツ、恥ずかしいし……」
「仕方ないでしょ、これよりおっきいのだと漏れちゃうんだから」
「だってぇ……」
 パリパリとテープ留めが閉じる音の中で、弱々しい懇願の声を上げてもお母さんには届きません。両の羽根を留められた紙オムツには、前にも後ろにもかわいらしいデザインが描かれていました。ちっちゃい子なら『おねえちゃんのぱんつみたい!』と喜ばれるかも知れませんが、彩由ちゃんにとっては、悲しいくらいに子供だましで、逆に恥ずかしいのです。
「はいっ、おしまいっ。寝る前にあんまりお水飲まないでね」
「わかってるもん……そんなの、当然だし」
 恥ずかしいオムツを隠すように、おねしょオムツが当てられてすぐ、彩由ちゃんは立ち上がり、パジャマのズボンに脚を潜らせていきました。夜のおしっこをたっぷり吸収してくれるように作られたオムツですから、普通のパンツみたいにパジャマの緩いシルエットに隠れてはくれず、その存在感を浮き上がらせてしまいます。
 いかにも『オムツをあてています』と言った格好は、彩由ちゃんにとってのコンプレックスでもありました。
「はぁ……はやくおねしょ治らないかなぁ……」
 寝る前に髪をとかした鏡の前で、ぽつりと呟く切なる願い。
 はてさて、本当に叶うのでしょうか?

 すっかり静かになった真っ暗な夜。
 子供部屋の布団の上で、彩由ちゃんはくぅ、すぅ、と可愛らしい寝息を立て、ぐっすりと寝入っています。
 夢に見るのは、おねしょっ娘のお約束。
 少し寝苦しい亜熱帯夜にお馴染みの、水遊びの夢でした。

「きゃあっ! あははっ、スピードすっごいっ!」
 上から見下ろせば下の地面にいる人たちがまるで指先ほどの大きさに見えるウォータースライダー。夏休みになると人が集まる市民プールは、彩由ちゃんたちがお小遣いで遊べる最高のスポットの一つです。
 水しぶきをあげて飛び込んできた友達を見てしまったら、彩由ちゃんもいてもたってもいられません。
「今度はわたしっ! わたしも行ってくるねっ!」
 友達に手を振り、駈け上がるように滑り台の上へと上っていきます。真夏の日差しに照らされて熱を帯びた、金属製の階段も何のその。ハイテンションになった彩由ちゃんを止めるものはいません。
「はい、次の人。ゆっくり、飛び込まないようにね」
「はぁーいっ!」
 元気のいい返事はまるで部活の時みたい。
 両手を胸に当て、1・2の――3!
「きゃああっ! はやいっ、はやいよおおっ、きゃあああっ!」
 半円のスライダーはぐるぐると螺旋を描いていますから、彩由ちゃんも右へ左へ、重力に任せて流されていきます。最高速度に達すれば、あとはなすがまま。勢いに飲まれて興奮の歓声を上げている内に――!
「わぷっ!」
 盛大な水音と共に、彩由ちゃんはプールに放り出されてしまいました。
「あははっ、すっごい楽しか――あれ?」
 違和感を覚えたのは、その時でした。
 水の中なのに、なぜかあったかい。
 プールなのに、水着中だけが何故かぐずぐずと濡れた感じがする。
「あれ、あれれ……うそ、うそだよ――ね?」
 一つ気づけば、冷や汗がさぁっっと流れていく感じがしました。
 覚えのある懐かしい感触。楽しい気持ちを打ち消す、嫌な感じ。
「うそ……やだっ――おねしょなんか、やだ――!」
 みんなが見ている前で、おねしょなんて――!
 そう気づいた瞬間。
 夢は一気に、覚めてしまいました。

「……あら、起きたの。やっぱり今日も交換しなきゃダメみたい。パンツタイプはまだまだ先になりそうね」
「……ぐすっ、すんっ」
 眠たい目をこすれば、見えてきたのは新しいオムツを用意してくれたお母さんの姿でした。穿いていたパジャマズボンも脱がされて、中身のオムツもたっぷりのおねしょでたぷたぷになっています。
 きっと前からお尻まで、まっ黄色に染まってるんだ――そんな想像が、嫌な夢を見てしまったショック状態に、痛いほど染み渡っていきます。
「……だいじょうぶ? 泣くほど嫌な夢見たの?」
「ちが、う……ちがうのお……おねしょ、したからあ……」
 心配そうに見つめてくれるお母さんの顔も、今だけは見たくありませんでした。グズグズと汚れた紙オムツの気持ち悪さも、毎日の部活で溜まった一週間の疲れも、おむつの事を隠し続けなければいけないプレッシャーも……全てが、夢の中ではタガが外れたように溢れ出して、飲み込まれてしまった彩由ちゃんには、どうしようもなく泣けてしまうのです。
「大丈夫よ、彩由もちゃんと大人になるまでに治るから、ね?」
「えうっ、ぐずっ……うん、うんっ……」
 赤ちゃんみたいに小さくグズるのも止められず、新しいオムツを当てられるまでずっと、彩由ちゃんは涙ぐむばかりでした。
「ほら、ねんねしようね。おっきくなれないよ」
「ありがと、おかーさん……すぅ……」
 お母さんの優しい声で、少しだけ、落ち着いたのか。
 新しいオムツの柔らかな感触に包まれてすぐ、彩由ちゃんは再び夢の中へと戻っていきました。

 まだまだオムツは外れそうにないけど、それでも彩由ちゃんの元気は夢なんかじゃありません。
 まだまだ夢の中では赤ちゃんのままで、彩由ちゃんの夜は更けていくのでした――。

リハビリその2

■まひるのねがいごと
  
 はじめはほんの、冗談みたいな願いだった。
 『うちの学校の科学部部長は、頭が良くて頭がおかしい』
 そんな噂話に一縷を託して、椎名まひるは魔窟に脚を踏み入れたのだ。
「……あ、あのっ。わっ、笑わないで下さいねっ!」
「まだ何も言ってないのに、笑えるかどうか」
「そういう事じゃなくて! ……笑われるかもしれない話だって、分かってますから」
 背の高いまひるから見ても、理科室の主たる科学部部長・文坂梢(あやさか こずえ)は小柄な少女だった。すっきりとした顔だちにショートカットといったボーイッシュなスタイルに、何を考えているか分からない仏頂面。噂通りに謎めいた人物だったが、まひるは彼女のただ一点において、多大なるシンパシーを感じていた。それも、勝手に。
 まひると言えば、また別の意味でボーイッシュだった。背の高さ以上に悩ましいのは、それに比例しない未熟な身体――それこそが梢と同じ唯一の共通点――貧乳、である。
(文坂さんも、一度は考えたことあるのかな……? で、でもっ、ま、マッドなさいえんてぃすとだったら、絶対実験したことあるはずっ!)
 友人たちからは「……オウエンシテルヨ」と暖かい言葉を受け取っている。きらきらと目を輝かせて訴えたまひるのアイデアにも希望はある。きっとそうだ。
 椎名まひるはそう信じ切っていた。大人びた身体に似合わぬ、稚気しかないような無邪気な心で。
「すぅぅ~~…………はぁぁ~~っ」
 だから、一度深呼吸して。
 大きな声で、訴えた。
「あ、あのっ! おっぱいを大きくする薬って、無いですかっ!!」
 深々と頭を下げて、渾身の懇願を見せたまひるは知る由もない。
 切なる願いが理科室に響いた瞬間に。
「……くくっ」
 梢の瞳が、獲物をとらえた野獣のきらめきを帯びたことに。

 頭を下げている時間は、焦燥しか覚えなかった。
 望み通りの答えが戻ってこないことに――
「――あるよ」
「ほんとですかっ!? じゃ、じゃあっ! わたしを是非実験台にしてくださいっ! いいです、私のからだをかがくのしんぽに――」
「でも、使えない」
「ええっ!? うそっ!? 使えないんですかっ!? そんなぁ……!」
「独りでは」
「ひとり、では……?」
 ――心を砕く間もなく、有頂天から地獄へと怒濤のジェットコースターを演じるまひるに、梢は背を向けて背後の棚から小瓶を取り出して見せた。自作の怪しげな薬物。いかにもthe マッドな雰囲気がまひるのマシンガントークを静けさに沈める。
「……これは、飲んだ人が胸を大きくする薬ではないから」
「ど、どういうことですかっ?」
「……その前に、一つ」
 小瓶には、透明な液体が詰まっていた。それが逆に、まひるには何を起こすか分からないブラックボックスのように見えてしまう。
 期待と恐怖・興奮と疑念、謎を振り払う光を待つように、梢の言葉をじっと待ってしまう。
「……これを飲んだ人は、母乳がでる」
「ぼ、母乳、ですか……」
「薬液は体内で反応を起こし――まあ要するに、その母乳が薬になる」
「薬に、って、それ……って……」
 無表情が、急に誇りに溢れた不適な笑みに変わっていく。
「この薬を飲んだ人のおっぱいが――巨乳の薬に、なるんだよ」
「……ま、マジですか」
 流石のまひるも、言葉を失う。疑問は、怒濤のように沸き出した。
「じゃ、じゃあ、自分で母乳出して自分で飲むのはダメなんですかっ」
「ダメ。他人のじゃないと効かない」
「そ、それって実際に効くんですかっ!?」
「動物実験では実証済み。豚にマウスに猿にその他もろもろ」
「そ、それじゃ、それじゃあ……母乳出してくれる人がいなきゃ、ダメじゃないですか……はうぅ、こんなオチなんて……」
 がくりとうなだれたまひるの肩を、とんとんと梢が叩く。
「……わたしでよければ、構わない」
「……マジですか」
 ――斯くして、契約は結ばれてしまったのだ。



 二週間後。まひるは再び、理科室へとやってきた。
 この二週間、何も手が着かなかったといっても過言ではない。
 家族友人教師にとっては、のーみそお花畑な住民の通常営業ではあったものの。
 閑話休題。とにかく、まひるはずっとこの日を待ちわびていたのだ。
(お、おっぱいおっきくなったら……もうナイチチとか貧乳種だとか言わせないし、も、モテモテになるし……う、うへへっ)
 妄想するだけで幸せが顔に現れてしまう。貧乳に泣いた夜もすべて今日の夢の為にあったのだと、まひるは真っ昼間から夢見心地のままだった。
「……おい」
「は、はひっ!?」
 故に、遅れてやってきた梢にも気付かず。
「あ、あのっ、ほ、本日はおひがらもよくっ!?」
「そういうのはいい。はじめようか」
 無表情な梢は有頂天なひよりを意にも介さず、その手を握って部屋から出ていこうとする。
「え、えっ!? こ、ここでじゃないんですかっ!?」
「予約してある。ぴったりの所を」
 子供が大人に引きずられるように歩く様を同級生に見られながら、やってきたのは無人の保健室。窓もカーテンがしっかり締めてあり、微かに漏れた午後の日差し以外は、誰も進入するものはない、閉鎖空間になっている。
「あ、あはは……き、緊張するねっ、梢ちゃ――っ!?」
 社交辞令で場を和ませようとした、まひるの言葉は息詰まった。
 手際よくブレザーもシャツも脱いだ梢が、控えめなカップのブラジャーまで外し、小さな丘陵を露わにしてゆくのを目の当たりにしたからだ。
(わ、わわっ……こ、梢ちゃんのおっぱい……かわいい……っ)
 同性のそれなど、一度や二度なら見たことがある。育ちきったモノから、自分のような胸板と呼べるモノまで。だが、梢のそれは、ボーイッシュな雰囲気とはアンビバレンスな、少女の胸――。
「薬を飲むだけだと、これ位しか大きくならない。本番は、ここから」
「ひゃ、ひゃいっ! そ、そうでしゅねっ!?」
 居心地も落ち着きも失い、どぎまぎと挙動不審に陥ったまひるを、保健室のベッドの上に座った梢が手招く。期待よりも大きな興奮で飛び跳ねる心臓を押さえるように、まひるもかくかくとロボットの動きで、彼女の横にぽふんと座った。
「――準備は、いい?」
「は……は、はいぃっ……」
 自分のおっぱいを大きくするため――それだけしか考えてなかったまひるも、今この瞬間の現実を認識せざるを得なかった。
(わ、わたしっ……女の子のおっぱい吸っちゃうんだ……! あ、赤ちゃんじゃないのにっ、おっぱいちゅーちゅーしちゃうんだ……)
 その倒錯性が、まひるにくらくらとめまいを起こさせる。
 淡々と胸を晒した癖に、いざ授乳となると少し恥じらいを見せて視線を逸らした梢の姿もまた悩ましい。
(じゅ、授乳って! うわ、うわあああ……ど、どうしよ――っ)
 興奮の合間に、冷静な思考が挟まれる。
(……おっぱいがないと、赤ちゃんにあげることもできないんだよね)
 それもまた、まひるにとっては一つの大きな悩み。
 『貧乳はステータスだ』なんて言っても、生まれてくる赤ちゃんにとってはあった方がいいに決まっている。
「……椎名さん、どうしたの」
「あ、その……あはは、何でもないよ」
 振り切るように、まひるは決断する。
「ね……文坂さんのお膝に、お顔乗っけても大丈夫かな?」
「問題ない。そうじゃないと、授乳できないから」
 小枝のような両脚を潰さないように、まひるはゆっくりと頭をおろしていく。見上げた少女は、掛け値ナシに綺麗だった。
「お、おねがいしますっ……」
「うん……おっぱい、あげるね」
 恐る恐る言った挨拶に、彼女は砕けた笑みを浮かべてくれたから。
(あ……きっと、大丈夫だ)
 小さなぽっちから香る甘ったるい乳のにおいに惹かれ、自然と頭が動いてゆく。
「……っ、くぅっ」
 小さなうめきが聞こえた時、まひるの胸もきゅんと疼いた。
「んくっ、くちゅ……あむっ、んぅぅ……」
 はじめはただ味わうように、舌先で小粒な突起を舐め回していたのに。
「んふっ!? んぅ、んぱっ、けほっ、けほっ」
 急に、口の中に汁気が走った。気管支を直撃したせいで、思わずむせてしまう。
「あわてない。おっぱいはちゃんとあるから」
 背中をとんとんと叩き、あやしてくれた梢は、まるでお母さんのようだったから。
「……ありがと、文坂さん」
「……ん」
 誰もいない午後の保健室に、大きな赤ん坊が小さな母親の胸を吸う。
 それが――――椎名まひるの、本当の変化への第一歩だった。



 誰もが騒がしくなる六月の晴れ間。決戦の日に戦友たちは沸き立つ。
「あーもーまた太ったしー! 部活やってんのにありえないわー」
「その分育ってるくせに……。いやみか! ひんにゅーへの!」
「あ、そのブラかわいー。いいのつけてるんだー」
「こ、こんなの姉のお下がりだしっ。別にかっこつけてないよっ」
 見栄を鞘当て、本心を研ぎ澄ます。女の園の体育測定は正に修羅場。
 椎名まひるもまた――そんな修羅道を生きる一人であった。
(増えてますように増えてますように増えてますようにっ!)
 微かに自信はあった。しかし確信は持てなかった。
 保健室に行き梢の母乳を飲み、翌朝鏡を見て凹む日々。
 わずかな変化が起きているのかもしれないが、毎日の目視では分かりかねる。
「お、まひるー。ちょっと太った?」
「ふ、太ってないっ! 胸がおっきくなった……と、思う……けど」
「いやー、まひるっち、それはないわー。今日も凛々しいしねえ」
「ちーがーうー! おっぱいっ、おっぱいなのーっ!」
 からかう友人たちの中でも「大きくなったんじゃない?」と言ってくれる人はいた。しかし、その台詞を信じるわけにもいかない。
(ひ、人の喜びをコケにしてくれた過去、忘れてないからなっ!)
 ドッキリで偽の測定結果を知らされた事があるまひるとしては、気が気ではないのだ。
 だから、まひるは保険委員に頼らず直接結果を聞くことにしている。
「次、椎名まひるさん」
「は、はいっ!」
 友人たちの生暖かい視線に見守られながら、まひるは矢も立てもたまらず飛びだしていく。
 願ってきた結果を、努力の証を、確信するために――。

 部員は一人、ほぼ非公認。一応まひるが幽霊部員として登録はしてくれているが、梢が理科室にいるのは、ほぼ一人のことが多い。
 黙々とビーカーを暖め、中の液体を熱している、その時――。
「こ、梢ちゃんっ! やったよっ、わたしやりましたぁっ!!」
 怒号をあげて飛び込んできたのは、週に二日、『実験』のときだけしか居ないはずの幽霊部員。
「よかった。実験は成功したみたいで」
「うんっ、うんっ! 梢ちゃんのおかげだよっ! うれしいっ、超うれしいもんっ!」
 自分の実験結果が成功したことに、梢もまた、笑顔になった。
 その裏に、密やかな企みを隠しながら――。 

 それからのまひるは、毎日欠かさず理科室に通うようになった。
「……もう、Cカップになったのに、まだ欲しいの?」
「えへへ。まだ梢ちゃんの実験動物としてがんばりますよ~」
 当初の恥じらいも何のその、制服の上からも目視出来るようになった胸を膨らませながら、まひるは無邪気に梢の小さな丘陵に吸いつく。
「こんなにおっぱいが大きいのに……まひるは、赤ちゃんだな」
「くふふ、赤ちゃんでいいも~んっ。おっぱいあるからー」
 ちゅぱちゅぱと吸いつくことが病みつきになってしまったのか、時には昼休みに梢を連れ出すこともあった。
「この……甘えんぼっ。こんなの見られたら、モテなくなるよ」
「だってぇ……ちゅぱっ、梢ちゃんのおっぱい、おいひいもん……」
 休み時間から学校の外へ、まひるの部屋から梢の部屋へ。
 そうして一度たがを外せば、後は勢いに飲まれるだけ。
 まひると梢もいつの間にか親友になり、実験相手から気の置けない仲間に変わっていった。そんなやりとりを繰り返す度に、小さな蕾はたわわな実となり、実は更に大きさを増していく。
「……なんで一人だけ裏切るかなあ。ひんぬー仲間だっただろっ」
「へっへーん、おっぱいは正義だもんねー」
 からかわれる立場から羨望の存在へ。CやDで喜んでいた時は素直に喜んでくれた友人たちも、大台のFを迎える頃には、うらやむついでのセクハラ三昧といった具合になっていた。
「このっ、椰子の実二つぶらさげやがってっ、このこのっ!」
「ひゃんっ、ちょ、強いってっ!? や、あぁぁぁっ……」
 たゆん、と揺れた双房は、男子の目を嫌がおうにも惹きつける。
 無縁だった谷間も、汗がたまるほどに豊満となった。
 
 ――幸せの絶頂は、この時だったかも知れない。

 すっかり胸も大きくなり、いよいよJに達したある日の夜。
 まひるも今では当たり前のように、梢の家に泊まるようになっていた。
「ほらっ、今日はおっぱいのでる料理作りにきたよー」
「……わたしの、のみたいだけでしょ。まひるが」
「てへへ、そうだけど~」
 過去のコンプレックスもどこへやら、まひるも今では『巨乳で肩が凝る』という貧乳女子垂涎の贅沢な悩みまで抱えるようになっている。
 それでも、習い性になった行動はそう変わるものではない。
「ぷはぁ、喰った喰ったぁっ! それじゃ食後のデザートは……んふふ」
「もうたくさん食べたのに、もう吸うの?」
 呆れ顔の梢は未だに貧乳のままだが、まひるも満足するまで大きくしたら今度は彼女におっぱいをあげるつもりでいる。
 そのつもりだから、今はまだ、甘えたい盛りでいたいのだ。
「おっぱいは別腹だもんっ! いっただきまーすっ!」
「……うぅ、襲われるぅ」
 無邪気に貧乳に戯れる巨乳女子と、まるで大波のような巨乳に揉まれてやきもきする貧乳女子。
 他愛ない、百合咲くこの状況で。

 『変化』の口火は、切って落とされてしまった。

 食事が終わり、二人仲良くベッドに身を投げ出した夜のこと。
「んく、んくっ、んくっ……」
 夢見心地のまま貧乳から湧き出る母乳を口にしている時。
(なんだか、これ……ふわふわする……きもちいい……)
 じわり、と身体の芯が暖かくなるのをまひるは感じていた。
(これ、いいかも……このまま、気持ちよくなろ……)
 底知れぬ開放感が全身に波及していく。我慢を忘れ、赤子のように――
「ま、まひるっ! まひる、起きてっ!」
「……ふぇ」
 急に急かした梢の声で、まひるも我を取り戻す。
 最初に気づいたのは、下着やパジャマをぐずぐずに濡らしていく不快な水音。そしてべっとりと肌に張り付いた感触と、なおも続く放尿排泄の開放感。
 自分が何をしてしまったのか――赤子のように、我慢できずに漏らしてしまったのだと悟った瞬間。
 蕩けて夢見た桃色の顔が。
「え……なんで。うそ、うそだ……なんで、わたし……!?」
 青白く怯えた色に変わったかと思えば。
「ご、ごめん、ごめんね、梢っ。わ、わたし、きもちよくなって、それで、それでっ……ひっくっ、ぐすっ」
 耳から手足まで真っ赤に染まっていった。
「だ、大丈夫?」
「とまらないっ、とまらないよう……なんで、どうしてっ……!?」
 力を込めても、始まってしまったお漏らしは止められなかった。
 緩みきった身体は、留める事を忘れている。
 夢見心地の開放感は、赤子のような尿意のままに垂れ流す快感そのものだったのだと、後悔してももう遅かった。
「やだ、止まってっ、止まってよぉ……やだったらあ……!」
 まひるの懇願を嘲笑うように、一度噴き出した奔流は止まることがなかった。生暖かく黄色い海となって、梢のベッドの上に大きな楕円を描いていく。必死に押しとどめようとしても、堰を切った水圧は、すっかり緩みきった下腹部では抑えることもできずにいる。
 ただ、流れるに任せるのみ。音を立てて広がっていくお漏らしは、最後の一滴まで溢れ続けた。
 全てが終わった後、ただまひるは呆然と佇む。
 自らの失敗のその中心で。
「ごめん、ごめん、梢っ……うえええん、ふええええええんっ……!」
「まひる……」
 子供みたいな胸もたわわに育ち、これで大人へと成熟していけると信じていたまひるには、堪えようもないほどの無様な痴態だった。情けなさと悲しさに溺れ、幼女のように梢にすがりつき、泣きじゃくってしまう。
 何が起きてしまったのか――奇跡の代償は、余りにも大きかった。 



 ――初めての失敗を経験した夜から、まひるの身体は壊れてしまった。
「ごめんなさいっ……ひっくっ、わたし、昨日も失敗したのに……」
「大丈夫だよ、失敗は誰にでもあるから」
 大きな世界地図の前で泣きながら謝るまひるの姿は、胸だけが大きな幼女のようだった。失敗はこれで一度きり――そんな願いも露と消える。
「なんで――っ、うそ、嘘だっ……おねしょなんて、嘘だぁぁっ!」
 失意の内に家に帰った、その翌朝も。
「なんでっ、トイレの前なのに……やだ、おもらしなんて、やだぁっ!」 急いで家に帰った、その瞬間に。
 お漏らし癖とおねしょの習慣は、日を増すごとにどんどん酷くなっていった。それと同時に、授乳の際にも――
「ね、ねえっ……ほ、本当に……お、おむつ、穿かなきゃダメ……?」
「仕方ないよ。穿かないなら、授乳はやめるけど」
「や、やだ……そんなのやだっ。梢のおっぱい、欲しいよぉっ……!」
 授乳お漏らしの日を境目に、まひるは梢のおっぱいを酷く欲しがるようになってしまった。おっぱいが一日貰えない日ともなれば、落ち着きを失いお漏らしの回数も増えてしまう。
 そんなまひるの世話を何度も焼けないと、梢が用意したのはまひるの身体のサイズにあった、パンツタイプの紙おむつだった。しかも、どこで手に入れたのか知らないが、愛らしいキャラや絵柄が舞う、幼児用と同じデザインのものだ。
 抵抗はしたものの、穿かなければおっぱいも貰えない――そうして、まひるは梢のおっぱい欲しさに、紙おむつを穿く生活を始めてしまった。

 半日授業の土曜の学校。もう誰もいない校舎の中で、時計が午後3時半を指すのを梢は確認していた。
「もうすぐ、かな」
 遠くからバタバタと足音が聞こえてくる。いつもの事だがバレることも考えず必死に迫ってくる彼女の事を思うと、梢も静かな笑いを禁じられなかった。
「こ、梢ちゃんっ! お、おっぱいっ、おっぱいちょうだいっ!」
 引き戸を力一杯開いて、大きな音とともにやってきたのはまひるだった。今にも泣いてしまいそうな不安な顔で、梢の元にすがりつく。
「……がっつきすぎ。まずはちゃんとお願いできるかな?」
「あ……う、うんっ、おねがい、できるよっ!」
 梢に言われるより早く、まひるは勢いよくスカートをめくっていく。
 中から露わになったのは、前から後ろまで黄色く染まり、水分で吸収体もぶよぶよに太りきった、惨めな形の紙おむつ。
 右の口元だけを歪め、密かに笑う梢を構うでもなく、まひるは自ら床の上にごろんと仰向けに寝転がった。
 凶悪なボリュームの胸元をたゆんと揺らし、スカートもお腹の上までまくり上げる姿は、まるで服従を見せる犬のようでもある。
「は、はやくっ、かえてっ、おむつ、かえてっ」
「わかったから。まひるのお漏らしおむつ、かえてあげようね」
 おむつが手放せなくなった今でも、まひるは『お漏らしおむつ』と言われると顔を赤くしてうつむいてしまう。そういう被虐に悦ぶ相手だから、梢もついいじめたくなってしまう。
「Mカップだっけ? こんなにおっきなおっぱいしてるのに、まひるのおシモはまだまだ赤ちゃんだよね」
「や……いわないでよ、そんなのぉ……」
 軽口を叩きながらパンツ型紙おむつの両サイドを破いていく。中を開けば、むわっと立ちこめる数回分の尿臭と共に、すっかりぐずぐずに蕩けきっただらしない秘所が晒されていく。
「今日も沢山人前でお漏らししたんだ? みんなに褒められてる間にも」
「い、いじわるっ……そんなことより、早くっ、早くおっぱいっ」
「くすくす、まひるはやっぱり赤ちゃんだ」
「ひ、ひぅぅっ……あ、あっあっあっ!」
 手にしたウェットティッシュで綻んだ花弁を丹念に拭き、切なげな喘ぎを堪能していく。
 見事に育った大輪の花を愛でるように、梢はこの瞬間を楽しんでいた。
 全ては、このときのため。
 巨乳でありながらおむつ離れの出来ない、歪んだ発育と浅ましい痴育の結実を目の当たりにするため。
「えぅ……あぅぅ……ぱいぱい、おっぱい、ちょーらい……」
「はいはい、今あげますからね」
 今やまひるは、梢のおっぱいがなければ幼児退行を起こすまでになっていた。お漏らし癖も、一日十数枚のおむつを消費するほどになっている。
 欲望の代償は重い。それを知らずに貪り食う相手と出会えたのは梢にとって幸運だった。
 故に、こうして『赤ちゃん』を手に入れることが出来たのだから。
「ほら、まひる……ママのおっぱい、だよ」
 新しいおむつを当て直してあげれば、まひるも少しは落ち着きを取り戻した。おっぱいが貰える、その安心感が今の彼女の生命線だった。
「えう……ちゅぱ、んちゅ、んくっ……ふあぁ……」

 午後の日差しが差し込む理科室で。
 初めてあった日と同じ世界で、まひるは梢のおっぱいに吸いついてゆく。
 目を細め、うっとりと微笑むその内に、まひるのおむつの中から、小さなせせらぎの音が聞こえてきた。
「ふふっ、いいよ。お漏らしおむつは替えてあげようね、まひるちゃん」
 からかうような梢の声に、まひるは赤子のような無垢な笑顔を見せた。
 それが、彼女の一番の願いだったと、いうように――。




thanks to azo

リハビリ習作

 冷たい壁に囲まれた部屋に、感情のない声が二つ。
「強情だな。我慢は毒だぞ」
「要らない。それ持って出てって。ここから消えてよ!」
「…………ここ、置いとくからな」
 唯一の出入り口である檻の閉まる音を聞いて、未央はベッドから立ち上がった。
「っ! 持ってけって言ったっ――の、に……」
 吠えた声も尻すぼみしてしまう。檻の手前に残されていた、乳白色の液体がなみなみと詰まった哺乳瓶が見えたから。
「……見たくもないのに……なんで、こんなの……っ」
 怒りと焦燥の入り交じる表情で、恨めしく哺乳瓶を見つめた未央の姿は、異様であった。手足も伸びきった思春期の少女には不釣り合いな、薄い桃色のチャイルドスモックを上から羽織り、下にはスカートもズボンも着けてはいない。一際異様な未央の下着は、アニメキャラクターの描かれた、幼児用の紙おむつだった。
「バカにしてっ! 誰がこんなの! 17にもなって!」
 耳たぶから背筋まで紅潮する程の熱を覚えながらも、未央はなんとか目をそらそうとした。
 一度、二度、三度――しかし、堪えるごとに増す焦燥が、心を揺らす。
「う、うぅ……」
 夢遊病のようにふらふらと、無意識に哺乳瓶の前に近づいてしまう。
 言葉では逆らおうとしても、依存心が理性を甘やかしてゆく。
 哺乳瓶は目の前――そう未央が気付いた時には、もう手遅れだった。
「ふぅうっ! ちゅ、んちゅっ、んくっ、んく、んぅっ……っ!」
 冷たい床に脚をぺたんと八の字にして、未央は我を忘れて哺乳瓶の乳首に吹いついていた。
 喉を鳴らして飲み干す勢いに飲まれ、頑なな顔つきも次第にとろんと夢見心地に変わっていく。
 喉に通る甘露な滴――その味に酔ってしまう。
 我慢はもう、できなかった。
「けぷっ……ふぁ、あぁぁ……ひくっ、う、ふぇぇ……」
 哺乳瓶の中身が半分を過ぎた頃、未央は背筋をかくりと震わせた。
 おむつの中の秘所が、じくっ、と切ない疼きに襲われてゆく。
 下腹の痙攣を押さえようと力を込めても、酔った頭ではままならない。
 緩みきった通路を下る津波は、ミルクを飲み干すよりも早かった。
「え、うぅぅ……やだ……んぁあ、ふああぁぁ……っ!」
 両脚の間から小さなせせらぎが聞こえるのと、未央のおむつが黄色く染まっていくのはほぼ同時だった。
 蛇口から勢いよく注がれるように、生暖かい奔流がおむつのクロッチ部分全体にまで広がってゆく。
 それでも、偽物の乳首を口から離すことも出来ず。
「んくっ、んぅっ、えうっ、あぅぅっ……あ、んぁあ……っ!」
 思春期少女にあるまじき幼すぎる失敗への絶望と授乳を引き金に始まってしまった放尿痴態への異常な開放感が、未央の表情に現れていた。
 目尻に大粒の涙を湛えていながら、その顔は無垢な幼女のように蕩けてしまっている。飲み干す度に漏らす、まるで人間ミルク飲み人形と化した自身に耽溺しているかのように。
 だが――最後の一滴を飲み干し、最後の一滴を漏らした瞬間。
 現実に残ったのは、お尻までたぷたぷのお漏らしで染まり、無様に膨れ上がった、生暖かい熱にぐずぐずに汚れた紙おむつと。
 誘惑に負けておむつお漏らしを繰り返してしまった浅ましい自分自身。
「やだ…………もう、やだぁっ……!」
 ぽろぽろと大粒の涙をこぼすその顔は、険しさに研がれた大人びた少女の面影など残してはいなかった。ただ、訳も分からず泣きじゃくる幼児のままに、顔をぐしゃぐしゃにして感情を爆発させていく。
「……飲み終わったみたいだな。それじゃあ、おむつ替えようか」
 ぎい、と鉄の檻が開く音が聞こえても、床に寝かせられてお漏らしまみれの紙おむつを開かれた時でも、その惨状は変わらなかった。
「ぐすっ、ふぇぇぇん……! うあああああんっ!!」
 両手で涙まみれの顔を覆いながら、泣きじゃくる大きな赤ん坊。
 その姿はおむつの外れないお漏らしっ子の未央に相応しいものだった。
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